78 / 112
5 飛び込む勇気
留守番組
しおりを挟む
「珍しいなあ、廣瀬、榊の同期ペアと昼一緒になんの」
昼定食のトレーを鈴木先生は廣瀬先生の、僕は榊先生の隣に置く。
「夏休みしか、昼休みにご飯食べられないですからね」
夏休みの学食は、教職員専用の体をなす。
「いつもお前ら一緒に飯食ってるの?」
「いつもではないんですけど、俺ら、五限目授業入ること多いんで、たいがい4限目に早弁ですね」
「手を動かせるから、昼ご飯後の生徒の眠気対策なんでしょうけど、物理って、毎日実験するわけでもないんだけどっていう」
「キツい日もあるよな、金曜日とか」
「体育で持久走やった日とか」
同期ペアの2人の会話がとまらない。この2人は本当に仲が良い。
「水谷先生、なんかありました?」
廣瀬先生は人の顔色を読むのがうまい。里見先生もよく失敗を見破られている。
「里見先生、国語科の模擬授業、あまり上手く出来なかったって、昨日連絡がありまして」
「で、なんで水谷ちゃんが元気をなくすのか」
「指導案も見ましたし、模擬授業のリハーサルもかなり積んだのに、もっとしてやれることはなかったのか、と思いまして」
鈴木先生がパクリと僕の皿に載ってたピーマンを食べる。
「水谷ちゃん、もし、学期中質問によく来た生徒の試験の点数が悪かったら、どう指導する?」
「答案を分析して、どこが出来ていないかを把握して、理解の弱いところを再指導、でしょうか」
「教師と生徒として、なら出来ることがなぜ里見相手だと出来なくなるのか。俺にはサッパリわからんけど、水谷ちゃんは里見相手だと急にダメ教師になるよな。特に、あれだ。最近その傾向が強い」
ダメ教師。鈴木先生の思いがけない強いダメ出しに、驚く。
「なんでそうなっちゃうかは知らないけど、生徒相手も新任相手もそう変わらないんじゃないの?やることはさ」
榊先生と廣瀬先生は、さっきまでの会話が嘘のように黙々と食べている。
「すみません」
「あ、悪い悪い。空気重くして。それより廣瀬、来週彼氏の実家行くんだって?」
榊先生がビクッとしている。
「あ、愛莉が研修から戻ったら夏休みいただくので、愛媛と岐阜にあいさつ行ってきます」
「両家回るんだ」
榊先生が、定食に目を落としたまま聞く。
「うん。四国初上陸。一週間まるまる留守にします」
「準備着々と進んでるのなあ」
鈴木先生が目を細める。
榊先生が手を合わせてごちそうさま、といい立ち上がり
「あ、俺実験室の鍵開けっ放しかもしれないんで、先戻ります」
そそくさと食堂を出て行ってしまう。
「あ、わたしも済んだんで。先に失礼します」
廣瀬先生が、続いて席を立つ。
「榊は、まだ失恋の痛みから回復してないのな」
鈴木先生がぽつりと言って、また僕の皿からピーマンを取ってくれた。
昼定食のトレーを鈴木先生は廣瀬先生の、僕は榊先生の隣に置く。
「夏休みしか、昼休みにご飯食べられないですからね」
夏休みの学食は、教職員専用の体をなす。
「いつもお前ら一緒に飯食ってるの?」
「いつもではないんですけど、俺ら、五限目授業入ること多いんで、たいがい4限目に早弁ですね」
「手を動かせるから、昼ご飯後の生徒の眠気対策なんでしょうけど、物理って、毎日実験するわけでもないんだけどっていう」
「キツい日もあるよな、金曜日とか」
「体育で持久走やった日とか」
同期ペアの2人の会話がとまらない。この2人は本当に仲が良い。
「水谷先生、なんかありました?」
廣瀬先生は人の顔色を読むのがうまい。里見先生もよく失敗を見破られている。
「里見先生、国語科の模擬授業、あまり上手く出来なかったって、昨日連絡がありまして」
「で、なんで水谷ちゃんが元気をなくすのか」
「指導案も見ましたし、模擬授業のリハーサルもかなり積んだのに、もっとしてやれることはなかったのか、と思いまして」
鈴木先生がパクリと僕の皿に載ってたピーマンを食べる。
「水谷ちゃん、もし、学期中質問によく来た生徒の試験の点数が悪かったら、どう指導する?」
「答案を分析して、どこが出来ていないかを把握して、理解の弱いところを再指導、でしょうか」
「教師と生徒として、なら出来ることがなぜ里見相手だと出来なくなるのか。俺にはサッパリわからんけど、水谷ちゃんは里見相手だと急にダメ教師になるよな。特に、あれだ。最近その傾向が強い」
ダメ教師。鈴木先生の思いがけない強いダメ出しに、驚く。
「なんでそうなっちゃうかは知らないけど、生徒相手も新任相手もそう変わらないんじゃないの?やることはさ」
榊先生と廣瀬先生は、さっきまでの会話が嘘のように黙々と食べている。
「すみません」
「あ、悪い悪い。空気重くして。それより廣瀬、来週彼氏の実家行くんだって?」
榊先生がビクッとしている。
「あ、愛莉が研修から戻ったら夏休みいただくので、愛媛と岐阜にあいさつ行ってきます」
「両家回るんだ」
榊先生が、定食に目を落としたまま聞く。
「うん。四国初上陸。一週間まるまる留守にします」
「準備着々と進んでるのなあ」
鈴木先生が目を細める。
榊先生が手を合わせてごちそうさま、といい立ち上がり
「あ、俺実験室の鍵開けっ放しかもしれないんで、先戻ります」
そそくさと食堂を出て行ってしまう。
「あ、わたしも済んだんで。先に失礼します」
廣瀬先生が、続いて席を立つ。
「榊は、まだ失恋の痛みから回復してないのな」
鈴木先生がぽつりと言って、また僕の皿からピーマンを取ってくれた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる