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4 それぞれの。
榊と平井
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やっぱり平井先生が変だ。
研修のころから授業もうまいし、正式採用になってからは、事務仕事もミスなくこなす。すごく出来るやつが入ってきたなあ、と思ってたのに。このところ、ちょっとボーッとしていることが多いし、ポカミスが増えた。
これってまさか、メンタル的危機じゃないよね。
毎日観察してるけど、うーん。
「ね、平井先生」
「はい。なんでしょう」
「最近、ポカミス多いよね。夜、ちゃんと寝てる?」
「はい。前と変わらないです」
「なんか悩みがあるとか」
「あー、あるようなー」
「言ってみなよ」
「ここでは、ちょっと」
ここでは言えない悩みか。
「榊先生質問良いですか?」
「いいよ」
生徒から声がかかる。そろそろ期末試験が視野に入ってきたかな。
生徒の質問が終わり、事務仕事をして、そろそろ帰り支度かな、というころになって。
「あの、明日とか時間いただけませんか」
「ご飯でも食べに行く?」
「そうしていただけると」
心なしか元気もないように見える。結婚するって言ってたし、これがマリッジブルーってやつか?
征吾からLINEが入った。へー、廣瀬結婚するって決めたのか。そうか。
「平井先生、こないだ男ばっかで行ったところでもいい?」
「はい」
どこでもいっす!くらい言ってたよな、ちょっと前なら。
調子が狂いそうなほど、しおらしい平井先生と、居酒屋に入る。
「何飲む?」
「あ、俺、ウーロンハイで」
「そ。じゃ俺、ハイボール」
とりあえずビールとか言わないで、好きなのを2人とも頼む。鈴木、水谷両先輩と一緒のときは、平井先生も生ビール飲んでたな。
「俺、4年間片思いだったんですよ」
いきなりかよ!
「んと、それって結婚する相手の話?」
「あ、そうです。で、こないだ実家から兄が泊まりに来て、なんか勢いでプロポーズさせられて。そしたら、結婚するってなって」
「ちょっと待って。片思いからいきなりプロポーズしたの?」
「そうです。ていうか、言わされました」
「お兄さんに?」
「いえ。那由さんに。結婚してください、って言ってみ、って言われて、言いました」
彼女さん、なゆさんっていうんだ。へー。
「えっと。そういう相談は鈴木さんの方が良くない?あの人既婚者だし」
「鈴木さんは、たぶん、片思いとかしたことないから俺の気持ちわかんないんじゃないかって思って」
待て。俺はわかるのかよ。
「で?」
「俺、ずっと好きだったけど、まさか向こうも好きって思っててくれてるなんて思ってなかったんで、なんていうか」
「お前、初めてできた彼女と結婚する、とかじゃないよな。今までにも付き合った人いたよな」
「はい一応。
俺、どうしたらいいか、わかんなくなっちゃって。」
そのまま頭を抱え込んでしまう。いや、俺にもわかんねえよ。
「とりあえず、デートとかしてみりゃいいんじゃね?」
「でも、俺ら一緒に住んでるし」
「はぁん??」
なんなんだ、お前。どういうことだよ、それ。
そこから、ようやく、平井先生は、婚約者と4月から一緒に住んでること、那由さんは大学の先輩で、今博士後期にいること、一緒に住む条件が研究を続けることだったことをポツポツ話した。
「うーん。平井くん、ごめん、役に立つようなこと俺言えないな」
「そうですよね、すみません」
「でも、先輩として一言言わせて」
「はい」
「シャキッとしろ」
バン、と背中を叩いてやる。ヒャア!って声があげて、平井くんが急に立ち上がる。
「すみませんでした。仕事中は、シャキッとします」
ペコッと頭を下げる。腑抜けやがって。
どいつもこいつも。なんだよ、うらやましい。
研修のころから授業もうまいし、正式採用になってからは、事務仕事もミスなくこなす。すごく出来るやつが入ってきたなあ、と思ってたのに。このところ、ちょっとボーッとしていることが多いし、ポカミスが増えた。
これってまさか、メンタル的危機じゃないよね。
毎日観察してるけど、うーん。
「ね、平井先生」
「はい。なんでしょう」
「最近、ポカミス多いよね。夜、ちゃんと寝てる?」
「はい。前と変わらないです」
「なんか悩みがあるとか」
「あー、あるようなー」
「言ってみなよ」
「ここでは、ちょっと」
ここでは言えない悩みか。
「榊先生質問良いですか?」
「いいよ」
生徒から声がかかる。そろそろ期末試験が視野に入ってきたかな。
生徒の質問が終わり、事務仕事をして、そろそろ帰り支度かな、というころになって。
「あの、明日とか時間いただけませんか」
「ご飯でも食べに行く?」
「そうしていただけると」
心なしか元気もないように見える。結婚するって言ってたし、これがマリッジブルーってやつか?
征吾からLINEが入った。へー、廣瀬結婚するって決めたのか。そうか。
「平井先生、こないだ男ばっかで行ったところでもいい?」
「はい」
どこでもいっす!くらい言ってたよな、ちょっと前なら。
調子が狂いそうなほど、しおらしい平井先生と、居酒屋に入る。
「何飲む?」
「あ、俺、ウーロンハイで」
「そ。じゃ俺、ハイボール」
とりあえずビールとか言わないで、好きなのを2人とも頼む。鈴木、水谷両先輩と一緒のときは、平井先生も生ビール飲んでたな。
「俺、4年間片思いだったんですよ」
いきなりかよ!
「んと、それって結婚する相手の話?」
「あ、そうです。で、こないだ実家から兄が泊まりに来て、なんか勢いでプロポーズさせられて。そしたら、結婚するってなって」
「ちょっと待って。片思いからいきなりプロポーズしたの?」
「そうです。ていうか、言わされました」
「お兄さんに?」
「いえ。那由さんに。結婚してください、って言ってみ、って言われて、言いました」
彼女さん、なゆさんっていうんだ。へー。
「えっと。そういう相談は鈴木さんの方が良くない?あの人既婚者だし」
「鈴木さんは、たぶん、片思いとかしたことないから俺の気持ちわかんないんじゃないかって思って」
待て。俺はわかるのかよ。
「で?」
「俺、ずっと好きだったけど、まさか向こうも好きって思っててくれてるなんて思ってなかったんで、なんていうか」
「お前、初めてできた彼女と結婚する、とかじゃないよな。今までにも付き合った人いたよな」
「はい一応。
俺、どうしたらいいか、わかんなくなっちゃって。」
そのまま頭を抱え込んでしまう。いや、俺にもわかんねえよ。
「とりあえず、デートとかしてみりゃいいんじゃね?」
「でも、俺ら一緒に住んでるし」
「はぁん??」
なんなんだ、お前。どういうことだよ、それ。
そこから、ようやく、平井先生は、婚約者と4月から一緒に住んでること、那由さんは大学の先輩で、今博士後期にいること、一緒に住む条件が研究を続けることだったことをポツポツ話した。
「うーん。平井くん、ごめん、役に立つようなこと俺言えないな」
「そうですよね、すみません」
「でも、先輩として一言言わせて」
「はい」
「シャキッとしろ」
バン、と背中を叩いてやる。ヒャア!って声があげて、平井くんが急に立ち上がる。
「すみませんでした。仕事中は、シャキッとします」
ペコッと頭を下げる。腑抜けやがって。
どいつもこいつも。なんだよ、うらやましい。
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