上 下
74 / 291
勇者探索任務~サイテハの洞窟

LV73 帰還

しおりを挟む
入り口まで転移魔法で戻ったフミヤ達は
拠点で待つ部隊と合流する。

フミヤ達の捜索もかねて 洞窟探索を行なっていた
それぞれのパーティーも 徐々に拠点に集合しようとしていた。

「おー無事だったか!」
洞窟から出てきたドレンがフミヤを見つけ
声を掛けてきた。

ゴン!

その直後に ジンがフミヤの背後から頭を小突《こづ》いた。
「オーナー。」
「探索任務中に自分が迷子になったやつなんて
聞いた事ないぞ、ばかもの。」
いろいろと言い訳をしたいフミヤであったが、
また小突かれるのが、わかっていたため
ここは敢《あ》えて沈黙を保った。

「さすがにしぶとく生きてましたね、フミヤサン。
で、また 変な仲間増やしてますね。」
横からモコが、フミヤを茶化《ちゃか》す。
「ちょっとは心配しろよ、モコ。」


「えー皆さん。」
隊長マルクが集合した皆に向け、呼びかける。
「これで、なんとか全員揃ったみたいですね。」
「無事、勇者御一行が帰還されました。」
「これにて探索任務終了となります。では 勇者様一言。」

ヴィオラ及び勇者パーティーは皆の前に立つと
深々と頭を下げて お礼を言った。
「みなさん、今回は 私達のため危険な洞窟での
探索ありがとうございました。
勇者として 不甲斐なく思っております。
無事に戻ってこれたのは 本当にみなさんのおかげです。
ありがとうございました。」

ヴィオラの言葉を聞き、皆から拍手が送られる。
「ヴィオラ、生きてて良かった。」
フミヤもようやくほっとする事ができた。

その夜、近くのサイテハ村で宴会が盛大に行なわれた。
冒険者たちは 初めて見るモンスターに興味津々《きょうみしんしん》で、
ゴールドレアスライム《メロ》とサイクロコプス《サイトウ》は
終始、対応に追われているようであった。

そして、次の日

「じゃあ、帰るか。」

フミヤ含むチーム【モンペロ】と
勇者パーティーは 街へ向かい出発した。

「フミヤ、ありがとう。迷惑かけてごめんね。」
「大丈夫だよ、ヴィオラに何かあれば どこへだって行くさ。」
いちゃいちゃしながら歩く ルイス夫婦。

「じゃあ、このまま勇者パーティーに加入してはどうかの?」
ラオ老が、フミヤを勧誘する。
「いや、痛いの嫌なんで遠慮しておきます。
しかも俺、料理人だし。」
「ヤマダならいつでも貸しますよ。」
「なんで 俺だけっスか?」

そんな話をしながら 歩く一同。
「って 馬車は?」
違和感にようやくフミヤが気付く。

「みんな先に出発して行ったよ。」|《ヴィオラ》
「えーーー!俺達だけ徒歩かよ。」|《フミヤ》
「いやいや、ファリスの空間転移があるから
大丈夫じゃよ。」|《ラオ老》
「あー、って最初から言えよ。」|《フミヤ》
「うるさいわね、ちょっと雰囲気楽しんでただけでしょう。
本当に文句しか言わない男ね。」|《イルイル》
「うがーお前が言うな。」|《フミヤ》

この後、ファリスの空間転移により 街まで移動したフミヤ達は
休暇を取り、しばらくゆっくりと家で過ごすのであった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ファリスの空間転移、時間制限あり 柱が光っているうちにしか
転移できない。また 馬車等の大きい物体は転移できない。
しおりを挟む

処理中です...