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第1章王子の多忙な日々
3 お花畑処理は勇者の仕事には入りません。
しおりを挟むとういうわけで現在、勇者のお仕事である魔物討伐を終え、通常であれば後は王都に帰還してお仕事終了…のはずだったんだけど、兄様と神殿から余計な仕事を増やされこの状況です。
以前、討伐中浮気にハッスルした輩を断罪してしまったせいだと思うが、このての処理をさせるのは、いい加減やめてほしい。僕は浮気調査する探偵じゃないんだぞ。まあ、やるからには徹底的にやるけどさー。
僕の本来の容姿を目にした瞬間。…ええと、名前なんだっけ?記憶の容量が勿体ないから男でいいか。男は驚愕に目を見開き震える指でこちらを指す。
「あ、アルヴィン・ルト・フォーレスク殿下!?」
「一応王族の名前は覚えたみたいだね」
はい拍手ー。腐っても貴族いや元貴族か。
王族を指差すなんて不敬で牢にぶち込むぞ?でも、同行してから今に至るまでの彼の言動を考えればまだマシか。道中本当なら、何十回極刑になっててもおかしくはないくらい、僕や周囲に身分を笠に着た傍若弱無人ぶりだったしな。元日本人として、優しい平和主義者な僕だから許してやるが。死ぬことより生きて苦しめ。
こういった輩は自分より上の権力者にはてんで弱いからな。こいつは片付いたも同然だろう。
「あのぉ、アルヴィン様?」
うっわ。鳥肌が。
風化寸前の男を眺める僕に、もう1人のお花畑がしおらしい声で、先程とは真逆の秋波を送ってくる。
「先程のご無礼大変申し訳ありませんでした。まさか、殿下が勇者様だなんて思わなくて」
「別に。どうせ僕は『勇者という肩書きだけ』の男だし?」
皮肉たっぷりに揚げ足をとってやれば、女神官は身体を隠すシーツを胸でギュッと握り涙を浮かべて悲劇のヒロインぷりを発揮する。
「あれはこの男に言わされた事なんです。この行為だって無理矢理…」
へーほーふーん。
傍らでいまだ固まっている男をちらり見やり、女神官が訴えてくる仕草は中々の役者ぶりだ。神殿て演技指導もしているんだろうか。神に使えて信仰し演技も出来る神官って。何?寄付集めの演劇でもするの(笑)?
「あれ?2人は『愛し合って』いるんじゃないの。僕は確かに確認したよ?」
「それもこの男の妄言ですわ」
「妄言、ねぇ…」
「アルヴィン様お願いします。私を今すぐこの汚らわしい男よりお救い下さいませ。そしてぜひ貴方様のお側に」
うん、気持ち悪い。もうダメ限界。
胸元を強調しシナを作りの上目遣い。よくもまあ、他の男とヤった直後によくもここまで被害者ぶれるもんだ。なんかすっごくムカムカする。
「君みたいな淫乱みてるだけで不愉快だわ」
「な!?」
「そこの男と同じく、君についての報告も王都の神殿と中央神殿にも送って置いたから。君に指示を出した上層の人間共々破門は免れないだろうね」
加護も完全になくなっているみたいだし、どのみち神官はやめざる負えないだろうね。
加護とはこの世界を司る、創造主たる女神、もしくは精霊によって与えられる恩恵または守護を指す。これがないと魔法が使えないも同然だ。
そして、加護には先天性と後天性がある。先天性は生まれ持って魂に刻まれているため、よほどのことがないと失われない。が、後天性は神への信仰心や精霊との繋がりを持つことによって、だれでも努力次第で得られる反面、加護を与えるに相応しくないと判断されればすぐに失われてしまう。
王都を出立する直後は本当に微々たるものだった女神官の加護が、今は完全に感じられなくなっている。こんな淫乱お花畑に、加護くれてやり続けてやるほど、女神様も暇では無いって事だね。
これからはご自慢の脂肪でせいぜい生きていってくださいね。
「じゃあ、僕の用は済んだんで。後はお2人でどうぞご自由に」
「アルヴィン様!!」
シュッ、ドス。
「-ーっ?!!!」
背中を追いかける気配に、反射的に振り返り隠し持った暗器を放つ。
顔のすぐ横に突き刺さった鋭利な暗器に、声なき悲鳴とともに女の顔から血の気がサァッと引いていく。これで自分の置かれた立場を理解してくれればいいが。ああでも相手はお花畑だしなぁ。
「…気安く人の名を呼ぶな。次呼んだらその脂肪の塊に突き刺してやる」
瞳に剣呑な光を込め低い声音で言い放ち、僕は宿屋を後にした。
「主様お疲れ様です」
「全く疲れたよ。大体僕と君達だけで充分なのに」
外で僕を待っていた黒ずくめの装束の青年に半眼で呟く。
彼、ー正確には彼等は、僕直属の配下で王族直下の『影』だ。後衛支援や事前の情報収集等、多岐に渡ってサポートとしてくれている。
「とりあえず数日はあの2人の動向確認を。何か不審な動きがあった場合のみ連絡をよこして」
「承知しました。主様はこの後はいかがしますか?」
「報告と文句を言いに城に戻る。毎度城や貴族の人事処理に付き合わされて、いい加減うんざりだからね」
「畏まりました。お気をつけてお帰り下さい」
青年が一礼し消えた直後、つい、苛立ちに我ながららしくなく舌打ちしてしまった。
…ったく、毎度毎度、勇者に素行調査させるなっていうの!!
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