27 / 291
再びトレームグレイグ
LV26 モンスター襲来 後編
しおりを挟む
ごま粒程の大きさに見えていた魔物の群れの姿形が徐々に肉眼で確認できるほどの大きさになってきた。街に近付きつつあるモンスター達を前に、出入り口を固める男達に緊張が走る。
モンスターはフミヤが守る北門の方へ向かってきている。初めてまともなモンスターと戦闘になるフミヤも、他の者達と同様に緊張していた。
(……力が欲しいか?)
どこかで聞いた事のあるようなセリフで、フミヤの頭の中に何かが語り掛ける。
(我はアレース……力が欲しいか?)
*フミヤは無視した。
(汝《なんじ》が求めるなら、力を与えよう)
*フミヤは無視している。
(おい、コラ! フミヤ、無視するんじゃねえよ)
精神体のアレースがフミヤの前に現れる。もちろん、他の者には見えていない。
フミヤはアレースを邪険な態度で突っ撥ねる。
「今、忙しんで後にしてもらえます?」
*フミヤはイラついている。
(おいおい。このままでは街は魔物にやられるぞ。おまえが力を求めれば、この街を守れる)
「えっ?」
*フミヤは悩んでいる。
(うーん……でも、こいつらに借りを作りたくない)
そうこうしている内に、魔物達は目と鼻の先まで来ている。このままでは、城からの軍隊が到着する前に魔物が街に入ってきてしまうだろう。
フミヤに決断の時が迫ってきていた。
(フミヤよ、同意しろ。力を授けるには同意と同意が必要なんだ)
「うう……でも」
(早くしろ、手遅れになるぞ)
「あー、わかったよ! 好きにしろ」
フミヤはついに決心した。
――が、時すでに遅し。魔物達が次々に門へとなだれ込んでくる。
ビギギギ……バチバチバチ
轟音が辺りに響き渡った。
「ギャー」
「グオォー」
「オロロロォ」
「キィーーー!」
門をくぐりろうとする魔物は、何故か悲鳴や雄叫びを上げながら次々に消滅していく。門の背後で街を守る男達は、何が起きているかわからずただ立ち尽くす。
*フミヤの口はポカーンと開いている。
*アレースの口もポカーンと開いている。
フミヤがアレースの方を向く。
「お前がやったの?」
(いや。俺はまだ何も……)
*アレースは驚き戸惑っている。
尚も魔物達は街に押しかけてくるが、どの魔物も門をくぐろうとして塵《ちり》となり消滅していく。
「ヴィオラだーー!」
ヴィオラは遠征前に万が一に備え、勇者パーティーの力を借り街全体に強力な結界を張っていたのだ。
魔物の瘴気《しょうき》に反応するように作られた結界は、一般人の生活に配慮され熟練者にしか見えないよう密かに設けられていた。
結界に触れた魔物は、強力な浄化作用により次々と消滅していったのだった。
城の軍隊が到着する頃には、ほぼ全ての魔物が消滅しており、残るは門の手前で怯える実力不足の弱小モンスターだけになっていた。後から到着した軍隊は、残りの魔物を残らず討伐すると、何か物足りなさそうに帰っていった。
「一件落着だ」
街の人達は安堵の表情を浮かべ喜んでいた。
フミヤはそっと胸を撫で下ろしアレースに一言言った。
「もう大丈夫なんで帰ってもらえます?」
(いや、おまえ同意しただろ?)
「だって……おまえは結局役に立ってないじゃん」
(ああーー。こいつ殴りたい!)
「というより、神のクセに人の弱みに付け込むような事して……最低だぞ」
(うぬぬぬ)
*アレースはイラついている。
「さあ、帰った帰った」
(おまえ、今度は人間体で来て必ず殴ってやるからな!)
