最強魔王は貧乏なので、魔王城で商売します

亜久里遊馬

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3:魔王城の初来店者は美少女でした

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 お客様は神様です。つまり、客は魔王と同等の存在と考えることが出来る。

 俺は、仮面を付け城門の前に仁王立ちし、客が来るのを待っていた。相手が魔王レベルならば、まずは俺が相手をするのが筋である。

 それに俺は城のシンボルとしても似つかわしいであろう。姿形は人間のそれに近いものであるが、周囲を巻き込む深い紫色の肌。人間の大人とはふた回りほど違う長身。長身痩躯ではなく、筋骨隆々である。肉体美と言っても過言ではない。

 さらに、顔。仮面で隠しているのが少々残念ではあるが、頭の両端から突き出した白色の角は天に向かって存在を主張している。鼻や口は人間基準で言っても素晴らしいものである。自画自賛であるが、事実なのだから仕方がない。


 ちなみにカラスはというと、一言で表現できる。スズメが巨大化したものだ。名前と姿が一致していないが、本人の懇願で改名することにした。何故鳥つながりの名前にしたか謎ではあるが。
 あいつは優秀だ。その手腕は以前の魔王城の際、幾多の城を陥落せしめたことからもわかる。唯一残念なのは手の形状故に書き物が進まないことである。報告書の受け渡しにも難儀している。


「魔王様、このような場所は似つかわしくありません。どうか城内にお戻りください」

 門番のゴーレムが(おそらく)心配そうな顔でこちらを見ている。部下ではあるが、こいつ等の表情はどうにも読み取りづらい。いっそ、喜怒哀楽の仮面を用意しようか。

 先日の指示通り、料金は1,200Gに下げた。さらに、1番初めの来店者には特典を用意してある。俺自ら魔力を使って作成した護法の指輪である。モンスターではなく、人間の中に存在する悪人を見つけ自動的に罰を与える。

 開店時間は料金変更前と同じ9時である。
 しばらく城門で待っていると、開店から半刻ほど後に金髪の少女がやってきた。模倣とは言え魔王城。さすがに客ではないだろう。
 と考えていると、こちらに寄ってきた。迷ったのであろうか?

「すみません、ここが『楽しい! 魔王城』で合ってますか?」

「あ、ああ間違いないが」

「良かったあ。今日誕生日のお祝いで、1,000Gもらったんです。どうしても魔王城に行きたいって言ったら、お母さんが奮発してくれて。あ、でも、この割引き券……使えるんですか?」

「もちろん使えるぞ。ふむ……うむ! 今日始めての客だ。俺自らが城を案内しよう」
「もしかして魔王様役の方ですか! 嬉しいです!!」


 これだけ喜ばれると、俺も悪い気はしない。見ると、人間の年齢で14,5歳といったところか。村にこのような者がいるのかと思うほど整った顔立ちをしている。俺がさらった姫よりも美しい……いや、可愛いかもしれない。

 農作業着をアレンジした服装は素朴で悪くない。少したれ目になっているのも愛らしいと言える。
おっと、こんなことをしている場合ではなかった。
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