いまさらですが、中二病で世の中は回っている!!

丸ニカタバミ

文字の大きさ
108 / 125
本編

兄の話

しおりを挟む
 どうも、みなさん。久々に登場する、なつきです。
 なぜ出てこなかたかって?最近、姫とまったく予定が合わなくって……。あと、中仁さんとキャラが被るとかなんとか。
 ちなみに、途中から一人称が僕から俺に変わったのは純粋によそいきのキャラをやめただけでそれ以外に理由はありません。
 さて、そんな僕には一人、兄がいます。せっかくなのでその話をしましょう。
「たっだいまー」
「おかえり」
「どうした元気ないな、恋煩いか」
 このどうしようもなくデリカシーのないやつが僕の兄ー長月ユウトだ。社会人一年目の兄だがオタクらしいというか中二病がとめどない。
「全然、いつも通りだと思うけど」
「いやいや違うよ。おかえりー♪がおかえりーだった」
「言ったことねーよ。♪ってなんだよ、そんなルンルンであいさつしたことないよ!」
「元気がいいねぇ、ワイルド系アロハお兄さんが話を聞いてあげよう」
 ちなみに兄はワイルド系でもなければアロハシャツすら持っていない。むしろ、チェックのシャツをインしてベージュのチノパンが似合う感じだ。
「話すことなんてない」
「いいのか」
「なにが?」
「今のうちに何とかしないとお前の恋心なんて遥かかなたに消えていくぞ」
「そんな、魔法じゃあるまいし」
「恋は一時の魔法とはロマンチックなこというな」
 ちがう、そういうことじゃない。
「……」
「なんだよ」
「ほんとに好きな子とかいないの?」
「…いない」
「今のはいる反応でしょ」
「いないって」
「いいじゃん、ゲロっちまえよ。兄ちゃんと恋バナしようぜ」
 誰がするか。兄弟じゃなくても男二人で恋バナなんて気持ち悪い空間、見せられるわけがない。
「いいか、これは体験談なんだが中二の時にーエクスプロージョンと叫んでいるときに好きな子ができた」
 なぜ中二病のことをわざわざ技名に言い換える必要があるんだ。
 しかし、兄の恋バナとは新鮮だ。せっかくだし聞いておこう。
「とってもかわいい子でさあ。かぐや姫みたいな子だったんだ」
 すでに撃沈するフラグが立っているが大丈夫なのかそれで。
「ほんとうにかわいい子でそれはもう目に入れてもいたくない感じなんだよ」
 それだと、お前が親になるけどな。
「でっ、いつも廊下から見ていたわけだよ。それこそ、休み中も授業中も」
 もうそれじゃあ、ストーカーだけどな。
「席が隣になった時はうれしかったよ」
 なんだ、同じクラスなのか。それなら、一応は問題ないな。
「それはそれはもう感動したね。まさかあの子の席が廊下側になるなんて思ってもいなくて」
 え?
「もう、緊張のあまりハアハアしちゃったよ」
 もう、誰がどう見たってストーカー気質の変質者の絵面にしかならない。
「それでさ、時々目が合うんだよ」
 もう、アウトだろ。
「そしたらさ、ニコッとして手を振ってくれるんだよ」
 相手の人、意外にも寛容なんだな。
「その時初めて知ったんだよ。その人笑顔が苦手みたいでさあ。引きつってたんだよ」
 それ、思いっきりドン引きしてんじゃねーか!
 どう考えても、隣にやばいやつがいるから難なくいこうとしている図じゃねーか。
「その時に告白しようと決めたね」
 今のところ、その結論に達する要素が何一つない。なるほど、ストーカーとはこうやってできるのか。
「でっ、頑張って告白したわけよ」
 まあ、もう無理なことは目に見えているけどな。
「そしたら、彼女がこう言ったんだ『2カラットのダイヤモンド持ってきたらいいよ』って」
 滅茶苦茶、無理難題吹っかけられているんじゃないか。
 ※だいたい四百万程
「なんでかなーって考えたら、四月が誕生日だから誕生石が良かったんだよな」
 絶対に違うよ、それかぐや姫と同じ原理で断られてるよ。
「でも、さすがに4百万は用意できないからどうしようかなーと思ったんだよ」
 そこは冷静なのか。
「そしたら、四月の誕生石って水晶もあるんだよな。だから、六角柱の水晶を用意したんだよ。400gぐらいあるやつ」
 何の嫌がらせだー!
 パワーストーンショップで『わーすごいね』で結局買わないやつを買うやつがいるとは恐ろしい。
「そしたら、またニコッとしてくれたんだよ。引きつってたけど」
 引きつってたんかい!!。そりゃそうだろ、前代未聞だよ。
「でっ、一回は断られたんだけどなんやかんやでいまだに付き合ってんだよね」
 そのなんやかんやを教えろ!
「どうだ、ためになっただろ」
「なるか!!うん?ちょっと待てよ、いまだに付き合ってる?」
「そうだよ」
「おれ、会ったことある人?」
「家には、連れてきたことないけどあったことあると思うぞ。いま、隣駅の少し古びたカフェでバイトしてて会ったって言ってたから」
「隣駅の古びたカフェってまさか…」
・・・・
「そういえば、この前店長から聞いたんだけどタメって本当」
「そうですよ、言ってませんでしたっけ」
「初耳だね」
「あと、彼氏がいるってほんと」
「プライベートな案件に介入するとか、もしかしてあんなにあんなの子がたくさんいるのにさらに唾つける気ですか。ドン引きです」
「ゆうちゃん、さすがにひどくない」
「冗談です。いますよ、馬鹿なぐらいまっすぐないいやつです」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...