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◇アイツとの再会◇
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お昼の休憩時間も終わり、自分の持ち場に戻る途中、必要な伝票を取りにレジに立ち寄ると何故か一斉に私に群がってきたレジ担当の女性陣に私はその場でたじろぐ。
「え、何っ?!何事っ?!」
総合カウンターも兼ねるレジに配置された7人にグルッと周りを包囲され、初めての出来事に私は驚きを隠せない。
「ちょっと先輩!!何事も何も、めっちゃくちゃイケメンでしたよ!!スラッとしてて背が高くて顔も芸能人みたいにカッコよくて!!もぉーー!!とにかくっ!私史上No.1ですっ!」
珍しくハキハキ喋る遠藤ちゃんは、あの後ちゃっかりメイク直しをしたのだろう。いつにも増してキラキラとアイライナーも綺麗に入り、その瞳は輝きを帯びていて。
私の腕をガシッと掴む手にも、だいぶ力が入っている。
「そうなんだよ~!レジに並んでたお客様も、店長と話してるさとうフロア長の事をチラチラ見ててさ。あれは甘味も絶対拝んだ方がいいよ!」
私の事を甘味と呼ぶこの女性が斎藤さんで、アルバイトを含め総勢11名いるレジ担当者をまとめるリーダー。新入社員時代の遠藤ちゃんの教育係もしていた。
私より5歳年上でしっかり者な斎藤さんとは、熊野フロア長同様この店舗がオープンした頃からの付き合いで、私と若林ちゃんの事をとても可愛がってくれている。
「そうそう!あの顔は私も見とれちゃったわよー!チャラチャラした見た目じゃないのがまたいいのよ!これから毎日楽しみだわー!」
60近いパートの原田さんまでも、斎藤さんと手を取り一緒になってはしゃいでいる。
もちろんアルバイトの4人も、3人同様興奮気味だ。
「私も見た!顔だけじゃなくて、声も良かったよねー!」
そこにレジに併設された修理コーナー補佐のアイドル大好き橘さんまで追加で加わると、更に皆のテンションは急上昇。
一瞬で、みんなを虜にしたイケメン。
一体どんな人物なのか。
私の期待値も右肩上がりだ。
「えー!そうなんだ!そんなイケメンなら私も見たかったな!でも、明日から来るって言ってたっけ?って私、明日また休みだったわ。えー、残念」
不定期に入る公休で、一つ飛びで休みなんてあるあるだ。
「先輩、大丈夫ですよ!事務所に行った後、売り場を見て回るって言ってましたよ!」
「あっ、そうなんだ!それじゃあ、見かけたら挨拶ぐらいしとこっかな」
未だ興奮冷めやらぬ彼女達を残し、ようやく目的の伝票を手にした私は、自分の持ち場へと戻っていく。
「おっ?あの人か…?」
すると、電気店ではなかなかお目にかかれない細身でストライプのスーツをビシッ!と着こなした男性が、平岡くんと何やら話し込んでいる。
「ハッ!!」
間違いない!!
あれが噂のイケメンだ!!
だってあの人、後ろ姿ですらイケメンしてる!!
驚きで開いた口に手を押し当て、私はそのイケメンとの距離を詰めようと、不審者の如く、そぉーーーと近寄り、まだ見ぬイケメンの顔を拝みに確実に距離を詰めていく。
やっぱ、スーツ姿の男性っていいよなぁ。
あんな男性にギュッって抱き締められた日にはイチコロだな!
激しくイタイ、妄想大好き29歳。
「もうちょっと、もーーちょっと、こっち向いてくれないかな~?!」
肝心な顔が見えないー!と、その男性の顔を一生懸命見ようとして陳列棚の奥から右に左に動いている私は、事情を知らない人から見たらかなりマヌケな奴だろう。
だが今は、そんな事はお構いなし!
そんなにイケメンなら私も拝みたい!!
結局私も、皆同様イケメンLOVE。
「ダメだ!全然顔が見えない!アッチから回り込むしかないか!あっ、でも。明日も会わないなら、やっぱ挨拶くらいしといた方がいいよね」
正当な理由をこじつけて作戦変更!
回りくどい事はやめて真っ向勝負だ!
「ンッ!ンンッ!」
挨拶途中で痰が絡まないよう、先に喉の調子を整えて。
普段なかなか見せない行動力をここぞとばかり発揮し、トランシーバーで岸川店長に呼ばれた平岡くんと入れ替わりに、私はその男性の背中に向かって話しかけた。
「あのぉ、お疲れ様です。さとうフロア長…ですよね?私、白物コーナー担当の甘味と言います」
努めて清楚に。
思いっきり猫をかぶり。
よそ行きの声でおしとやかに。
まぁ、一緒に働きだせば化けの皮なんてすぐに剥がれてしまうものだろうけど。
人の第一印象は、出会って3秒で決まるっていうじゃん?
それなら尚更、イケメンには第一印象を良く思われたい!
