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空腹

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剛さんはよほどらのことがあったんだろう。

毎日毎日洗濯している時にやってきて殴ったり蹴ったり、冷水を浴びせたり。

ほんと、毎日飽きないよな。
だから僕はその日数分ご飯が食べられていない。もう5日目だ。

この5日間は夜の仕事がないから暖かいご飯も暖かいお風呂もない。
あの日から熱も下がらずにいる。熱があるので髪の毛を洗うだけにしているが、剛さんが冷水をかけてくるので熱は下がってくれないんだ。

身体中が悲鳴を上げている。
どこもかしこも傷だらけ。

特にお腹は何をするにも痛くて痛くて仕方ない。

いつの間にか気絶していて気づいたら夕方なんてこともあった。
そんな日は洗濯ができていないからメイド長に怒られる。

夜寝る前にトトとココと触れることだけが今の僕の楽しみだ。

「トト、ココ、おいで。」

2匹は自分の名前も覚えてくれたみたいで僕が名前を呼ぶと近くに来てくれる。

僕がいない間は2匹で遊んでいるんだろう。

体を動かすことが辛い僕は2匹と思いっきり遊ぶことはできていないが、2匹は僕に撫でられると喉をゴロゴロいわせて喜んでくれる。

「お前たちにはご飯で苦労させないからな~」

そう言いながら、僕のお腹はずっとぐーぐーなっている。
買い物に行く気力もなくて、今日は子猫用のカリカリを少し食べてしまった。これまでも空腹だった時はあるがここまで空腹なのは初めてで、ゴミ捨ての時もたくさんの食べ残しがあるんだ。それを見てお腹が鳴るんだ。

さっさと寝てお腹の空きを誤魔化そう。
僕が寝るのが分かるとトトが寄ってきて寝具に入る。顔をぺろぺろ舐めてくれる。これはトトの癖だ。僕はこれが大好き。トトに愛されているような錯覚に陥るから。
ココは僕のお腹が大好きでいつもおなか上で寝ている。
最近ちょっと痛いけど、ココに乗られると嬉しいから我慢できる。

「ココ、そっちで遊んでないで一緒に寝よ?」

そう言うとココも僕の近くにやってきた。

3人で一緒に眠ると幸せな気分になれるんだ。ここ数日は僕の体温が高いからいつもより2匹を温められているしね。

静かな夜に2匹の鳴き声と僕のお腹の音がこだまする。

「ふふっ、お腹ずっと鳴ってるね。明日は頑張って昼までに仕事終わらせて、それで、一緒にご飯食べようね。」

明日お魚だといいな。特にトトはお魚が大好きで、すごい食いつきいいんだ。
ココは鶏肉をあげたときに食いつき良かったからお肉が好きみたい。

「トト、ココ、おやすみ。また明日ね。」


また明日も同じ日が来るんだって。そう思っていたのに。




---キィ

ドカッ!!!!

衝撃で目が覚めた。

トトもココも威嚇している。
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