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悪役は地獄よりマシなのか
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目が覚めると、ってなんで目が覚めるんだ。自殺したのに生き返るとんでも奇跡が起きるなんてそんな非道い話があってたまるか。だんだん近くなってくる足音も幻聴だ。俺は死んだんだ。
「おはよう、愚か者」
……幻聴に決まってる。
「無視するとはいい度胸だなぁ、コレは地獄に送ってしまおうか」
ちょっと待てちょっと待て不穏すぎる待って待って
話しかけようとしたが上手く出せない声と裏腹に少年のような声の主は歌うように言葉を重ねる。
「あー君の場合はまー仕方ないと思わないことも無いから自殺なんて愚かな行為を見逃してあげようと思ったのに、話せないならどうしようもないよね。困ったなー、まったく、急な来訪者はこれだから嫌いなんだよ、めんどくさいなーもー」
「す、すみません」
久しぶりに出した声はだいぶ小さくて、焦っていたため上擦ってしまったが相手には聞こえたようでこちらを向く気配がした。というのも今の僕は目が見えない。
「お、良かった良かった。今ね、ちょうど懺悔地獄に送ろうと考えてたところ、もう少し遅かったら飛ばしてたよ。飛ばされたくなかったらお話しようね!あ、そうそう、君の視界は奪っておいたよ、色々決まりがあるからね」
懺悔地獄は是非とも回避したいので赤べこのごとく頷いた。
「ふふっお話が出来るようで良かったよ、僕は簡単に言うと神様、よろしくね」
もうなんでもいいから殺してくれたらいいんだけどなと思いながら頷く。
「僕は世界を創ったり運営したりしてるんだよ、すごいでしょ、すごいね。でね、死んでしまったモノを再利用するかそのまま廃棄するかは僕が決めてて、って、まあここはどうでもいいか。本来自殺したモノは地獄行きなんだけど君の場合は境遇が境遇だしこの前創った世界に1つ空きがあるから再利用しようかなって話なんだけど、どうかな?」
それはまた生きるということで……?他に適任がいくらでもいるでしょ……。なんだかとんでもない提案と状況の提示をされてゴクリと唾を飲んだ。落ち着かない。
「ん、僕としては新たに作っても良いけどそしたらキミは地獄行きね、自殺者は見逃せないんだ。地獄より世界の悪役の方がまだマシだと思うよ?」
廃棄ルート?は無いんですか
「ないない、ダメだよせっかく作ったんだから天寿を全うしてよ、君には15歳から寿命が尽きるまで生きてもらう、これは絶対!で、地獄か悪役か選んで?オススメは悪役ね」
もうなんでもいいか。オススメならそれでいいかな。今気付いたけれどごく自然と心の声と会話されている、とっても怖い。
「言っとくけど、自殺したらもっかい戻ってきて貰うからね!それで君の役目は悪役だけども、目的として物語をハッピーエンドに導いて欲しいんだ。ハッピーエンドは困難を乗り越えた先にあるでしょ、だから君にはその困難になって欲しい」
そんなこと言われても約1年引きこもっていた僕にコミュニケーション能力なんて皆無ですよ。無茶苦茶な提案に無い目を白黒させる。
「んーそうだよねじゃあこの設定は変えよう、っと出来た我ながら良いかも。君は悪役ってことだけ忘れずに行動してくれれば良いよ」
本当に?何も知らない状態ですけど
「大丈夫大丈夫!なんとかなるよ!あ、ちなみに要望とかある?1個だけならどんなものでも叶えてあげるよ」
見えない目がこの状況を今自分の身に起こっていることだという何よりの証明なのだが、まだ現実として受け入れられない頭が全く機能していない。何も分からない。
「んーじゃあ何食べても美味しいと思えるようにしとくね!やっぱ食生活って大事だから」
ありがとうございます。ご飯が美味しかったら幸せなのかな。幸せか。