なんて…
やましい気持ちを抱いていたから、バチが当たったのだろうか。
その男性はクルッと振り返り、私を見るなり下から上に目線をうつし、胸に付いている私の名札プレートを指で掴み不敵に笑う。
「え、何っ?!何事っ?!」
総合カウンターも兼ねるレジに配置された7人にグルッと周りを包囲され、初めての出来事に私は驚きを隠せない。
「ちょっと先輩!!何事も何も、めっちゃくちゃイケメンでしたよ!!スラッとしてて背が高くて顔も芸能人みたいにカッコよくて!!もぉーー!!とにかくっ!私史上No.1ですっ!」
珍しくハキハキ喋る遠藤ちゃんは、あの後ちゃっかりメイク直しをしたのだろう。いつにも増してキラキラとアイライナーも綺麗に入り、その瞳は輝きを帯びていて。
私の腕をガシッと掴む手にも、だいぶ力が入っている。
「そうなんだよ~!レジに並んでたお客様も、店長と話してるさとうフロア長の事をチラチラ見ててさ。あれは甘味も絶対拝んだ方がいいよ!」
私の事を甘味と呼ぶこの女性が斎藤さんで、アルバイトを含め総勢11名いるレジ担当者をまとめるリーダー。新入社員時代の遠藤ちゃんの教育係もしていた。
私より5歳年上でしっかり者な斎藤さんとは、熊野フロア長同様この店舗がオープンした頃からの付き合いで、私と若林ちゃんの事をとても可愛がってくれている。
「そうそう!あの顔は私も見とれちゃったわよー!チャラチャラした見た目じゃないのがまたいいのよ!これから毎日楽しみだわー!」
60近いパートの原田さんまでも、斎藤さんと手を取り一緒になってはしゃいでいる。
もちろんアルバイトの4人も、3人同様興奮気味だ。
「私も見た!顔だけじゃなくて、声も良かったよねー!」
そこにレジに併設された修理コーナー補佐のアイドル大好き橘さんまで追加で加わると、更に皆のテンションは急上昇。
一瞬で、みんなを虜にしたイケメン。
一体どんな人物なのか。
私の期待値も右肩上がりだ。
「えー!そうなんだ!そんなイケメンなら私も見たかったな!でも、明日から来るって言ってたっけ?って私、明日また休みだったわ。えー、残念」
不定期に入る公休で、一つ飛びで休みなんてあるあるだ。
「先輩、大丈夫ですよ!事務所に行った後、売り場を見て回るって言ってましたよ!」
「あっ、そうなんだ!それじゃあ、見かけたら挨拶ぐらいしとこっかな」
未だ興奮冷めやらぬ彼女達を残し、ようやく目的の伝票を手にした私は、自分の持ち場へと戻っていく。
「おっ?あの人か…?」
すると、電気店ではなかなかお目にかかれない細身でストライプのスーツをビシッ!と着こなした男性が、平岡くんと何やら話し込んでいる。
「ハッ!!」
間違いない!!
あれが噂のイケメンだ!!
だってあの人、後ろ姿ですらイケメンしてる!!
驚きで開いた口に手を押し当て、私はそのイケメンとの距離を詰めようと、不審者の如く、そぉーーーと近寄り、まだ見ぬイケメンの顔を拝みに確実に距離を詰めていく。
やっぱ、スーツ姿の男性っていいよなぁ。
あんな男性にギュッって抱き締められた日にはイチコロだな!
激しくイタイ、妄想大好き29歳。
「もうちょっと、もーーちょっと、こっち向いてくれないかな~?!」
肝心な顔が見えないー!と、その男性の顔を一生懸命見ようとして陳列棚の奥から右に左に動いている私は、事情を知らない人から見たらかなりマヌケな奴だろう。
だが今は、そんな事はお構いなし!
そんなにイケメンなら私も拝みたい!!
結局私も、皆同様イケメンLOVE。
「ダメだ!全然顔が見えない!アッチから回り込むしかないか!あっ、でも。明日も会わないなら、やっぱ挨拶くらいしといた方がいいよね」
正当な理由をこじつけて作戦変更!
回りくどい事はやめて真っ向勝負だ!
「ンッ!ンンッ!」
挨拶途中で痰が絡まないよう、先に喉の調子を整えて。
普段なかなか見せない行動力をここぞとばかり発揮し、トランシーバーで岸川店長に呼ばれた平岡くんと入れ替わりに、私はその男性の背中に向かって話しかけた。
「あのぉ、お疲れ様です。さとうフロア長…ですよね?私、白物コーナー担当の甘味と言います」
努めて清楚に。
思いっきり猫をかぶり。
よそ行きの声でおしとやかに。
まぁ、一緒に働きだせば化けの皮なんてすぐに剥がれてしまうものだろうけど。
人の第一印象は、出会って3秒で決まるっていうじゃん?
それなら尚更、イケメンには第一印象を良く思われたい!
なんて…
やましい気持ちを抱いていたから、バチが当たったのだろうか。
その男性はクルッと振り返り、私を見るなり下から上に目線をうつし、胸に付いている私の名札プレートを指で掴み不敵に笑う。
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