王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

第5章 ガルバン帝国

比留間明夫48

　うん、いい感じだ。
　男の夢、スーパーロボット、それに今乗り込んでいるのだ。
　これは完全にぼくの趣味の品だ。
　趣味で作っていたプラモデルは、1/60スケールのものだが、これは1/1だ。
　無理を言ってキャットGPTさんに作ってもらった。
　でも、こんなに早く戦場に投入できる日がくるとは思わなかった。
　
　方向キーだけで前に進めるし、コマンドボタンでいろいろなことができる。
　細かいことは自動でやってくれる。
　ゲームの操作性そのままだ。
　でも画面じゃなくて、VRゲームって感じだ。
　音や振動、揺れは完全リアルなのだ。
　
　とりあえず、敵ゴーレムの前に進む。
　相手も同じくらいの大きさ。
　でも、こっちのロボのような細かいつくりではない。
　岩の寄せ集めと言った感じだ。
　子供が人の形に岩を積んだだけみたいなもの。
　だから、動きはおおざっぱだ。
　それに遅い。

　いきなりパンチを繰り出してくる。
　でも、スローモーションに等しい。
　簡単に避けることができる。
　そして、こっちはパンチのボタンを押す。
　ぼくのパンチは簡単に当たる。
　拳にはアダマンタイトを使ってある。
　こっちのパンチはクリーンヒットする。
　ただ、岩でできたゴーレム、痛みを感じるわけではない。
　それに砕けるところまでいかない。
　
　相手はまた大ぶりのパンチを振り回す。
　ぼくは簡単に避けて、殴り返す。
　これの繰り返しだ。
　相手の岩の表面は崩れるが、致命傷にはならない。
　少しづつは砕けるけど、これじゃあ時間がかかりすぎる。
　それならあれだな。

　ぼくは一度後ろに下がる。
　そして、背中の武器を抜く。
　そう刀身がビームの剣だ。
　あのロボットアニメが使ってるやつ。
　ぼくは剣を振る。
　相手ゴーレムの腕の関節を狙う。
　たぶん、そこが弱いところだ。
　目論見どおり、相手の腕は落ちる。

　よし、いける。
　ぼくは返す刀で袈裟切りにする。
　ゴーレムの上半身は落ち、動かなくなるのだった。