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第1章 猫ちゃん転生

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 小さいときの記憶。
 おかあさんが、いたときの記憶。
 いちばんちいさいぼくをとくに気をかけてくれた。
 ぼくの定位置は一番前。
 おかあさんの目が一番届くところ。
 ぼくの毛づくろいをしてくれる。
 ぼくはくすぐったそうに目を細める。
 ぼくは小さいけど、元の世界できちんと身づくろいはできるようになってるんだけどね。
 他の兄弟と違って、トイレもできるし、なんでもできるんだ。
 これが白い女の人が言ってた祝福なのかな。

 むこうの世界とこっちの世界の違いは、木がいっぱいあることかな。
 それから地面が土。
 向こうの世界みたいに硬くないんだ。
 それと、ぼくたちだけでなく、いろいろな動物がいること。
 犬とか熊とか猿、鹿。
 それだけじゃない。
 なんかトカゲの大きいのとか、人間の大きいのとか。
 おかあさんは、森の中の危険を教えてくれる。
 ぼくたちを狙っているものはたくさんいる。
 ぼくたちはすごく小さい動物なんだ。
 おかあさんも元の世界のぼくくらいの大きさ。
 でも、すごく弱いわけではない。
 ぼくたちの身体はすごく小さいけど、魔法っていうのを使うことができるんだ。
 他の動物に狙われても、おかあさんがいれば魔法でおっぱらってくれる。
 これは、むこうの世界ではなかったことなので、ぼくにはできない。
 この世界では、この森の中では、この力がないと生き残れないみたいだ。
 おまえたちもすぐに使えるようになるよっていうけど、なんか使いかたがわからない。

 でも、ぼくたちの種族は強いみたいだ。
 おかあさんは氷結の魔法を使う。
 普通の動物はぼくたちを見ると逃げていく。
 そう、普通動物はやばいやつは相手にしない。
 それが生き残る方法なのだ。
 
 ただ、ぼくたちも頂点ではない。
 ぼくたちも関わっていけないものがいるのだ。
 ひとつに竜、この森の支配者だ。
 ただ、竜と戦いになることはない。
 竜にとってぼくたちはなんの害にもならないからだ。
 ぼくたちも竜と戦う必要はないし、竜もぼくたちと戦う理由がない。
 それと霊長類、そう人間や亜人だ。
 こいつらは、ぼくたちの毛皮を素材とする。
 ぼくたちの毛皮は高く売れるらしい。
 なんでも魔法に防御力が高いみたいだ。
 だから、ぼくたちを狩りにくる人間がいるみたいだ。
 ただ、魔法猫と戦える人間は相当にレベルが高いらしい。
 普通のハンターじゃおかあさんの魔法に勝てないのだ。

 とにかく、ぼくたちはおかあさんのもとですくすくと大きくなっていった。
 
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