DNAの改修者

kujibiki

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第113話 領主会議ーバルゼ領編24

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翌朝は昨年と同じようにゆっくり目に起きました。
帰りは“転移の祠”を使って一瞬なので楽ちんです。

昨晩もあれから宿に帰ってお母さんをお風呂で丁寧に洗ってお仕事の疲れを癒してあげてから寝ました。

一昨日と同じように身体を洗い終えたところで気を失ってしまったので、綺麗に洗い流してから身体を拭き、ベッドに寝かせてあげたのです。

喜んでもらえるのは嬉しいですが、お風呂に入るたびに気を失われるのも怖い気がします。

朝起きたらお母さんは先に起きていて、もう一度お風呂に入っていたみたいですが、今日のお母さんもとっても元気で綺麗です。



「お母さん、“転移の祠”で帰るんだったら少し観光してから帰らない?」
朝食を食べている時にちょっと頼んでみました。

『どうしたの?』

「昨年、一瞬で帰れることが分かったからお父さんや屋敷のお姉ちゃん達に、“野菜包み”や“りんこパフ”をお土産に買っていってあげようとは思っているんだけど、出来たらこっちの“りんこ”をロッキお姉ちゃんやフランお姉ちゃんに持って帰ってあげたいなって思ってね」

「たぶん“あくみ狩り”と同じようにどこかで“りんこ狩り”が出来るんじゃないかと思って…」

『そういう事ね』

「シャルル様、それは良いかもしれませんね」

「実際の“りんこ”と“りんこパフ”を食べれば、フランも作りやすいかもしれませんよ」

「さすがです、シャルル様」

『じゃあ、後でメンテールに“りんこ狩り”が出来る所を聞いておいてもらいましょう』

「うん、メンテールお姉ちゃんお願いね!」

「はい、任せておいて下さい」



『じゃあ、出発しましょうか。メンテール、どうでした?』

「はい、“りんこ狩り”が出来るところがありました」
「なんでも、先日食べに行った“りんこパフ”のお店が果樹園も運営しているそうです」

『へぇ~、自分達で作った“りんこ”を“りんこパフ”にしているのね』
『じゃあ、行ってみましょうか』

向かってみると、先日行ったお店の近くに“りんこ”の果樹園がありました。

「すいませ~ん、ここで“りんこ狩り”が出来ると聞いたのですが…」

メンテールお姉ちゃんが施設の方に聞いてくれています。

「はい、出来ますよ。今年は豊作ですからね。“りんこ狩り”を楽しんでいってください」

僕たちは人数分の入場料を払い、一籠ずつ受け取り果樹園の中に入ります。

「では、これが美味しい“りんこ”の見本です。赤くて艶やかなのが美味しいですよ」
「入場料で一籠分となりますから、こぼれ落ちないだけ持って帰っていただけます」

「お客様方は人数も多いですし、もし食べきれそうになければこちらで買い取らせていただきますね」

そう説明すると施設の方は果樹園の外に出て行きました。

「ルーシャ様、もしかしてこれは“あくみ”と同じ事になるのでは…?」

『そ、そうね。シエラ…』

「シャルル様について行きながら、皆で“りんこ”を採っていった方が良いかもしれませんね」

「シャルル様の採った“りんこ”はきっと美味しいはずです。屋敷にいる者も喜びますよ~」

「皆がそこまで言うならそうしようかな」

「はい、私達もシャルル様が指示された物を採っていきますよ」

「じゃあ、美味しい“りんこ”を探そうかな…」と、口にしてそう思ったとたん自然に果樹園の中にポウッと光る“りんこ”が見えるようになりました。
何だろう、本当に便利すぎるよ…。



「じゃあ、言うね。シエラお姉ちゃんはあの木のあれとそれ、トリスお姉ちゃんはあの木の少し高いところにある3個、メンテールお姉ちゃんは、え~っと、その木にはないから隣の木のあの陽に当たっているやつ、キルシッカお姉ちゃんはあっちの木になっている赤くて綺麗な物、お母さんは付いて来て…、僕が採って入れていくから…」

