ケムケムの森

ほしうさ

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デート

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「おはよう。今日は珍しく早起きだね」
「今日はちょっと友達とでかけるの」
「いいなー。俺は仕事なのに。でも楽しんできてね。」
「ありがとう」

私の名前はれいな。明日で30才になります。三十路突入です。大好きな旦那さまと2人暮らし。私たちは自他共に認めるらぶらぶ夫婦です。だけど、私には誰にも言っていない秘密があるのです。

「いってきまーす」
「いってらっしゃーい」

旦那さまが見えなくなるまで手を振り見送ると急いで自分の出かける用意をし、待ち合わせ場所へと向かいます。

「あやとごめーん、待った?」
「そんなことないよ。ちょっと前に来たところ。じゃ、行こうか。」


そう。秘密とはあやとのこと。私には旦那さまの他に大好きな彼氏がいるのです。
あやとにも奥さまがいます。こちらもらぶらぶです。他の人からみるとこれは不倫なのかもしれません。でも、私たちはそうは思っていません。お互いの生活を壊そうという気持ちは微塵もありません。ただ、非日常を手に入れたカップルなのです。

「今日は初めてのお外デートだね。」
「お天気も良いし、ドライブ日和だな。」
「そういえばこの前ね、」

他愛もない話をしながら目的地まで向かいます。私はいつも通りを演じながら胸の鼓動を必死に抑えていました。何故ならお外デートでしたいことがあったからです。

「着いたね。この吊り橋は世界最古の吊り橋といわれているんだよ。」

車を降りてからも吊り橋について楽しくお喋りをしてくれます。でもそれどころでは無いのです。

「れいなどうしたの?吊り橋好きじゃなかった?」
「え?いや!吊り橋大好きだよ。楽しみだね」
「本当?なんか変だよ?」
「あの、いやー、そのー...」

胸の鼓動がどんどんはやくなるのが分かります。このままでは破裂してしまいそうです。
言うしかありません。

「私と手を繋いでください!!!」

言ってしまいました。

「いいよ」

ニコッと笑って手を取ってくれました。
なんて可愛い笑顔なのでしょう。
なんてキレイなおててなのでしょう。
念願の手繋ぎデートです。
もう幸せすぎて死んでしまいそうです。

そうして幸せを噛み締めながら吊り橋を渡りきると突然の雨。近くにあった小屋で雨宿りをすることにしました。

「さっきまであんなに晴れてたのにな。」
「山の天気は変わりやすいっていうもんね。」
「ん?あれ見て!蝶々が蜘蛛の巣に引っかかったぞ?」
「可哀想に。蜘蛛もいないみたいだし取ってあげよう。」

その後も雨はなかなかやみません。
すると、あやとがポケットから何かを出して私の手のひらにそっとのせました。

「あげる。誕生日プレゼント。」

可愛い赤いリボンのついた髪飾りです。

「え?覚えててくれたの?」
あやとは恥ずかしそうに頷きます。
「ありがとう!!さっそくつけて良い?」

付けようとしたその時。
猫が髪飾りを加えて橋の方に逃げていきました。

慌てて私たちも追いかけます。橋を渡りきると姿がみえません。

「どこ行っちゃったんだろ。」
「あれ?」
「どういうことなの?」
「車がない。というか、ここはどこなんだ?」
橋を渡る前とは全く違う景色がそこにあったのです。
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