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◇家電量販店販売員の仕事◇
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私が借りたアパートから職場へは、徒歩で約25分。
車通りの少ない静かな住宅街を真っ直ぐ抜けて、通い慣れたコンビニを目印にそこから右に直角に曲がり。
またそこから車通りが多くなる道路沿いに真っ直ぐ進んで並木道りを抜けると、私が勤めている職場がある。
車の運転は出来るけど、交通手段がたくさん選べる都会では、今の所は自家用車は必要ないかな。
だから私は、毎日歩いて通勤している。
私が住む街は都心から少し離れた場所にある為、遠くに山も見えたりして、"程よく都会で程よく田舎"と言われる私の地元に環境が似ていて過ごしやすくて、この街自体も気に入っている。
「寒…失敗したぁ。もう少し厚めの上着を着てくればよかったかな」
世の中をすっかり変えてしまったあの感染症が収束してもなお、悩みが尽きないこの現代。
ここ数年ずっと続いていた温暖化による猛暑が嘘だったかのように、今年は近年稀に見る冷夏だったとTVで頻繁に流れている。
その影響だろう、まだ10月頭だというのに、朝はめっきり冷え込んできて、既に1つ2つ色付きはじめてきている紅葉の季節なんて一瞬にして終わりそう。
「風邪引かないようにしなきゃ」
一人暮らしのこの身。
しかも、近くに頼る人がいない私。
上京してから今までは奇跡的に感染症一つ患う事なく過ごしてこれたが、油断は禁物。
吹いてきた風を遮る建物が少ない並木道りに入り、頬に当たる風が微かに冷たくなってきて、肩をすぼめながら急ぎ足で勤め先を目指して黙々と歩く。
それでも、通勤するにしては少し長めの道のりを私がいつも歩いている理由。
ーー歩いていると、季節を肌で直接感じる事が出来るからーー
なんて、そんな健全な理由な訳がない。
誘惑が多すぎる自宅では、絶対に運動をしないだろうという自信しかない。それならせめて、この時間を利用してでも運動をしないと、自分へのご褒美にお酒を飲んでいる私としては、さすがに将来の自分の身が心配だ。
しかし、身は案じるが、決してお酒はやめない。
だって、お酒は私のお友達。
地元にいた時から、切っても切れない仲なんだもん。
車通りの少ない静かな住宅街を真っ直ぐ抜けて、通い慣れたコンビニを目印にそこから右に直角に曲がり。
またそこから車通りが多くなる道路沿いに真っ直ぐ進んで並木道りを抜けると、私が勤めている職場がある。
車の運転は出来るけど、交通手段がたくさん選べる都会では、今の所は自家用車は必要ないかな。
だから私は、毎日歩いて通勤している。
私が住む街は都心から少し離れた場所にある為、遠くに山も見えたりして、"程よく都会で程よく田舎"と言われる私の地元に環境が似ていて過ごしやすくて、この街自体も気に入っている。
「寒…失敗したぁ。もう少し厚めの上着を着てくればよかったかな」
世の中をすっかり変えてしまったあの感染症が収束してもなお、悩みが尽きないこの現代。
ここ数年ずっと続いていた温暖化による猛暑が嘘だったかのように、今年は近年稀に見る冷夏だったとTVで頻繁に流れている。
その影響だろう、まだ10月頭だというのに、朝はめっきり冷え込んできて、既に1つ2つ色付きはじめてきている紅葉の季節なんて一瞬にして終わりそう。
「風邪引かないようにしなきゃ」
一人暮らしのこの身。
しかも、近くに頼る人がいない私。
上京してから今までは奇跡的に感染症一つ患う事なく過ごしてこれたが、油断は禁物。
吹いてきた風を遮る建物が少ない並木道りに入り、頬に当たる風が微かに冷たくなってきて、肩をすぼめながら急ぎ足で勤め先を目指して黙々と歩く。
それでも、通勤するにしては少し長めの道のりを私がいつも歩いている理由。
ーー歩いていると、季節を肌で直接感じる事が出来るからーー
なんて、そんな健全な理由な訳がない。
誘惑が多すぎる自宅では、絶対に運動をしないだろうという自信しかない。それならせめて、この時間を利用してでも運動をしないと、自分へのご褒美にお酒を飲んでいる私としては、さすがに将来の自分の身が心配だ。
しかし、身は案じるが、決してお酒はやめない。
だって、お酒は私のお友達。
地元にいた時から、切っても切れない仲なんだもん。
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