「「「「はい!」」」」
『分かったわ』



次々に指示を出しながら皆で“りんこ狩り”を進めていき、お昼までには全ての籠が満杯になるほど“りんこ”が採れました。

「ふぅ~、いっぱい採ったね~」

「なんだか、採った物が絶対美味しいって分かっていると、疲れを感じませんね」

「本当にトリスの言う通りだわ。なんといってもシャルル様が選ばれているんだもの…。属性石を探している時のことを思い出しましたよ」

「これならおいしい“りんこパフ”が屋敷でも食べられそうですね」

『シャルルの採った“りんこ”がどれほど美味しいのか楽しみだわ』

「きっとまた施設の方が驚くんじゃないでしょうか…」

『そ、そうね。どうしようかしら…』



「あ~、お客さん、お昼前に採り終わったようですね」
「ちゃんと美味しそうな物を選んでいただいているみたいです…」

「ルーシャ様、施設の方が来られちゃいましたね」

『シャルル、どうします? 全部屋敷に持って帰りますか?』

「施設のお姉さん、僕たちの採った“りんこ”で“りんこパフ”は作れる?」
「お土産で買っていこうと思っていたから、出来たらこの“りんこ”を使って欲しいんだけど…」

「はい、出来ますよ。皆さんが昼食をとられている間に作れると思います」

「ちょっと待ったぁ~っ!」

「ど、どうしたのトリスお姉ちゃん」

「ルーシャ様、それならこの方に“りんこ”を一個食べておいてもらった方が…」

『なるほど、そうね…』

「トリスもなかなか悪知恵が働きますね」

「ひどいですぅ~、私はシャルル様の採った“りんこ”の価値に気付いて欲しいだけなんです!」

「確かにトリスのいう事はもっともね」

「はい、メンテール先輩。私もそう思います!」

『じゃあ、施設の方、私達の採った“りんこ”を使ってくださると言うことで、一つ試食をされてみてはいかがでしょう』

「いや、試食って…。私達の果樹園ですから味は分かっていますけど…」

『まあ、そうおっしゃらずに。みんなで一口食べてみましょうよ』

「そうおっしゃられるのなら…」



「「「「「『美味しい~っ!!』」」」」」

「なっ…、なっ…、なんて…」
「なんて美味しい“りんこ”なんでしょう。こんな“りんこ”は生まれて初めて食べたわ」

『いかがでしたか?』

「い…、言い値で買い取らせていただきます!」

『金額はあなたにお任せしますが、全部はダメですよ~。シャルルどうしたいですか?』

「じゃあ、一籠分を僕達のお土産用に“りんこパフ”にしてもらって、二籠分を譲っても良いよ。半分の三籠分は屋敷の皆へ持って帰ろうかな」

「あ、ありがとうございます。では早速お作りします!」

施設の人はそう言って計三籠分を持っていかれました。

「なんだか、またすごい話になりそうですね」

『本当ねぇ』

「シャルル様ですから当然です!」

「まぁ、トリスの機転のおかげでシャルル様のすごさは伝えられたわね」

『じゃあ、私達も残りの“りんこ”を魔動力車に積んで、昼食に行きましょうか』

「「「「はい!」」」」



僕たちは昼食を済ませると“りんこパフ”のお店に戻ってきました。

「すいませ~ん」

メンテールお姉ちゃんがそう言いながら扉を開けて皆で店内に入ると、「いらっしゃいませ~」と挨拶が聞こえます。

「お昼前に“りんこパフ”をお願いした者なんですが…」

「あっ、あの“りんこ”の…、しょ、少々お待ち下さい」と、店員さんは慌てて店の奥に入っていきました。

「皆様、お待たせいたしました…」

そう言いながら先ほどの施設の方が出てこられましたが、どうやらこのお店の責任者でもあるようです。

「“りんこパフ”はちょうど焼き上がり準備しております。え~と…、ル、ルーシャ様でしたか…?」

『はい?』

「もしかしてエルスタイン領主のルーシャ様でしたか?」

『はい、そうですけど』

「!!」
「申し訳ありません。先ほど気付くべきでした。こんなにメイドの方もいらっしゃるのですから…」

『いえいえ、かまいませんよ。皆で楽しく“りんこ狩り”も出来ましたから…』