「えっ本当にこんなんで良いの?悪役だよ?」
他に思い浮かばないです……
「えーと、じゃあ、これとこれとこれもあげちゃお!じゃあねー!ハッピーエンドにしてね!」
「おはよう、愚か者」
……幻聴に決まってる。
「無視するとはいい度胸だなぁ、コレは地獄に送ってしまおうか」
ちょっと待てちょっと待て不穏すぎる待って待って
話しかけようとしたが上手く出せない声と裏腹に少年のような声の主は歌うように言葉を重ねる。
「あー君の場合はまー仕方ないと思わないことも無いから自殺なんて愚かな行為を見逃してあげようと思ったのに、話せないならどうしようもないよね。困ったなー、まったく、急な来訪者はこれだから嫌いなんだよ、めんどくさいなーもー」
「す、すみません」
久しぶりに出した声はだいぶ小さくて、焦っていたため上擦ってしまったが相手には聞こえたようでこちらを向く気配がした。というのも今の僕は目が見えない。
「お、良かった良かった。今ね、ちょうど懺悔地獄に送ろうと考えてたところ、もう少し遅かったら飛ばしてたよ。飛ばされたくなかったらお話しようね!あ、そうそう、君の視界は奪っておいたよ、色々決まりがあるからね」
懺悔地獄は是非とも回避したいので赤べこのごとく頷いた。
「ふふっお話が出来るようで良かったよ、僕は簡単に言うと神様、よろしくね」
もうなんでもいいから殺してくれたらいいんだけどなと思いながら頷く。
「僕は世界を創ったり運営したりしてるんだよ、すごいでしょ、すごいね。でね、死んでしまったモノを再利用するかそのまま廃棄するかは僕が決めてて、って、まあここはどうでもいいか。本来自殺したモノは地獄行きなんだけど君の場合は境遇が境遇だしこの前創った世界に1つ空きがあるから再利用しようかなって話なんだけど、どうかな?」
それはまた生きるということで……?他に適任がいくらでもいるでしょ……。なんだかとんでもない提案と状況の提示をされてゴクリと唾を飲んだ。落ち着かない。
「ん、僕としては新たに作っても良いけどそしたらキミは地獄行きね、自殺者は見逃せないんだ。地獄より世界の悪役の方がまだマシだと思うよ?」
廃棄ルート?は無いんですか
「ないない、ダメだよせっかく作ったんだから天寿を全うしてよ、君には15歳から寿命が尽きるまで生きてもらう、これは絶対!で、地獄か悪役か選んで?オススメは悪役ね」
もうなんでもいいか。オススメならそれでいいかな。今気付いたけれどごく自然と心の声と会話されている、とっても怖い。
「言っとくけど、自殺したらもっかい戻ってきて貰うからね!それで君の役目は悪役だけども、目的として物語をハッピーエンドに導いて欲しいんだ。ハッピーエンドは困難を乗り越えた先にあるでしょ、だから君にはその困難になって欲しい」
そんなこと言われても約1年引きこもっていた僕にコミュニケーション能力なんて皆無ですよ。無茶苦茶な提案に無い目を白黒させる。
「んーそうだよねじゃあこの設定は変えよう、っと出来た我ながら良いかも。君は悪役ってことだけ忘れずに行動してくれれば良いよ」
本当に?何も知らない状態ですけど
「大丈夫大丈夫!なんとかなるよ!あ、ちなみに要望とかある?1個だけならどんなものでも叶えてあげるよ」
見えない目がこの状況を今自分の身に起こっていることだという何よりの証明なのだが、まだ現実として受け入れられない頭が全く機能していない。何も分からない。
「んーじゃあ何食べても美味しいと思えるようにしとくね!やっぱ食生活って大事だから」
ありがとうございます。ご飯が美味しかったら幸せなのかな。幸せか。
「えっ本当にこんなんで良いの?悪役だよ?」
他に思い浮かばないです……
「えーと、じゃあ、これとこれとこれもあげちゃお!じゃあねー!ハッピーエンドにしてね!」
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