そろそろ寿命なはずなのに、世界がじじいを離さない

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新生活

過ごしやすい家を作ろう

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 ルルが一度鉄次郎に抱き着いてから言う。

「準備してくる。門で待ってて」
「はい」

 鉄次郎とシルアが門で待つ。すると、ルルがキリを連れて戻ってきた。

「シルア様ァアアア! 出かける時はおっしゃってくださいよぉぉ!」

 シルアまでの距離一センチぎりぎりで止まり、泣きながら訴える。

「あはは、ごめん」

 一昨日のことがあるので、キリが心配するのは当然だ。

──キリさんはシルアさんのことで毎日泣いていそうだな。何か労われたらいいのだが。

「ルルは一人でいいって言われたの?」
「ルルは勝手なことしないしキリがいるから大丈夫って」
「八歳より子ども扱いされてる……」
「そうですよ。皇子皇女の中で貴方が一番心配されています」
「うっそ!」

 シルアが猫背になって落ち込む。子どもが何人いるのかは知らないが、一番心配をかけていると言われるのはきついだろう。

「さあ、では行きましょうか」
「行こ行こ」

 鉄次郎とルルが手を繋いで歩き始める。その後ろをシルアとキリが続いた。

「わあ、すごい木!」

 昨日と同じく積まれた木材を見てルルが驚く。そうだろう、昨日見た鉄次郎でも多すぎてまだ少したじろいでしまう。

「この石で囲った場所に建てたいのです。私がイメージを伝えるから、それを絵にしてもらえますか?」
「うん。初めてだから上手く描けるか分からないけど、頑張る」
「有難う御座います」

 ルルが握りこぶしをして気合を入れた。あまりの可愛らしさに三人が倒れ込んだ。

「どうしたの? 具合悪い?」
「い、いや、すこぶる良いです。それでは始めましょうか」

 四人で石に座り、鉄次郎の希望を箇条書きで書いていく。

「縁側って何?」
「縁側は、一階にある柵が無いベランダ……バルコニーみたいなものです。そこでお茶を飲んだり、そのまま外に出られるようになっています」
「へ~、良いね。お城には無いよ」
「縁側でのんびりするのは楽しいですよ。出来上がったら、一緒にお茶しましょう」
「しようしよう」

 城でしか住んだことのないルルには難しい注文が続いたが、鉄次郎の説明を聞いて一生懸命何度も描き直してくれた。

「一階だけ?」
「はい。そのくらいがちょうど良いのです」
「そっか」

 最後に、仕上げとばかりにルルが花々を描き添えた。

「出来た!」

 自慢げに紙を三人に見せる。鉄次郎たちがそれをまじまじと見つめた。
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