メリッサ博士の欲望開発メモ

豆丸

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メモ②


「やったぁ」 
 
 成功に握りこぶしをした僕の声で目覚めた獣人は、さっと身体を起こすと、驚くほど早いスピードで僕に向かって突進してきた。こんな巨躯で当たられたら、僕の肋骨位軽く折れるところさ。 
でも、大丈夫。

がんっ!!

僕と獣人を隔てる檻に当たり、獣人は後ろにひっくり返り勢いの反動で後頭部を強かに打ち付けた。獣人は巨躯を丸め痛みに頭を抑えうずくまった。

ああ、驚いたさ。
いきなり攻撃してくるなんて思わなかったよ。檻が頑丈で本当に安心したよ。 
 なんと、獣人の体当たりにもびくともしない頑丈な檻『いなばさん』を作成したのも僕なのさ。重量級の獣人が100人乗っても大丈夫なんだよ。凄いだろう?

 獣人は回復力も早い、短時間で頭部の痛みが引いたようだ。強く檻を掴み、牙を見せ唸りながら何かを叫んでいるよ。 

「ガッバサンっ!!ザックロウサアっ!」 
 ガン、ガンと馬鹿力で檻を揺らしてる。
 
 36か国を喋れる優秀な僕だけど、野蛮な獣人語は学んでいない。違うさ、学ぶ必要性を感じなかったんだよ。 
 獣人は執拗にガン、ガンと馬鹿力で檻を揺らし、瞳孔を縦にし僕を睨んだ。
 怖いな。
 檻を用意して正解だったよ。たいへん活きは良いようだし。

 君を……仮に獣人Aと呼ぼう。

 僕は唸り続ける獣人Aをつぶさに観察した。多種族の使用人には囲まれてきたけど、獣人には縁のない生活だったからね。 
 
 頭の上にピーンと張った黒と先っぽに赤毛の混じった大きな犬耳。いや、狼かな?
毛は硬質で固そうだ。耳の端には金色の耳環を三連も着けてるよ。これが獣人のお洒落なのか?
 
 太い眉に、カッと瞳孔の開いた瞳は綺麗なワインレッド。低い鼻に寄る深い皺。
 ぐるるる唸る口元から鋭い犬歯が剥き出しだよ。臀部からはこれまた黒と赤毛の混じった大きなしっぽが見える。
 しっぽを僕を威嚇にするために、高く上げてゆっくり振る。肌は浅黒く、人間と同じ皮膚の場所もあれば所々に犬の毛が覆っている箇所もある。

 面白いな。本当に獣だよ。
 天才の僕とは違う原始的な生き物なのさ。
 
 確か……獣人奴隷の並外れた体格、体力を活用するため首都から遠く離れた山岳地帯の炭鉱奴隷や化石海の塩田で重労働をさせられていたはずさ。

 Aは元奴隷の獣人に似つかわしくない、白い光沢と艶のある触り心地の良さそうな衣服を着ていた。獣人の癖に高級品?贅沢だよ。
 
 その白い衣服の上からもぱつぱつとした筋肉が分かるほど、首も肩幅も背中も広く筋肉が発達しているよ。太ももなんて丸太みたいだ。確かに、素晴らしい筋力だよ。そこだけは称賛に値するね。
 
 ふっと見上げた時計盤は深夜一時を差しているから、白い衣服は寝衣だろうねぇ。金持ちを殺し盗んできたのだろうか?はち切れそうな腕の筋肉で殴り殺したのかもしれない。やっぱり獣人は野蛮で恐ろしいよ。  

 けど、僕の計画のために良い子でいてほしいなぁ。
 
 僕は獣人Aが手を伸ばしても届かない場所を見極めながら。 ゆっくりと檻の前に近づいた。獣人Aの体がびくりと動いた。警戒しているね。
 さらに接近した僕に獣人Aは唸り声を大きくした。鋭く僕を睨むと、僕を捕まえようと檻から手を伸ばした。

 がしゃん……手は届かず虚しく空をかいてる。辛くもあと数センチで届かないようだね。
 
 うん、ここだ。  
 
 僕を掴み損なった獣人Aは悔しそうに柵を掴みガクガク鳴らした。躾のなってない狂犬みたいにさ。

 僕は獣人Aに、にっこり笑いかけると白衣に手をかけ、するりと脱いだ。床にぱさりと白衣が落ちる。
 
 獣人Aが驚き目を見開く。
 
 僕は白いシャツのボタンの一つ一つ外してた。露になった胸の谷間と白いブラジャーに獣人Aの視線が僕の顔から胸元に下がったよ。  
 徐々に視線に熱がこもって唸り声がピタリと止んだのさ。
 色気のない白のブラジャーでこの反応……しょせんは発情してやりたくて我慢してる獣さ。
 
 気を良くした僕はシャツを脱ぐと、ブラジャーの右片紐を外すし、前屈みになり両腕で胸をぐぐっと寄せた。腕からこぼれそうな僕の白い豊かな胸を強調して、たゆんたゆんと揺すって見せたさ。

 どうだい?
 
 獣人Aの視線が熱さを帯びた。牙を見せていた口からはあはあと興奮した呼吸音も出してるし、長い舌でペロリと口元を舐めたよ。 

 早いね。
 ははっ、もう僕に欲情しちゃったのかい?

 もう片紐も落とし、際どい場所までブラジャーを下げた、決して乳首は見せない。

 ぐううと、どこか不満そうに獣人Aが唸って、僕の顔に視線を寄越した。全部見せろって言いたいのかな?獣人のクセに贅沢だね。 

 まだお預けさ。そう、我慢してもらわないとね。 
 ちらりと檻の端に設置された『欲望吸いとルーン君』の欲望メーターを見た。 

  ……600
             たったの?

 なんともちっぽけな数字じゃないか!全然だよ。10000は欲しいのにさ。
 
 困ったよ……僕は処女だし娼婦じゃないんだよ。僕だって、経費削減で娼婦を呼べない絶望的状態なのは理解しているよ。 

 僕はブラジャーのホックに手をかけた。緊張で上手く外れない。待ちきれない獣人Aががしゃんと柵を鳴らす。 

「……がっつくなよ、みっともないな…これだから野蛮な獣人は……っ」 

 なんとかフックを外し、ブラジャーを外し床に投げた。でも、つい胸を手で隠してしまった。正直に言おう……恥ずかしいのさ。処女なのだからそこは理解してほしいな。

「ハッサクナっ!!ウルベナン、サ!」
 獣人Aが大きな声で叫んだ。柵から腕を伸ばし、僕を掴もうともがく。 

 ははっ、届かないのに、滑稽だね。  

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