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第1話 転生したが‥
しおりを挟むヒーロー
それはピンチに颯爽と駆けつけ圧倒的力で悪を倒す。
そんなヒーローになりたい、男として生きたことのある者なら誰しも一度は思うことだろう。
しかし、68歳から中二病を患ったワシはひと味ちがう。
ワシは成りたかった。
ヒーローはヒーローでも神出鬼没、闇に紛れて誰にも気づかれず自分の信念に基づいて行動し、決して正体は明かさない。法を犯すこともためらわず、時には正義の味方であるヒーローと衝突して悪として描かれることもある。
そんなダークヒーローに‥‥
ワシは闇の炎に抱かれて(火葬されて)転生した。
昇天するときのあの感覚は心地よかったということをここに記しておく。
転生といえば、不幸な人生や充実しない人生を送っていてトラックに引かれるパターンが多いがワシは違う。
足を悪くしていて階段でこけてしまい当たりどころが悪く死亡。
それだけだ。
ダークヒーローを目指すものは死ぬときも目立たないようにするのだ。
まあ、年金にたよりながらの生活だったが、68でちょっと遅めの中二病を患ってから77で死ぬまで毎年コミケにコスプレして行っていたし友達も家族もいた。
しかし!! ワシには足りないものがあった。
それは若さ。
人間誰しも年には逆らえない。
ワシも例外なく年をとり記憶は衰え身体は弱っていく。
若い頃に戻ることができたら、身体をいっぱい動かせたら、闇に紛れて魔術で悪を根絶やしにする。
または、己の信念に従い社会をよりよくするカッコいいダークヒーローになれる筈だったのに‥‥
こんな想いを秘めて火葬されたワシはハマっていたゲームの世界に転生したっぽい。
ワシは転生に歓喜した。
「ウッヒョ~最高の気分だぜ!」と
だってあの転生だぞ若い体だぞ、しかもあの大好きなゲームの世界に‥
ん?ゲームの世界に転生したことは分かるが、どんな内容だったか思い出せないゾ。
これって時差ボケいや、転生ボケか?
まあいい。
そんな小さいこと気にしないのがダークヒーローである。
そんなことより、転生といえば小さい頃から努力して最強になったり、前世の知識を使ってあれこれ出来るってやつじゃないか。
ワシが愛読していた本に出てきた展開に胸がドキドキして色々やりたくなってきた。
おっとあまり心臓に負担をかけると良くない。
健康第一なのだ。
とはいえまだワシは1歳まだ動くこともままならない。
それにこの世界の記憶が曖昧だ。。
状況を整理しよう。
今ワシがいるのはスラムにある小屋、スラムといっても、うちは母さんがいるからまだいい暮らしができているはずだと思う。
というかスラムはスラムでも前世のスラムとは状況が違い貧困にあえいでいるわけではない。
それは一旦置いておいて、ゲームの主要な舞台は人間の学園だった気がする多分主人公は人間なのだろう。
なので今は気にせず暮らそうと思う。
ダークヒーローは目立たないで幼少期を過ごすものである。
勿論転生したからにはダークヒーローになりたいと思う。
だが、ワシはあいにくこの世界についての記憶をだいぶ忘れている。
しかもスラムで生活しているだけではなかなか情報も入ってこない。
どうしようか。
ちなみにこの世界でのワシの名前はコマン・ドー。
コマンが名前でドーが名字、普通スラムに住むワシのようなものに名字がつくことはないと思うのだか何でかあるっぽい。
そこで思い出した。
このゲームはコマンドでバトルすることを。
まあ、この世界でもコマンドバトル方式かは分からないが‥
まあどんなコマンドがあったかは忘れているがいずれ思い出すこともあるだろう。
決して責めないでほしいワシはもう歳なのじゃ。
そういう時だけ「じゃ」をつけるのはズルい?
バッカモーン!
これだから最近の若いやつは。
ごめんうざかったな。
反省反省、ワシは反省できる大人なのだ赤ちゃんだけど。。
冗談はさておき、魔力の訓練でもしておこう。
ダークヒーローに見えないところでの努力は必要なのだ。
この世界は魔力があり魔法がある世界だ。
勿論ファンタジーゲームなので、モンスターや魔族と呼ばれるものもいて人間と対立してたりする。
ちなみにスラムに住んでいる人の大半は魔族と人間とのハーフでどちらの種族からも受け入れられない人たち、それら中途半端な種族たちのたまり場だ。
なのでワシも魔族と人間のハーフだ。
ちなみに母さんは人間だ。
年下に世話して貰うのは不甲斐ないが仕方がない。
もちろん魔力がないと魔法は使えない。
魔族は魔力をもっている種族なのでハーフであるワシも魔力が少しばかりある。
人間は魔力がないので魔族の様に魔法は使えないが、人間には強力な古代兵器があった気がする。
このように戦力はうまく拮抗しているのだ。たぶん。
ともかく1歳のワシに出来る努力は魔力の使い方の訓練をするしかない。
たとえ魔力が少なくとも使い方次第なのだと思う。
テンプレ的にはそうであるはずである。
そうでなかったとしても少ない魔力で強い敵を倒すみたいなのがカッコいいのだ。
だから今もワシは必死に魔力の訓練をしている。
訓練といっても簡単で魔力をからだの隅々まで行き渡らせられるようにすれば良いのだ。と思う。
きっとそうに違いない。
これは前世で死んだ時の痛みと同じくらい痛いが、ダークヒーローになるためなので何も問題ない。
ワシは分かっている側の人間なのだ。ハーフだけど。
そんなこんなで転生したワシはコマン・ドーとして、 前世の夢であったダークヒーローになるべく努力を重ねることにした。
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