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2章 転売ギルド
荒波のリョーマ
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私、ヤミー・デントは異世界転生者である。
前世で転売ヤーに犬用の療法食を買い占められ、姉のように思っていたエマを餓死で失った私は、悪質な転売ヤーを成敗するためにマルサ(国税局査察部)に入った。そこで未納税の転売ヤーを摘発する事で復讐をしていたのだが、ある日過去に摘発して破産した転売ヤーに駅のホームから突き飛ばされ、電車にひかれてその生涯を閉じた。
しかしそこで最高潮に達した私の憎悪は記憶と共に魂に残り続け、異世界に転生することになってもそれは消えることはなかった。そして前世の記憶を残した私はこの異世界にも蔓延る転売ヤーを成敗し、金に苦しめられる人間を救うべく、幼き頃から知識と金をため続けた。
そしてある日、故郷で火種として必需品であった火の魔石が村長の息子ウォレットに買い占めた問題が起き、それを成敗したことを機に、私は故郷である村を出てこの異世界で最大の王国、トリスキン王国の王都へと訪れ、商人ギルドへと加入したのだ。
「はぁ~、ようやく手続き終わった…」
寮のベッドに糸が切れたように倒れこむ。死ぬほど疲れた…。
朝、オラガ村を出てすぐに転移魔法でトリスキンにやってきたはずだよな?それだというのに…
トリスキン王都住民登録、商人ギルドメンバー本登録、ギルド寮の賃貸契約、商人ギルド初心講義、ギルド規約音読etc...。
色々受けて終わったのはもう夜だ。そりゃ上京して就職するようなもんだから、色々手続き必要なのは覚悟してたけどさ。それにしたって非効率な過程が多すぎるだろ。ここらへんも前時代的だからか…。
ギルドとは何か。ずばり同業者組合の事だ。
現代でいう産業革命前の中世ヨーロッパ程度の文化レベルだと、工場のように大量の人出を要して大量生産を行うような大規模組織はまだ存在せず、一部の見習いなどの例外は除いてほぼすべての住民が各々職と店を持って誰かの下につくことなく働いている。いわば全員個人事業主として働いているのだ。
しかし、個人事業主というのはいつの時代もリスクを持つもので、例えば靴職人になろうにも最初に材料を仕入れるための資金や道具を用意する必要がある。通常はそのため借金をするのだが、もちろん全ての靴職人の作った靴が平等に売れるなんてことはない。ましてやなり立てほやほやの靴職人の作る靴の質が、既存の職人のそれに優れているはずがない。そうすると新しい職人はよほど才能に恵まれているのでなければ、自由競争の下そのほとんどが廃業しなければならなくなり、借金だけが残るのだ。それは職人にとっても金を貸した人間にとっても大きなリスクとなる。
しかし新規参入者が少ない業界は技術革新が起こらず、後継者問題などを抱えて廃れるのが世の経済。それを防ぐのがギルドの役割だ。
メンバーへの低金利での活動資金の貸し出し、必要な道具の共有などを行い、新規参入者の窓口を広げ、他にも業界情報の共有や、同業者間の交流、時には仕事の斡旋なども行って業界の活性化を目指す。産業の潤滑油、それがギルドだ。
私も12歳の頃にギルドに見習いとして加入し、商売を始めた。見習いとは他の本登録をおこなったギルドメンバーの管理の下一時的に働くことができる身分制度の事で規定の期間見習いとして指導を受ければ試験や講習をパスして本業として働くことができる…。
「…あっ…師匠…」
厄介な事を思い出してしまった…。
ついさっき本登録を済ませるまで私はある人の見習いとしてギルドに加入してたのだが…。
正直…会いたくない…。
「…やっぱ声かけなきゃダメかな…めんどくさ…」
「ダメ決まってんだろォ?ヤミーさんヨォ」
「し、師匠!?」
低くドスの効いた女性の声が部屋に響き、途端に私はベッドから飛び上がって直ちに居直った。
開け放たれたドアの前にはおおよそ商人とは思えない隻眼隻腕の女性が立っていた。
体も顔も傷だらけ、胸にサラシを巻きコートを羽織る姿はどう見ても商人というより海賊だ。それもそのはず、彼女は元々名のある女海賊で、海運を主業にして転身したやり手商人『荒波のリョーマ』だ。
「なぁ、お前ついに本登録したらしいじゃねぇカ。なァ?」
「そ、そうですね…」
「なーんで見習いが師匠の認可もなく本登録できたんだろうナァ?見習いであるうちは必要なはずだろォ?俺の見習いから勝手に外れるような事してなきゃなァ?」
