天宮の13闘士達

かき氷はイチゴ味が一番

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第四話 蟹座の闘士「雨桐(ユートン)」

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 中国大陸の奥地のほうに住む14歳の少女「雨桐(ユートン)」は大変慎まし
やかで家事洗濯炊事などにいそしむ働き者であった。
 はにかみ屋で照れ屋で人前では口数は少なく、よく年齢の近しい男の子たちが、
また荒々しい大人の男達が喧嘩などしてもオロオロしたり、泣いてしまい隅っこ
に隠れてしまうようなタイプであった。
 しかしいっけのく病に見える彼女は心から皆が仲良く平和に暮らすことを願い、
喧嘩などで傷ついたものを放っておけずに手当をしたり面倒見るタイプであった。
 よく見れば顔立ちが整っていて美少女なのであるが平凡で目立たないように
見えて化粧っ気もなければ生家も決して裕福でないので着物も地味であったの
で特に異性からも好感以上のものは持たれなかったが、優しくて知的であることは
誰もが認めていた。
 時間さえあれば族長の家や図書館に行き、興味ある本を読んで勉強も良くした。
 そんな平和な彼女の住む村に突然悲劇が訪れる。
 突然に対立する異民族の武装集団が侵入し暴れ出した。
 彼らは問答無用でユートンの村の人達の大事なモニュメントや広場で破壊行為を
して逃げ出した人々から金品を強奪し、さらに若い女と見るや暴行を加えようと
しだした。
「よさぬか!」
 ここにきてユートンの村の男達も反撃しだしたが侵入者たちはそれを待っていた
かのように持っていた武器で容赦なくユートンの村の人たちを傷つけ始めた。
「ううっ・・・」
傷つけられて動かぬ男性や既にピクリとも動かぬ男性も見える。
 一気に修羅場になり、逃げ遅れた若い女性が捕まり脱がされていき暴行されかけ
「きゃー、やめてー」
と悲鳴を上げている。
 次々に村人たちが仲間を救おうと加勢するが初めから武装してきた集団は無情に
も軽装で立ち向かう人々を殺戮していく。
(急にどうしてこんな・・・)
 あまりの惨状に隠れて隅で震えているユートン。
 そんな彼女の脳に響く声で
「私がけしかけたのよ」
という言葉が聞こえてくる。
「誰?今私に語り掛けたのは?」
 ユートンが隠れている小屋の片隅でキョロキョロ周りを見るが誰も居ない。
「私は裁定の神アテーネよ。蟹座の闘士と言うお前の能力を試すため、隣の民族の
連中を凶暴化させてけしかけたのに何よ、てんでお話にならない小娘だわね」
「私が?蟹座の闘士??」
「まあ、いいわ。あんたの村を絶滅させてあげるわ。人間の醜さと己の無力を思い
知りなさい、ホホホ・・・」
 ユートンの脳から神の声が消えていく。
 彼女はハッとして立ち上がって小屋の外に駆け出していく。
 視界に入るだけでも多くの人が倒れている。
 あちこちで女性が乱暴されている。
「やめてください!」
 一番近くで20歳くらいの女性を乱暴しかけていた男二人に向かってユートンは
ぎこちないパンチを繰り出してから
「はぁ、はぁ」
と興奮と恐怖の半々で立つ尽くす。
「なんだ、このガキは」
「しゃしゃり出てこなければケガしないものを」
「おい、色気もないガキだが男の味ってのを教えてやろうぜ」
「けけけ、そうだな」
異民族の二人の男がユートンに手をかけようとするとユートンはとっさに
「ウォーターストーム!」
 と空中の水蒸気を一気に集めて水流を作って一人の男を吹き飛ばした。
 その男は数m弾き飛ばされて地面にたたきつけられて
「ぐぅっ・・・」
とうめき声をあげた。
「貴様!何するか~!!」
 もう一人の男がユートンを蹴り上げる。
「痛い!!」
ユートンは蹴り倒されたもんどりうったところに、水流で弾き飛ばされた男が
「どんな手品使ったかわからないが、この小娘め、懲らしめてやる」
とユートンを乱暴に何度も平手打ちしてさらに下腹部を殴る。
「ぐへっ!」
あまりの痛さにユートンは身をよじるが男達は殴るけるを繰り返した後で、
「よーし、ガキ娘の未熟なところの御開帳といくか」
とユートンのスカートを脱がそうとする。
(や・・・やめて・・・)
ユートンがそう心の中でつぶやいて絶望を感じた時、男達の突然の悲鳴と彼女
のスカートを脱がそうとする手が離れていった。
「ふー、間に合ったわね」
 ユートンの目の前に長い金髪をたなびかせるスタイルの良い少し年上っぽい
女性戦士が立ち塞がる。
「話は後よ。あなたにこれをかざしてあげる」
 その女性戦士はユートンに向けて彼女が今まで見たこともないような光り輝く
渦を放って纏わせた。
「これは正義の神ジャスティス様から借りてきた光のしずくよ。蟹座の闘士よ、
目覚めるのよ」
「これは・・・・?」
 ユートンに何か今まで自分でも気付かなかった隠された能力が体の奥から湧い
てくるような気がした。
「一緒に戦うわよ」
「はい!」
 ユートンは自然科学現象の本を読むことが好きで興味を持っていた。
 彼女は力が弱く肉弾戦タイプでないが水と風を利用した攻撃魔法と、敵に眠り
を催す技、そして味方の傷を治すヒーラーの能力があった。彼女の真面目さと
平和を願う心の武器は味方をサポートする能力が高いところであった。
 しかし今の彼女は村の人たちを救うためにあえて心を鬼にして仲間達を傷つけ
た異民族を退散させるために攻撃をした。
 もう一人の女戦士の光の攻撃や体術の戦闘能力も手伝って敵100名弱は二人
の少女の闘士の前に散々になり
「逃げろー」
と退散していった。
 しかし村人の中の男性で死者が10名以上、重軽傷者は50名以上、そして体だけ
でなく心にも深い傷を負い泣き伏せたまま起き上がれない女性も多く・・・。
 折角村を救ってもその姿を見てユートンも悲しくなり泣き出しそうになったと
ころを彼女を助けてくれた謎の女戦士が慰めながらも
「蟹座の闘士よ、このような悲劇をもたらしたのは暗黒神とその手下24人の神
の仕業です。彼らが先導しなければここまでの悲劇は起こらなかったでしょう」
「暗黒神・・・24の・・邪悪な神々・・・?」
「そう、彼らを我らがリーダー正義の神ジャスティスのもとで打ち倒すのが13人
の選ばれし闘士の務め。ユートンよ、蟹座の闘士として私と一緒に日本の天津
仙郷に向かいジャスティス様のお言葉を聞くのです」
「・・・あなたは?」
「私は牡羊座の闘士ジャクリーン」
「・・・私は戦いなんて本当は嫌い。でも・・・運命なのですね」
 ジャクリーンは無言で頷いた。
 二人の女性闘士は静かにこの地を去り日本の天津仙郷に旅立っていくので
あった。

                              <完>
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