王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

第5章 ガルバン帝国

比留間明夫51

　敵の軍は光の軍隊となる。
　大量虐殺兵器を受けてしまったのだ。
　あとは、全員が倒れて終わり。

　しばらくして、光は薄れていく。
　みんな死んだのかな。
　そう感じて手を合わす。
　こんなことしかできない。

　ぼくが顔をあげると、みんな普通に動いている。
　何が起こったかわからないみたいに顔を見合わせて話をしている。
　どういうこと？
　何も変化はないみたいだけど。
　
　ぼくのところにコヨミが来る。
　ぼくはコヨミを抱き上げる。

「失敗したの？
　よかった」

「成功ニャン」

「え、でもみんな生きてるよ。
　もしかして、ぼくが頼んだからやめてくれたの？」

「違うにゃん。
　魔法はかけたにゃん」

「どういうこと？」
　何が起きたかわからない。
　コヨミに説明を求める。

「大規模魔法はエネルギーがいるにゃん。
　強い魔法ほど、時間と魔法の錬成が必要にゃん。
　爆裂魔法は見た目のとおり莫大なエネルギーがいるにゃん。
　だから、このロボットを壊すくらいのことしかできないにゃん。
　いくらぼくでも、敵陣全部を包む爆裂魔法なんて無理にゃん」

「でも、魔法をかけたよね」

「そうにゃん。
　でも、弱い魔法なら敵陣全体にかけることもできるにゃん。
　例えば、敵の靴の中に小石が入り込むとか、背中がかゆくなるとか」

「じゃあ、軽い魔法なんだね」

「そうにゃん。大した事のない魔法にゃん」
　よかった。虐殺魔法じゃなかったんだ。
　でも、どんな魔法だろう。
　ぼくは敵陣の動きを眺める。
　そして、なにかおかしいことに気が付くのだった。