「先ほどの“りんこ”の買い取り金額は、出来上がった“りんこパフ”をお持ちする時にお支払いしますが、別にお願いがあるのですが…」

『何でしょうか?』

「私達が買い取った“りんこ”でも“りんこパフ”を作ってみたのですが、実は私達がいつも作っている物とは比べられないほど美味しい物になってしまったんです」

『やっぱりですか…』

「はい…? こ…これでは、いつものように売っていてはお客様に不公平が生じてしまいます」
「ですから、数量限定の特別商品として通常の物とは違うという事を宣伝させていただきたいのです」

『そうですか…』

「どうもルーシャ様は“りんこ”に関してはそちらの男の子に任せておられるようですので、その男の子の名前を使わせていただけないでしょうか?」
「確かシャルル様でしたね…。呼び捨てで申し訳ありませんが“シャルルのりんこパフ”として販売してはダメでしょうか?」

『どうしますか? シャルル…』

「お母さんに任せるよ」

『……では、2つ条件があります』

『一つは、シャルルの採った“りんこ”を使った“りんこパフ”にしかその名前は付けない事。おそらく二籠分の“りんこ”では数日分にしかならないでしょう』

『もう一つは、シャルルが誰かとなった時に、決して素性を明かさない事です。これらが守れるなら、数量限定分の商品名に使っても良いでしょう』

「わ、分かりました。ありがとうございます。必ず守ります」

その後、僕たちは円く作られた“りんこパフ”を30個と、“あくみ”を購入してもらった以上のお金をもらってお店を出るのでした。

それからお土産の“野菜包み”を買って“転移の祠”に着いた頃には夕方前になっていました。

『さぁ、帰りましょうか』

「「はい」」

じゃあ、昨年と同じようにシエラは魔動力車の誘導を、メンテールは“転移の祠”の警備の者に報告をお願いします。

「「はい」」と、答えると二人は乗客室から降りていきました。

そういえば、昨年はこの魔道具にシャルルが触ると輝いたのでしたね。
すっかり確認するのを忘れていたわ。

「お母さん、どうしたの? 魔道具を見つめて…?」

『いえ、昨年シャルルが触った時に光ったことを思い出していたんです』

「そういえば、そうだったね。あれは驚いたよね」

『もう一度触って見ますか?』

「えっ、いいの?」

『良いわよ。ちょっと触れてみて…』
まぁ、今の乗客室に私とシャルルだけですし問題ないでしょう。

『まっ、眩しっ…い』

シャルルがそっと魔道具に触ると、またしても魔道具が一瞬輝きました。

「うゎ~っ! また輝いたよ!?」

『や、やっぱりシャルルの影響のようです。一体何なのかしら…』

「ル、ルーシャ様、一瞬乗客室内が輝いたように見えましたが…」と、言いながら乗客室に入ってきたシエラお姉ちゃんは僕を見て察したようでした。



みんなが再度魔動力車に乗り込みお母さんが【転移】の魔法を使うと、そこはエルスタイン領の“転移の祠”です。

お母さんが“転移の祠”を警備している人に領主会議から戻ったと声を掛けて外に出ると、もうすぐ夕暮れ時でした。

「あ~、なんだか懐かしい感じがするねぇ」

「そうですね。12日間しか領都から離れていないんですけどね」

「私も久しぶりに領都の外に出ることが出来て楽しめました」

『本当に内容の濃い旅でしたねぇ』

屋敷に着くと、メルモアお姉ちゃんとヌエットお姉ちゃんが出迎えてくれました。
ナモアイからの知らせで盗賊に襲われたことを知っていて心配してくれていたそうです。

「ごめんね、心配かけちゃって。いっぱい美味しい物を買ってきたから皆で食べようね」
僕は二人にそう声を掛けるのでした。



XX XX XX XX XX XX

バルゼ領編でしたがいかがだったでしょうか。
当時は勢いで書いていましたが、修正しても読み難いですね…。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
まだまだ続きます。
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