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第5章 ランドバルク王国王女イグレーヌ
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「エヴァンス、どこに行くんだ」
「深淵の森に沿って歩いて、他の国に行きます。
神泉教団の枢機卿のわたし、ランドバルク王国第一王女イグレーヌ姫、剣神ランスロット。
この3人であれば、どの国でも亡命を受け入れてくれるでしょう」
「それではロラン王国がいいんじゃない。
あの国は叔母さんが嫁いでいるし、たぶん助けてくれるはずよ」
3人は馬で深淵の森に沿った街道を進む。
「今目指しているのは、フリード共和国の方です。
この後、悪魔と戦うためにはロラン王国かフリード共和国の二択です。
他の国では悪魔に勝てないでしょう。
それで力を借りるとなると、それ相応のものが必要となります。
その時、ロラン王国はランドバルクの併合を条件とするでしょう。
フリード共和国はそこまでのことはしません。
ただ、彼らは利で動きます。
いままで、国交のなかったランドバルクを西側の陣営に引き入れることができるとなると、戦力をだしてくれるでしょう。
彼らはロランとランドバルクが手を結ぶことを恐れていますからね」
「それでは、ロラン王国が黙っていないのではない?」
「ええ、兄と手を結んでわたしたちに対抗する可能性はゼロではありません」
「それなら、ロラン王国がいいのではないですか?」
「たぶん、ロラン王国は簡単にブラッドリー王と組めないはずです。
最近ロランの誇る魔導士隊の隊長ブラックウッドさんを放逐したらしいです。
それで、魔導士部隊の戦力低下が激しいとの情報です。
だから、ロラン王国は出てこないと思っています」
「そうか。それならフリードに行こうぜ」
「ランスロットはどう思うの?」
「俺は…わかんねえな。
ただ、エヴァンスの言う通りでいいんじゃねえか。
こいつの言うことって間違ってないと思うぜ」
「そうですね。
わかりました。エヴァンスの言うとおりにしましょう」
「本当なら深淵の森を抜けると直線距離になるのですが、深淵の森は大変危険です。
森に入るとすぐに強い魔獣が出てきます。
それに森自体が生きているように人を惑わすといいます」
「魔獣くらい、俺が蹴散らしてやるぜ」
「いえ、深淵の森には始原のドラゴンがいます。
人間程度では勝てません。
そのうえ、手負いで姫を守りながらとなると、普通の魔獣でも負ける可能性があります」
「それは厳しいな。
しかしエヴァンスの言うのがまっとうだな。
姫をこれ以上危険な目に合わせることができないからな」
「しかし、やつらが出てくるとなると、話は別です」
「あの五本指とかいう悪魔か」
「そうです。あいつらは別格です。
あいつらが出てきたらいちかばちか森にはいることも考えましょう」
「ああ、わかってる。
とにかく、共和国の力を借りるまでは戦いたくないな」
王女一行はフリードに向けて進む。
その後ろを一人の悪魔が追いかけているのだった。
「深淵の森に沿って歩いて、他の国に行きます。
神泉教団の枢機卿のわたし、ランドバルク王国第一王女イグレーヌ姫、剣神ランスロット。
この3人であれば、どの国でも亡命を受け入れてくれるでしょう」
「それではロラン王国がいいんじゃない。
あの国は叔母さんが嫁いでいるし、たぶん助けてくれるはずよ」
3人は馬で深淵の森に沿った街道を進む。
「今目指しているのは、フリード共和国の方です。
この後、悪魔と戦うためにはロラン王国かフリード共和国の二択です。
他の国では悪魔に勝てないでしょう。
それで力を借りるとなると、それ相応のものが必要となります。
その時、ロラン王国はランドバルクの併合を条件とするでしょう。
フリード共和国はそこまでのことはしません。
ただ、彼らは利で動きます。
いままで、国交のなかったランドバルクを西側の陣営に引き入れることができるとなると、戦力をだしてくれるでしょう。
彼らはロランとランドバルクが手を結ぶことを恐れていますからね」
「それでは、ロラン王国が黙っていないのではない?」
「ええ、兄と手を結んでわたしたちに対抗する可能性はゼロではありません」
「それなら、ロラン王国がいいのではないですか?」
「たぶん、ロラン王国は簡単にブラッドリー王と組めないはずです。
最近ロランの誇る魔導士隊の隊長ブラックウッドさんを放逐したらしいです。
それで、魔導士部隊の戦力低下が激しいとの情報です。
だから、ロラン王国は出てこないと思っています」
「そうか。それならフリードに行こうぜ」
「ランスロットはどう思うの?」
「俺は…わかんねえな。
ただ、エヴァンスの言う通りでいいんじゃねえか。
こいつの言うことって間違ってないと思うぜ」
「そうですね。
わかりました。エヴァンスの言うとおりにしましょう」
「本当なら深淵の森を抜けると直線距離になるのですが、深淵の森は大変危険です。
森に入るとすぐに強い魔獣が出てきます。
それに森自体が生きているように人を惑わすといいます」
「魔獣くらい、俺が蹴散らしてやるぜ」
「いえ、深淵の森には始原のドラゴンがいます。
人間程度では勝てません。
そのうえ、手負いで姫を守りながらとなると、普通の魔獣でも負ける可能性があります」
「それは厳しいな。
しかしエヴァンスの言うのがまっとうだな。
姫をこれ以上危険な目に合わせることができないからな」
「しかし、やつらが出てくるとなると、話は別です」
「あの五本指とかいう悪魔か」
「そうです。あいつらは別格です。
あいつらが出てきたらいちかばちか森にはいることも考えましょう」
「ああ、わかってる。
とにかく、共和国の力を借りるまでは戦いたくないな」
王女一行はフリードに向けて進む。
その後ろを一人の悪魔が追いかけているのだった。
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