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番外編
吉良君の初恋①
しおりを挟む「きらくんあっちでブランコのろー」
「やだやだぁきらくんはあたしとおままごとするの」
幼稚園の遊び場の自由時間はいつもこうだ。何故かいつも女の子がオレを取り合う。
言葉だけだと羨ましいシチュエーションだと思うが、小さい子は力加減がない分容赦なく左右に引っ張られるのはかなり痛い。
「どっちもするからっ。じゅんばんでじゃんけんでかったほうからみんなであそぼ」
「うー、きらくんがいうならじゃんけんする」
女の子達はオレの妥協案に渋々乗ってくれて、漸く左右の手が自由になる。
片方だけ選ぶと片方が泣いて、とんできた先生に何故かオレが怒られる。男の子なんだからとか時代錯誤だろ。
女性の方が強いくせに男だから女の子には優しくしろとか、自分の両親見ていると本当に疑問に思う。
本当ならオレもサッカーとかドッヂボールとかしたい…。
「おまえ、よくあんなのにつきあえるなぁ」
「だれ?」
女の子の相手からやっと解放され、げんなりため息を吐くオレにどこからともなく声が掛けられる。
左右見回しても近くには誰もいない。
…もしかしてオバケ?何て考えていると、上からここだよと笑い声が。
自分がいるアスレチック遊具の1番天辺にその子はいた。
逆光でよく顔が見えないがお前も来るかと誘われ、オレは誘われるままその子の元まで登る。
「よお」
悪戯っ子な笑みを浮かべ迎えてくれたその子を見て、オレは目を瞬せた。
サラサラな黒髪に甘いキャラメルのような琥珀の大きな瞳が愛らしく、一瞬女の子かと思うほど可愛い。
正直この幼稚園の中で1番可愛いと思う。
「おまえなまえは?」
「すはらきら」
「きらか。おれはすおうなぎさ」
それが凪沙との初対面だった。
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