ぐいと顔を近寄せ、私の顔をマジマジと見るリョーマ師匠。船上生活で長い間風呂に入ってないのか汗と潮の匂いでむせ返りそうだ。
「う、受付が配慮してくれたんです。突然トリスキンに来ることになったし、リョーマ師匠もいつも留守でいつ帰ってくるかもわからないから、一旦見習い登録を解除して本登録を…」
「ついさっき帰って来たんだヨ。それデ?」
「その…どこかのタイミングで会えれば…挨拶に行こうかと」
「あからさまに俺の事避けてんのはわかってんだヨ!オイ!」
リョーマがベッドをドムと踏みつけると反動で座っていた私の体が跳ね上がる。
「オイオイオイオイオイオイ、誰のおかげでガキの頃から商売できたと思ってんダ?誰のおかげで火の魔石5箱分なんて無茶な量一晩で用意できたと思ってんダ?その恩人に一言も無しに見習い登録解除して本登録ダ?それはちょっと筋が通らねぇんじゃねえカ?おいヤミーさんヨォ!」
腰からナイフを取り出し、腰が砕けた俺の股間の真ん前に突き刺した。一物を切り裂かんばかりに突き立てられたナイフは一撃で柄までベッドに突き刺さる。
「いつも言ってるだロ?商人は信用、義理を重んじ筋を通せとヨォ!テメェは昔からどこか人を信じてねぇ!だから口酸っぱく何度も何度も何度も!言ってきただろうがァ!」
ナイフが今にも股間を切り刻まんばかりに何度も振り下ろされる。
「ひ、ヒィ!」
思わず情けない声が漏れる。こういうヤクザみたいなところあるから会いたくなかったんだよ、この人には!
「はい報告ゥ!」
「は、はひィ!?」
彼女の突然の号令に思わず声が裏返る。…が、唐突過ぎて何を報告すべきか分からず私は黙ってしまった。
「…え、えーっと」
「俺がお前に売った火の魔石で、お前の故郷は助かったのカ?」
「あ…はい。おかげさまで…」
先ほども言っていたが、実はオラガ村の騒動を解決する為に集めた火の魔石は自分の独力で集めた物ではない。このリョーマ師匠の力を借りて集めた物だ。
これに限っては感謝してもしきれない…。
「で、儲けハ?」
「…全て両親に。トリスキンで商売していたことを隠していた埋め合わせに」
「そうカ…」
そういうとリョーマはベッドからナイフを抜き、鞘に納めると満面の笑みで私の頭を撫でた。
「よくやっタ。人を助けるために商売をシ、親孝行を忘れナイ。それでこそ俺の弟子ダ!」
「…ありがとうございます」
親孝行という言葉には少し後ろめたい気持ちが残るが、しかし褒められて悪い気はしない。
この人は元海賊で学が無いためか、私が見習いの時に商売についてついぞ教えてくれる事はなかった。だが、それでも私が商売をする際はそのコネで顧客を紹介してくれたり、買った物、特に自分が独学のために買い集めた本を収納する倉庫を貸してくれたり、転移魔法陣を書く場所を提供してくれたりと、何かと面倒を見てくれた。
自分にとって今世の第二の親と言っても過言ではない人なのだ。
私はこの人の弟子で良かったと常々思っている。言うと面倒な事になりそうだから言わないけど。
「さぁテ!今日はヤミーの本登録祝いだァ!うちの隊全員を上げて宴を上げんゾ!」
大声をあげ、ベッドの上に乗り出すリョーマ師匠。
「あ、いや、今日は疲れたんで眠り…」
そして人の事情を聴く間もなく彼女は私の部屋の窓を開けると、
「カイエン隊ッ!集合ォォォォォォッ!」
と耳を劈くような大声で叫んだ。
ここはギルド寮の二階。そこからの声は賑わう王都でもよく通り、一瞬王都全体が静まり返った様にすら感じた。そして数分と経たないうちにどこからともなくワラワラと男衆が窓の下へと集まってきた。彼らはカイエン隊。『荒波のリョーマ』を筆頭とする優秀な船漕ぎ集団だ。みな肌が浅黒く筋骨隆々。彼らも全員、元海賊だ。
「みんなァ!ヤミーがついに商人ギルドの本登録をして一人前の商人になったァ!今日はそれを祝う宴だァ!金は全部『荒波のリョーマ』の名前でツケておけェ!王都中の酒と肉を集めて来いィ!」
「「「押忍!!!!!」」」
そう言い放つと男たちが歓声を上げながら町の中へと散らばっていった。
「あの…こんな大事にしなくても…それに、自分酒は飲めないんですが…」
「気にするナ!今日はお前が主賓ダ!いくらでも食って飲んでいいからナ!」
「い、いや、だから私は…」
「いくゾ!宴だ宴ダ!」
「だから少しは私の話を聞いてくださいって!!!」
これだから素直に敬えないんだよこの人は!!!!