アレースはそう捨て台詞を吐くと、フミヤの前から消えていなくなった。
フミヤの知らない間に神の恩恵が授けられる。
*フミヤは荒ぶる神(アレース)の加護を受けた。
*フミヤは狂乱の戦神LV1のスキルを習得した。
モンスターはフミヤが守る北門の方へ向かってきている。初めてまともなモンスターと戦闘になるフミヤも、他の者達と同様に緊張していた。
(……力が欲しいか?)
どこかで聞いた事のあるようなセリフで、フミヤの頭の中に何かが語り掛ける。
(我はアレース……力が欲しいか?)
*フミヤは無視した。
(汝《なんじ》が求めるなら、力を与えよう)
*フミヤは無視している。
(おい、コラ! フミヤ、無視するんじゃねえよ)
精神体のアレースがフミヤの前に現れる。もちろん、他の者には見えていない。
フミヤはアレースを邪険な態度で突っ撥ねる。
「今、忙しんで後にしてもらえます?」
*フミヤはイラついている。
(おいおい。このままでは街は魔物にやられるぞ。おまえが力を求めれば、この街を守れる)
「えっ?」
*フミヤは悩んでいる。
(うーん……でも、こいつらに借りを作りたくない)
そうこうしている内に、魔物達は目と鼻の先まで来ている。このままでは、城からの軍隊が到着する前に魔物が街に入ってきてしまうだろう。
フミヤに決断の時が迫ってきていた。
(フミヤよ、同意しろ。力を授けるには同意と同意が必要なんだ)
「うう……でも」
(早くしろ、手遅れになるぞ)
「あー、わかったよ! 好きにしろ」
フミヤはついに決心した。
――が、時すでに遅し。魔物達が次々に門へとなだれ込んでくる。
ビギギギ……バチバチバチ
轟音が辺りに響き渡った。
「ギャー」
「グオォー」
「オロロロォ」
「キィーーー!」
門をくぐりろうとする魔物は、何故か悲鳴や雄叫びを上げながら次々に消滅していく。門の背後で街を守る男達は、何が起きているかわからずただ立ち尽くす。
*フミヤの口はポカーンと開いている。
*アレースの口もポカーンと開いている。
フミヤがアレースの方を向く。
「お前がやったの?」
(いや。俺はまだ何も……)
*アレースは驚き戸惑っている。
尚も魔物達は街に押しかけてくるが、どの魔物も門をくぐろうとして塵《ちり》となり消滅していく。
「ヴィオラだーー!」
ヴィオラは遠征前に万が一に備え、勇者パーティーの力を借り街全体に強力な結界を張っていたのだ。
魔物の瘴気《しょうき》に反応するように作られた結界は、一般人の生活に配慮され熟練者にしか見えないよう密かに設けられていた。
結界に触れた魔物は、強力な浄化作用により次々と消滅していったのだった。
城の軍隊が到着する頃には、ほぼ全ての魔物が消滅しており、残るは門の手前で怯える実力不足の弱小モンスターだけになっていた。後から到着した軍隊は、残りの魔物を残らず討伐すると、何か物足りなさそうに帰っていった。
「一件落着だ」
街の人達は安堵の表情を浮かべ喜んでいた。
フミヤはそっと胸を撫で下ろしアレースに一言言った。
「もう大丈夫なんで帰ってもらえます?」
(いや、おまえ同意しただろ?)
「だって……おまえは結局役に立ってないじゃん」
(ああーー。こいつ殴りたい!)
「というより、神のクセに人の弱みに付け込むような事して……最低だぞ」
(うぬぬぬ)
*アレースはイラついている。
「さあ、帰った帰った」
(おまえ、今度は人間体で来て必ず殴ってやるからな!)
アレースはそう捨て台詞を吐くと、フミヤの前から消えていなくなった。
フミヤの知らない間に神の恩恵が授けられる。
*フミヤは荒ぶる神(アレース)の加護を受けた。
*フミヤは狂乱の戦神LV1のスキルを習得した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
24
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる