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サイテハの洞窟へ

LV35 フミヤのスキル

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 遠征部隊はクオ平原でなかなか進む事ができないでいた。――というのも、魔物を討伐し馬車に乗るも、息をつく間もなく新しい魔物が襲ってくるのだ。

「珍しい。確かにクオ平原には多くの魔物がいるが、こんなに集中して襲ってくるとは聞いた事がない」
 ドレンが、そんな話をしている矢先にも……。

「敵襲ー、敵襲ー、またも魔物です!」
 前線の兵士が各馬車な間を駆け抜ける。

「馬車乗るだけ疲れない?」と、フミヤがふと愚痴をこぼすとモコも続き「面倒くさいんで、もう歩きましょうよ」と、愚痴をこぼす。

「やれやれ、今度はゴブリンかよ」
 
 ゴブリンとは狂暴な小鬼族である。身長は1mほどで知性があり、筋肉質な体格をしている。着衣は腰蓑《こしみの》のみ、棍棒や石斧など自身で作った装備で襲ってくる。一匹一匹の戦力は高くないが、群れで襲ってくる習性がある。

 どこから集まったのか? 辺り一帯にゴブリンが現れ、どんどんと集まっていく。その数は驚くほど増え、遠征部隊100人を凌ぐゴブリンの群れが、馬車の周りを円を描くように取り囲む。

「指揮者がいるぞ」
 腕に覚えのある冒険者達は瞬時に察した。

 *フミヤは鼻をほじっている。

 *モコはアクビをしている。

 *ドレンは馬車に隠れている。

 フミヤはドレンを呼ぶが、ドレンは馬車に引き籠り出てこない。

「俺は、戦闘は得意じゃないんだよ。洞窟行ったら頑張るから勘弁して」

「仕方ないヤツだなー」

 何かの合図で一斉に襲い掛かってくるゴブリンの群れ。

「血がたぎる」
 ジンは今までより骨のありそうな魔物の軍勢にテンションが上がった。
 
 ジンがは馬車から大きなハンマーを二本取り出し両手に持つ。かなりの重さであろう巨大ハンマーをいとも簡単に操り、ゴブリン達をなぎ倒していく。

(オーナーってこんなに強かったのか)

 ジンに見とれているフミヤの背後からゴブリンが棍棒で襲い掛かる。

 ゴン!

「いて」

 *フミヤは5のダメージをうけた。
 *フミヤはゴブリンに気付いた。

 *フミヤの攻撃。

 フミヤはゴブリンに殴りかかるも、紙一重で躱され拳は空を切る。繰り出した拳圧に畏怖したにゴブリンは、逃げ出そうと後方へ走り出す。

「逃げんな、コノヤロー‼」

 フミヤは咄嗟に足元に落ちている石を拾って投げつけた。その石が見事にゴブリンの頭部に当たりゴブリンは倒れた。

 *フミヤはゴブリンを倒した。

「ん?」

 フミヤはまたも石を拾い、遠くのゴブリン目掛けて投げつけた。すると、またも石は頭部に当たり、ゴブリンは倒れる。

「おお」
 フミヤは次々と石を拾ってはゴブリンに投げつけた。

 投げた石は全て正確に頭へと命中し、ゴブリンを倒れていく。これは、狩猟スキルLV10(MAX)の効果によるものだった。

 フミヤは今まで戦う事と無縁であったため、自分のスキルの使用はおろかスキルの確認方法すら知らなかった。まして、自分にそんなスキルがあるなど夢にも思っていない。

「フフフ、俺は天に愛されている」
 フミヤは石による攻撃がただのラッキーだと思っている。

「あいつ、なんだか普通に戦えてるじゃないか」
 フミヤの料理をしている姿しか知らないジンは、意外と活躍しているフミヤに少し驚いている様子だった。

 大量の数で他の生物を圧倒するゴブリンであるが、100人の手練れ冒険者と兵士に大苦戦。うまく機能する遠征部隊にゴブリンの群れは確実に数を減らしていった。

だがしかし、ゴブリンの数が残り20匹前後になった頃、馬車のの両側から上位種、ゴブリンロード六匹が姿を現す。――と同時に、前方の兵士達にも騒《ざわ》めきが起こっていた。

 最前列の方で魔人が現れたのだ。

「なかなかやるじゃないか人間ども。俺が直々に相手をしてやろう」

 前方に魔人、左右にゴブリンロードが三匹ずつ、遠征部隊に緊張が走る。

「まずいな」
 ジンは呟いた。

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ゴブリンロード ゴブリンの進化系モンスター。体格は2m前後、知性がゴブリンよりも優れ、並みの人間であれば素手で骨を粉々にできる程の腕力を持つ。 
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