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10月
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しおりを挟むなんて考えていたら意外な人物とあった。
いや、会う可能性はあったんだ。俺がそれを失念していただけで。
「凪沙?」
「奏美…」
奏美はフルートを手にキョトンとした顔でこちらを見ている。
……気まずい。
彼氏を変な事に巻き込んでくせに奏美に謝罪を忘れてたー!!
「奏美、ゴメン!!」
「は?何よいきなり」
遅くなって申し訳ないけど、会長のセクハラから俺をかばうために結果的に吉良を巻き込んでしまった事を謝罪した。
吉良は俺を助けようとしただけで、何も否はない。だからあらぬ誤解や噂を気にしないで欲しい。
いきなり頭を下げた俺に事に驚いた奏美だったが、事情を説明するうちにだんだん半眼で呆れた表情に変化して言った。
「…だから言ったのに、あのヘタレ」
奏美の小さい呟きを俺は聞き取れなかった。
怒っているというより呆れている?いや、苛立っているのか?
奏美は複雑な顔で、らしくない舌打ちをしてから俺に良い笑顔を向けた。
「気にしなくていいわよ凪沙。私達もう別れたから」
「え?!それって俺のーー」
「あー、違う違うその前だから」
「だ、だって、あの吉良の顔の手形お前のだろう?」
「あれはあんまりにも情け無い吉良への愛のムチよ」
あ、愛のムチ…?
朗らかに笑う奏美に俺は絶句した。
俺がいない間に2人に何があったんだ?
恋愛と親愛の区別が出来なくて、俺と吉良の間で思い悩み最終的に俺を選ぶって設定だったはずなのに、すでに別れたって。
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