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寅吉とサエの一日
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一見ぼろ宿に見える建物は、中に入ると小さいホールの様なスペース、そのスペースには小さい丸テーブルと小さい椅子が二つ。テーブルには一凛の野花、ホールを照らすのはサエからの贈り物であるライトの魔道具だ。
正面に小さいカウンター、奥を覗くと生活スペースが伺える。
カウンターには手彫りであろうか、何かの魔物の置物だろうか、少し痩せているが優しそうな宿のご主人が彫ったものである。右の部屋に行くと、奥には調理場と幾つも並ぶテーブルと椅子。よく掃除されていて、調理場には宿のご主人が仕込みをしている。
カウンターから左側に階段と、階段の下には幾つかトイレがある。トイレの浄化アイテムもまたサエからの贈り物だろう。
階段を登ると8部屋ほどある。一番奥の部屋は、宿で一番豪華な一室。そこに、トラキチとサエは泊っている。
上級冒険者になってからも利用を続けているサエがひいきにしているその宿に、新しい仲間が出来たのはほんの数週間前のことであった。
朝5つと6つの鐘の音が鳴る中間ほどの頃に、地を這う様な低い音が鳴り響く、あの大物の腹の音だ。
最初の一日目は流石にサエでもびっくりして飛び起きたが、トラキチの腹の音だとネタがばれていれば、そう驚くことも無い。
朝のかわいい目覚まし代わり、数週間も一緒に居ればいい加減に慣れたサエだった。
腕の中のトラキチがペロペロと舐めまわし良い感じで目覚めるのが習慣になってきたころで、トラキチもトラキチでサエの味が大好きなんだろう、腹減りも手伝って最近は更にエスカレートし、朝から体中ベトベトである。
サエが宿の主人に許可を取り、裏庭に直で降りる階段を取り付け、井戸から少し離れた場所に水浴び専用の小屋を建てた。
薄いガウンの様なものだけを簡単に羽織り裏庭へ行くと、近所の子供が井戸の水を汲み。にこやかに挨拶すると、子供も顔を赤くしながら元気に挨拶を返す。
宿屋の好意で井戸は近所の人も使っていて、サエを見かけると水浴びの時は必ず水を入れてくれる。
足りなくなると更に足しに来てくれる親切さんばかりだ。
ちなみにこの井戸もサエが掘り当てたもの。
裏庭の小屋で水浴びをささっと済ませると、高級素材のスカートと胸部保護と上着を着こんで、トラキチがせかすようにスカートを引っ張ると、脱げそうになりながら1階の食堂に降りて行く。
コーヒーをゆっくり飲み終わる頃には7つ鐘の音のあたりになる。
正面に小さいカウンター、奥を覗くと生活スペースが伺える。
カウンターには手彫りであろうか、何かの魔物の置物だろうか、少し痩せているが優しそうな宿のご主人が彫ったものである。右の部屋に行くと、奥には調理場と幾つも並ぶテーブルと椅子。よく掃除されていて、調理場には宿のご主人が仕込みをしている。
カウンターから左側に階段と、階段の下には幾つかトイレがある。トイレの浄化アイテムもまたサエからの贈り物だろう。
階段を登ると8部屋ほどある。一番奥の部屋は、宿で一番豪華な一室。そこに、トラキチとサエは泊っている。
上級冒険者になってからも利用を続けているサエがひいきにしているその宿に、新しい仲間が出来たのはほんの数週間前のことであった。
朝5つと6つの鐘の音が鳴る中間ほどの頃に、地を這う様な低い音が鳴り響く、あの大物の腹の音だ。
最初の一日目は流石にサエでもびっくりして飛び起きたが、トラキチの腹の音だとネタがばれていれば、そう驚くことも無い。
朝のかわいい目覚まし代わり、数週間も一緒に居ればいい加減に慣れたサエだった。
腕の中のトラキチがペロペロと舐めまわし良い感じで目覚めるのが習慣になってきたころで、トラキチもトラキチでサエの味が大好きなんだろう、腹減りも手伝って最近は更にエスカレートし、朝から体中ベトベトである。
サエが宿の主人に許可を取り、裏庭に直で降りる階段を取り付け、井戸から少し離れた場所に水浴び専用の小屋を建てた。
薄いガウンの様なものだけを簡単に羽織り裏庭へ行くと、近所の子供が井戸の水を汲み。にこやかに挨拶すると、子供も顔を赤くしながら元気に挨拶を返す。
宿屋の好意で井戸は近所の人も使っていて、サエを見かけると水浴びの時は必ず水を入れてくれる。
足りなくなると更に足しに来てくれる親切さんばかりだ。
ちなみにこの井戸もサエが掘り当てたもの。
裏庭の小屋で水浴びをささっと済ませると、高級素材のスカートと胸部保護と上着を着こんで、トラキチがせかすようにスカートを引っ張ると、脱げそうになりながら1階の食堂に降りて行く。
コーヒーをゆっくり飲み終わる頃には7つ鐘の音のあたりになる。
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