前世で転売ヤーに犬用の療法食を買い占められ、姉のように思っていたエマを餓死で失った私は、悪質な転売ヤーを成敗するためにマルサ(国税局査察部)に入った。そこで未納税の転売ヤーを摘発する事で復讐をしていたのだが、ある日過去に摘発して破産した転売ヤーに駅のホームから突き飛ばされ、電車にひかれてその生涯を閉じた。
しかしそこで最高潮に達した私の憎悪は記憶と共に魂に残り続け、異世界に転生することになってもそれは消えることはなかった。そして前世の記憶を残した私はこの異世界にも蔓延る転売ヤーを成敗し、金に苦しめられる人間を救うべく、幼き頃から知識と金をため続けた。
そしてある日、故郷で火種として必需品であった火の魔石が村長の息子ウォレットに買い占めた問題が起き、それを成敗したことを機に、私は故郷である村を出てこの異世界で最大の王国、トリスキン王国の王都へと訪れ、商人ギルドへと加入したのだ。
「はぁ~、ようやく手続き終わった…」
寮のベッドに糸が切れたように倒れこむ。死ぬほど疲れた…。
朝、オラガ村を出てすぐに転移魔法でトリスキンにやってきたはずだよな?それだというのに…
トリスキン王都住民登録、商人ギルドメンバー本登録、ギルド寮の賃貸契約、商人ギルド初心講義、ギルド規約音読etc...。
色々受けて終わったのはもう夜だ。そりゃ上京して就職するようなもんだから、色々手続き必要なのは覚悟してたけどさ。それにしたって非効率な過程が多すぎるだろ。ここらへんも前時代的だからか…。
ギルドとは何か。ずばり同業者組合の事だ。
現代でいう産業革命前の中世ヨーロッパ程度の文化レベルだと、工場のように大量の人出を要して大量生産を行うような大規模組織はまだ存在せず、一部の見習いなどの例外は除いてほぼすべての住民が各々職と店を持って誰かの下につくことなく働いている。いわば全員個人事業主として働いているのだ。
しかし、個人事業主というのはいつの時代もリスクを持つもので、例えば靴職人になろうにも最初に材料を仕入れるための資金や道具を用意する必要がある。通常はそのため借金をするのだが、もちろん全ての靴職人の作った靴が平等に売れるなんてことはない。ましてやなり立てほやほやの靴職人の作る靴の質が、既存の職人のそれに優れているはずがない。そうすると新しい職人はよほど才能に恵まれているのでなければ、自由競争の下そのほとんどが廃業しなければならなくなり、借金だけが残るのだ。それは職人にとっても金を貸した人間にとっても大きなリスクとなる。
しかし新規参入者が少ない業界は技術革新が起こらず、後継者問題などを抱えて廃れるのが世の経済。それを防ぐのがギルドの役割だ。
メンバーへの低金利での活動資金の貸し出し、必要な道具の共有などを行い、新規参入者の窓口を広げ、他にも業界情報の共有や、同業者間の交流、時には仕事の斡旋なども行って業界の活性化を目指す。産業の潤滑油、それがギルドだ。
私も12歳の頃にギルドに見習いとして加入し、商売を始めた。見習いとは他の本登録をおこなったギルドメンバーの管理の下一時的に働くことができる身分制度の事で規定の期間見習いとして指導を受ければ試験や講習をパスして本業として働くことができる…。
「…あっ…師匠…」
厄介な事を思い出してしまった…。
ついさっき本登録を済ませるまで私はある人の見習いとしてギルドに加入してたのだが…。
正直…会いたくない…。
「…やっぱ声かけなきゃダメかな…めんどくさ…」
「ダメ決まってんだろォ?ヤミーさんヨォ」
「し、師匠!?」
低くドスの効いた女性の声が部屋に響き、途端に私はベッドから飛び上がって直ちに居直った。
開け放たれたドアの前にはおおよそ商人とは思えない隻眼隻腕の女性が立っていた。
体も顔も傷だらけ、胸にサラシを巻きコートを羽織る姿はどう見ても商人というより海賊だ。それもそのはず、彼女は元々名のある女海賊で、海運を主業にして転身したやり手商人『荒波のリョーマ』だ。
「なぁ、お前ついに本登録したらしいじゃねぇカ。なァ?」
「そ、そうですね…」
「なーんで見習いが師匠の認可もなく本登録できたんだろうナァ?見習いであるうちは必要なはずだろォ?俺の見習いから勝手に外れるような事してなきゃなァ?」
ぐいと顔を近寄せ、私の顔をマジマジと見るリョーマ師匠。船上生活で長い間風呂に入ってないのか汗と潮の匂いでむせ返りそうだ。
