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前途遼遠
LV262 フミヤは仕入れ担当
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ファリスの「エソリスモ・ペルフェット(完璧なる解呪)」により、闇落ち状態から元の勇者へと戻ったタケルはトーレムグレイグ王に詫びを入れ、しばらくトーレムグレイグに滞在する事になった。この先、厄災へ向け三大勇者にはやらなければならない試練が待ち受ける。
一週間、魔力を放出し続けたファリスは解呪後、バタリと倒れ三日間の深い眠りに就いた。ヴィオラは自宅へ帰り、しばらくは通常生活と送る事となる。ブリズエラは自分の城へ戻り、城の修復作業の指示やさらなる強さを求めるべくレイモンドと鍛錬に勤しんでいる。
目が覚めたファリスはトーレムグレイグ王の命を受け、ベンがドレンに施した紋様の解析に取り掛かった。しかし、解析にはしばらく時間がかかりそうだ。
そして、フミヤはと言うと……。
メロを連れ、レイキギス浜に来ていた。
「それでは行きます!」
*フミヤは敬礼のポーズをとった。
「モキュ!」
*メロは敬礼のポーズをとった。
「出でよ、ネレウス」
フミヤは海域の主LV3を発動した。
「我を呼ぶのはおまえか?」
大きな水飛沫を上げ、姿を現す巨大な海蛇。
「もういいよ。もうそのくだり聞き飽きたから」
「これは一応、形式的なモノで必要なのだ」
「そう? まあいいや。じゃあ、いつものよろしく!」
「うっ、またか……」
「嫌ならもう呼ばないぞ!」
「まっ、待て! わかっておる」
ネレウスは一度海に潜り、大きなクジラを咥え再び顔を出す。ネレウスが咥えているクジラはハッピクジラだ。
「おお! いつもありがとねー」
フミヤは時折ネレウスに頼み、このような形でハッピクジラを入手していた。そのおかげで、フミヤのスキル『海域の主』はLV3まで上がっていた。
まかないで好評だった事により、メニュー入りした『ハッピクジラのお刺身』は「ビアに合う」と、いつの間にか冒険者の間で大人気商品となり、今ではハッピクジラはモンペロにとってなくてはならない食材となっていた。
フミヤはアクタの剣を右手にの大精霊のナイフを左手に構える。
「それでは、行きます!」
「モキュ」
メロは再び敬礼のポーズをする。
「狂乱の戦神(LV4)!」
フミヤの目が赤く染まる。
「おおおおおおおおお!」
フミヤはアクタの剣で巨大なハッピクジラを三枚おろしにしながら、もう一方の大精霊のナイフでさらに肉を細かく分断していく。あっという間に浜には1000角ほどのハッピクジラのブロック肉が大量に積み上がっていった。
フミヤはいつのまにか神から授かった恩恵を、料理のため自分流で応用できるようになっていた。
メロはカットされた肉を口に入れ、口内に貯めておいた大量の海水で洗浄し、スキル『お口に収納』でそのまま体内に保管した。重宝され続けた『お口に収納』も今やLV7となっていた。さらにLV5を超えてからスキルは一段階能力を上げ、メロがどれだけ体内に物を仕舞っても体の大きさが変化しなくなった。メロは完全に自分の体の大きさを自由自在に変化させる事ができるようになったのだ。
「ありがとう、ネレウス!」
「うむ」
「これからも頼むよ」
「その事なんだが……」
「どうしたの?」
「しばらくここには来れそうもない」
「なんだって!」
「なにやら、我が管轄する内海の様子が変なのだ。もしかすると『厄災』によるものかもしれぬ」
「しばらくってどれくらいなんだよ」
「わからぬ。寂しくはなるが、これも定め我慢してくれ」
「できるかーー!」
「えっ?」
「今度から誰がハッピクジラを取ってくるんだよ!」
「はぁ?」
