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第4章 大商人グリフレッド

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 地図に書いてあったのは、大通りの商業地区の一角。
 そんなところになにがあるのだろう。
 わたしは通りを進んでいく。
 たしか、ここらへんはモーガン商会の店があったところだ。
 思った通り、モーガン商会の店の前だった。

 そこで、業者に指示をしているレイモンドさんを見つける。

「レイモンドさん」

「グリフレッドさん、お早いお戻りですね。
 もっとゆっくりされても良かったのに」

「いえ、ゆっくりさせていただきました。
 それで…」

「ここですか?いい物件でしょう?
 急に売りに出されたんで、買っておきました。
 つぶれた商会が手放さざるおえなくなったんです。
 かなり買いたたきましたが、背に腹は変えられないらしく、言い値で手に入りました。
 持ってきたレア素材でなんとかなりました。
 こういうのはスピードが勝負ですからね」
 かなり、えぐい交渉をしたんだろうな。
 商売上は怖い人だ。

「モーガン商会ですね…」

「ええ、彼らはつぶれてしまいました。
 あのやり方では仕方ありません」

「それでどうなったんですか?
 説明してください」

「ええ、きちんと報告します」

 レイモンドさんはこの町に来てすぐに、王都に向かった。
 それで、かつての商売敵であったウェーバー商会の会頭に面会を申し込んだ。
 ウェーバーはかつての強敵であるレイモンドさんの面会受け入れた。
 1か月先まで予定の詰まっているウェーバーがアポなしのレイモンドさんに会ったのだ。
 それで、ウェーバーにエクレルの町に支店を出すことを依頼したのだ。
 ウェーバーはエクレルに支店をだしたかったが、レイモンドさんがモーガンにいることで断念したことがあった。
 ウェーバーは二つ返事でOKをした。
 それで、ウェーバー商会がエクレルに来ることになった。

 ウェーバー商会にとってモーガン商会なんて敵にもなりえなかった。
 田舎で権力とくっついて甘い汁を吸っているだけの商売力のないバカ。
 そんなのなんの障害にもならなかった。

 ウェーバー商会はそう決定すると速かった。
 いきなり大通りに店を借りて、営業を始めたのだった。
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