「う、受付が配慮してくれたんです。突然トリスキンに来ることになったし、リョーマ師匠もいつも留守でいつ帰ってくるかもわからないから、一旦見習い登録を解除して本登録を…」
「ついさっき帰って来たんだヨ。それデ?」
「その…どこかのタイミングで会えれば…挨拶に行こうかと」
「あからさまに俺の事避けてんのはわかってんだヨ!オイ!」
リョーマがベッドをドムと踏みつけると反動で座っていた私の体が跳ね上がる。
「オイオイオイオイオイオイ、誰のおかげでガキの頃から商売できたと思ってんダ?誰のおかげで火の魔石5箱分なんて無茶な量一晩で用意できたと思ってんダ?その恩人に一言も無しに見習い登録解除して本登録ダ?それはちょっと筋が通らねぇんじゃねえカ?おいヤミーさんヨォ!」
腰からナイフを取り出し、腰が砕けた俺の股間の真ん前に突き刺した。一物を切り裂かんばかりに突き立てられたナイフは一撃で柄までベッドに突き刺さる。
「いつも言ってるだロ?商人は信用、義理を重んじ筋を通せとヨォ!テメェは昔からどこか人を信じてねぇ!だから口酸っぱく何度も何度も何度も!言ってきただろうがァ!」
ナイフが今にも股間を切り刻まんばかりに何度も振り下ろされる。
「ひ、ヒィ!」
思わず情けない声が漏れる。こういうヤクザみたいなところあるから会いたくなかったんだよ、この人には!
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「は、はひィ!?」
彼女の突然の号令に思わず声が裏返る。…が、唐突過ぎて何を報告すべきか分からず私は黙ってしまった。
「…え、えーっと」
「俺がお前に売った火の魔石で、お前の故郷は助かったのカ?」
「あ…はい。おかげさまで…」
先ほども言っていたが、実はオラガ村の騒動を解決する為に集めた火の魔石は自分の独力で集めた物ではない。このリョーマ師匠の力を借りて集めた物だ。
これに限っては感謝してもしきれない…。
「で、儲けハ?」
「…全て両親に。トリスキンで商売していたことを隠していた埋め合わせに」
「そうカ…」
そういうとリョーマはベッドからナイフを抜き、鞘に納めると満面の笑みで私の頭を撫でた。
「よくやっタ。人を助けるために商売をシ、親孝行を忘れナイ。それでこそ俺の弟子ダ!」
「…ありがとうございます」
親孝行という言葉には少し後ろめたい気持ちが残るが、しかし褒められて悪い気はしない。
この人は元海賊で学が無いためか、私が見習いの時に商売についてついぞ教えてくれる事はなかった。だが、それでも私が商売をする際はそのコネで顧客を紹介してくれたり、買った物、特に自分が独学のために買い集めた本を収納する倉庫を貸してくれたり、転移魔法陣を書く場所を提供してくれたりと、何かと面倒を見てくれた。
自分にとって今世の第二の親と言っても過言ではない人なのだ。
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「さぁテ!今日はヤミーの本登録祝いだァ!うちの隊全員を上げて宴を上げんゾ!」
大声をあげ、ベッドの上に乗り出すリョーマ師匠。
「あ、いや、今日は疲れたんで眠り…」
そして人の事情を聴く間もなく彼女は私の部屋の窓を開けると、
「カイエン隊ッ!集合ォォォォォォッ!」
と耳を劈くような大声で叫んだ。
ここはギルド寮の二階。そこからの声は賑わう王都でもよく通り、一瞬王都全体が静まり返った様にすら感じた。そして数分と経たないうちにどこからともなくワラワラと男衆が窓の下へと集まってきた。彼らはカイエン隊。『荒波のリョーマ』を筆頭とする優秀な船漕ぎ集団だ。みな肌が浅黒く筋骨隆々。彼らも全員、元海賊だ。
「みんなァ!ヤミーがついに商人ギルドの本登録をして一人前の商人になったァ!今日はそれを祝う宴だァ!金は全部『荒波のリョーマ』の名前でツケておけェ!王都中の酒と肉を集めて来いィ!」
「「「押忍!!!!!」」」
そう言い放つと男たちが歓声を上げながら町の中へと散らばっていった。
「あの…こんな大事にしなくても…それに、自分酒は飲めないんですが…」
「気にするナ!今日はお前が主賓ダ!いくらでも食って飲んでいいからナ!」
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