「お前がいないとハッピクジラが手に入らないだろ?」
「あ、ああ」
「それは困る! 非常に困る! なんとかしろ」
(なんて自己中心的なヤツなんだ……)
フミヤの無茶ぶりに困惑するネレウスだった。
一週間、魔力を放出し続けたファリスは解呪後、バタリと倒れ三日間の深い眠りに就いた。ヴィオラは自宅へ帰り、しばらくは通常生活と送る事となる。ブリズエラは自分の城へ戻り、城の修復作業の指示やさらなる強さを求めるべくレイモンドと鍛錬に勤しんでいる。
目が覚めたファリスはトーレムグレイグ王の命を受け、ベンがドレンに施した紋様の解析に取り掛かった。しかし、解析にはしばらく時間がかかりそうだ。
そして、フミヤはと言うと……。
メロを連れ、レイキギス浜に来ていた。
「それでは行きます!」
*フミヤは敬礼のポーズをとった。
「モキュ!」
*メロは敬礼のポーズをとった。
「出でよ、ネレウス」
フミヤは海域の主LV3を発動した。
「我を呼ぶのはおまえか?」
大きな水飛沫を上げ、姿を現す巨大な海蛇。
「もういいよ。もうそのくだり聞き飽きたから」
「これは一応、形式的なモノで必要なのだ」
「そう? まあいいや。じゃあ、いつものよろしく!」
「うっ、またか……」
「嫌ならもう呼ばないぞ!」
「まっ、待て! わかっておる」
ネレウスは一度海に潜り、大きなクジラを咥え再び顔を出す。ネレウスが咥えているクジラはハッピクジラだ。
「おお! いつもありがとねー」
フミヤは時折ネレウスに頼み、このような形でハッピクジラを入手していた。そのおかげで、フミヤのスキル『海域の主』はLV3まで上がっていた。
まかないで好評だった事により、メニュー入りした『ハッピクジラのお刺身』は「ビアに合う」と、いつの間にか冒険者の間で大人気商品となり、今ではハッピクジラはモンペロにとってなくてはならない食材となっていた。
フミヤはアクタの剣を右手にの大精霊のナイフを左手に構える。
「それでは、行きます!」
「モキュ」
メロは再び敬礼のポーズをする。
「狂乱の戦神(LV4)!」
フミヤの目が赤く染まる。
「おおおおおおおおお!」
フミヤはアクタの剣で巨大なハッピクジラを三枚おろしにしながら、もう一方の大精霊のナイフでさらに肉を細かく分断していく。あっという間に浜には1000角ほどのハッピクジラのブロック肉が大量に積み上がっていった。
フミヤはいつのまにか神から授かった恩恵を、料理のため自分流で応用できるようになっていた。
メロはカットされた肉を口に入れ、口内に貯めておいた大量の海水で洗浄し、スキル『お口に収納』でそのまま体内に保管した。重宝され続けた『お口に収納』も今やLV7となっていた。さらにLV5を超えてからスキルは一段階能力を上げ、メロがどれだけ体内に物を仕舞っても体の大きさが変化しなくなった。メロは完全に自分の体の大きさを自由自在に変化させる事ができるようになったのだ。
「ありがとう、ネレウス!」
「うむ」
「これからも頼むよ」
「その事なんだが……」
「どうしたの?」
「しばらくここには来れそうもない」
「なんだって!」
「なにやら、我が管轄する内海の様子が変なのだ。もしかすると『厄災』によるものかもしれぬ」
「しばらくってどれくらいなんだよ」
「わからぬ。寂しくはなるが、これも定め我慢してくれ」
「できるかーー!」
「えっ?」
「今度から誰がハッピクジラを取ってくるんだよ!」
「はぁ?」
「お前がいないとハッピクジラが手に入らないだろ?」
「あ、ああ」
「それは困る! 非常に困る! なんとかしろ」
(なんて自己中心的なヤツなんだ……)
フミヤの無茶ぶりに困惑するネレウスだった。
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