キミの生まれ変わり

りくな

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キミのために

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秋花ゆいとは仲良くなった。彼女が来ている時は、彼女とお昼を食べ一緒に帰った。
彼女が来ている時が増えるようになり、クラスでも、彼女の悪い噂を聞くことは無くなった。

「ねぇ」後ろから声がかけられた。「うわっ!話す時、後ろから話しかけるのびっくりするからやめてよ」秋花ゆいはごめんと手を合わせる。
「またさ、にゃーちゃんの新しいプライズ景品が来て…」彼女が急にボソボソと話し始めた。「秋花、UFOキャッチャー苦手だもんね。」チラッと彼女のことをみる。彼女はキラキラした目を向けていた。「もちろん、手伝うよ。」


「欲しいのはコレなんだけど、」UFOキャッチャーの台の中に、にゃーちゃんはダラリと突っ伏していた。大きいぬいぐるみだ。
まず秋花と計画を立てる。お金は秋花が出すことになった。どこを掴むかなどを話しあった後、私は500円を機械の中に入れた。
「ねぇ、私さこのUFOキャッチャーに結構お金入れてて」「そうなんだ」UFOキャッチャーを動かしながらそう答えると、彼女は私の耳元に手を当て、コソコソ話す。
「7500円」
「ヒェッ!」間違えてボタンを押してしまい、キャッチャーが空を掴む。
「そんなに取れてないんだったら店員さんに話に行けば良いじゃん」彼女はぶーっと口を膨らます。「恥ずかしくて」
ぬいぐるみはゴロンと寝転がったままだ。ぬいぐるみの後ろに紐が垂れているのが見えた。









ぬいぐるみは無事取れた。彼女は幸せそうだ。「やったね」彼女はにゃーちゃんを万歳させている。
空の色は暗くなってきている。
「秋花ってさ、家の人厳しいんでしょ」彼女は頷いた。
「こんなに遅くまで遊んでて大丈夫なの?」初めはびっくりした顔をしたが彼女はまた頷く。「父や母は生まれ変わりした姉の方をよく見に行ってるよ。家に帰ってくるのはご飯の時だけ。」
秋花の両親は生まれ変わりに対して不思議な執念を持っている。家出したくなる気持ちもわかる。あまり大事にならないのは彼女の両親が彼女に対して、興味がないからなのではないか。
「ねぇ、友達っていいね」急に不思議なことを言うからびっくりした。「UFOキャッチャーで取るの手伝ってくれるから?」意地悪に返すと「そうじゃないよ」
と真面目に返してきた。
こういう所が彼女は少し不思議だなと思う。
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