孤独な泥棒

hazuki

文字の大きさ
上 下
1 / 13

プロローグ

しおりを挟む
俺は小さい時に両親が事故で死んでから、親戚をたらいまわしにあった。

両親が死んですぐは、みんなが俺を哀れみ預かってくれると声をあげてくれたが、実は両親が残してくれた大切なお金が目あてだったことに気がついたのは少し大きくなってから……よく聞く可哀想な話だ。


俺は運が悪く、その親戚に親から残してもらっている金を使われ、なおかつその親戚は盗みをしていた。

そしてやつらは盗んだものを少しずつ売っていた。
悪い奴らだった。

そんな俺も中学生になり、こいつらがしている悪巧みを知ったが、幸運にも俺にそれを手伝えとは言わなかった。

もしかすると俺にばれていないと思っていたからかもしれない。

俺は、高校にいけるのか将来が不安だった。

他の親戚の手前、あいつらは高校までは行かせてやると言っていた。

だが信用できないし、もしもの為に俺は将来にむけて金を貯めようと思った。

俺はこの家の家事をさせられていた。
おかげで料理全般はできるし、洗濯も掃除もできる。ただ時間がそんなにない。

バイトをするにも土日くらいしかまとまった時間がなかった。

そんな時に俺は、あいつらが盗んだものを盗んで売る事を考えた。

悪い事だって理解はしている。

ただ子供で帰る所もない俺には、どうする事もできないし、こいつらの物じゃないんだから取られても文句が言えないはずだと思った。

予想通り盗品を取られてもあいつらは気がついていなかった。

そうやって俺は、少しずつ金を貯めた。
しおりを挟む

処理中です...