王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

PYON

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第3章 ビリジアンテ連邦国

比留間明夫28

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 向こうの世界ではこんなことなかったな。
 子供たちも奥さんもぼくのこと嫌いなんじゃないけど。
 尊敬しているとかそういう感じじゃなかったし。
 でも、疎まれているとか、そんなことでもなかった。
 たぶん子供たちも妻もぼくが働いて稼いできたことには感謝しているみたい。
 まあそういう関係性って逆にすご楽だった。
 べつに肩肘張らずでいいしさ。
 家では恰好をつける必要もない。
 なんか期待されると頑張らないとって感じになるしさ。
 
 それと家事を任せてくれたことも良かったのかも。
 今までの奥さんが大変だったこともわかった。
 それとこういう役割がないと、たぶんこの先居場所がなくなってたと思うしね。
 だから、向こうでの生活は身の丈に合っていた。
 っていうか丁度よかったって感じ。
 家事さえやってたら他は何しててもよかったしね。
 もうこの歳になったら自分を高める必要もない。
 あんまりおもしろくない自己啓発本なんて読まなくていい。
 好きな小説とか漫画だけ読んでたらいい。
 あと休みの間ずっとゲームをしてても、動画を見ててもいい。
 最終的にはそういう境地に達していたんだ。

 つまりぼくは根っからのモブキャラなんだろうな。
 小さい時はヒーローになりたかった。
 若いときには何者かになりたかった。
 でも、それはぼくの物語じゃないんだ。
 村人Aが丁度いい場所なんだ。

 今回、女神様に冒険を欲していると思われたのかな。
 全然そんなことないんだけどね。
 まあ、でもこういう立場になった限り頑張るしかない。
 早くまた入れ替ってほしいんだけど、それまではなんとかしておく。
 でも、ぼくのキャラじゃないのは確か。
 キャルロッテ王を演じているっていう感じかな。

「とりあえずの危機は去ったのだが、まだ安心はできない。
 これからもわたしを助けてくれ」

「もちろんです。お父様」
 やっぱ尊敬のまなざしが居心地わるい。

「では、食事にしようか。
 久しぶりの団らんだな」
 テーブルの上には食事が並ぶ。
 宮廷料理というより家庭料理って感じだ。
 もちろん、妃が作ってくれたみたいだ。
 落ち着いたら、ぼくが作ろうか。
 たいぶ料理にも慣れてきたしね。
 ぼくは席につく。
 ぼくは子供たちにいろいろ戦争のことで質問をうけながら食事を楽しむのであった。
 
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