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本編
ゲームpart2 2
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あれから何度周回しただろうか。もう、どれが必要でどれが必要ない素材かそれすらも怪しくなってきた。
まるで体は剣のようで
血は鉄のように冷徹に冷め切って
失敗するたびに心にひびが入る。
今周回ではたった一度も落ちることはなく、
たった一度の緊急回避もない。
そして、昔は強敵だった相手をひたすらに屠る行為は勝利と呼べるものなのだろうか。
盾役は自分ひとり。
丘の上で剣を研ぐ
ならば、この一振りに意味はなく
この体は
火炎やられで燃えていた。
「熱い、熱い。誰か打消し使って」
「ごめん、忘れてきた」
「同じく」
「じゃあ、姫は」
「あるよー」
「じゃあ、使って!」
「えーっと…どこだっけなー」
「早くして!」
「あったあった、じゃあ、飲む……ね。ぎゃああああああああああ、なんでmの前にいるのーーーー!」
もはや言葉になっていないが意味だけは理解できた。
「いつの間に!」
「まずい、端っこにいたのが災いしてあれじゃよけきれない。さすがにあそこで連続攻撃を食らったら死んじゃう」
モンスターがモーションに入る。
もうだめだ、そう思った。
すると姫がいきなり爆弾を置き始めた。
「「「えっ!?」」」
そして爆弾に向かって弾丸を一発当てた。
爆弾は姫のアバターを吹き飛ばして攻撃を食らうことなく彼方へ吹き飛ばす。ダメージは受けたもののモンスターの攻撃よりも低いダメージで乗り切った。
しかし、モンスターもここで倒さんとばかりに必死に追いかける。そして、起き上がった瞬間を狙ったといわんばかりに引っかきモーションに入る。
さっきは、偶然爆弾を置いて回避したかもしれないがさすがに次の攻撃はよけられない。
メンバーの全員がそう思った。
しかし、そうはならなかった。
普通に回避。回避。フラッシュバン。
そこからの睡眠弾からの爆弾による爆発。
〈クエストに成功しました〉
「えーっと…姫?」
「ああ、よかったよかった。さすがに三落ちじゃあ目も当てられなかった」
聞き覚えのあるようなないような、明らかに男の声がした。
「ああ、そうか。ボイチャ初めてだもんね」と男は一人納得しながらそう言った。
「改めまして中仁です」
「「「えっ!?」」」
本日、二度目のハモリ。
声が被ることがあってもハモることが日常以上にないボイスチャットで二度もハモった。
「ここ初心者だとしんどいでしょ」
「あーはい」
結構な時間はやっているんですけどね。
「いやーうちゲームは基本的には禁止なんだけど、どうしてもやりたいっていうからサブ垢でやらしててみてたらすごいことになっていたからつい手伝ちゃった」
「へーそうなんですね。とてもうまかったですけど、どれぐらいやりこんでいるんですか?」
「えーっとねえ…だいたい600時間の200ランクぐらいかな。まあ、あんまりうまくないけど、歴バゼ遠距離でしか倒せないからまだまだかな。なんか、時間だけたってランクも比例したって感じかな」
ん?あれ、俺って今どれぐらいやってたっけ。無言で、プレイヤーカードの画面を見て確認する。153時間ランク30。果たしてランク30になってから何時間立つだろうか。。ちっとも上がらない。
これはどっちがおかしいのだろうか。
いや、まあそんなことはどうでもいい。ゲーマーと一般人の時間感覚にずれがあるのはよくあることだと兄貴から聞いたことがある。
「そういえば、周回しているみたいだけど素材集め?」
「そうなんですよ。エンビー装備を作りたくて」
「なんで?」
「なんでって、このイベントで追加されたモンスターを倒すためですよ」
「ああ、なるほど……うん、無理だね」
「はい?」
無理…とな?
そう疑問に思っていると中仁さんが補足した。
「まあ、いろいろと思うところはあるけど、とりあえずはスキル構成と立ち回りかな」
「でも、それってすぐになんとかできるものなんですか?」
「うーん、難しいかな。まあ、でも任せなさい。チーム大人陣が全力で協力しよう。いくら、手慣れたハンターが余裕で倒したとはいえ今回のイベント最高難易度のモンスターだし。イベント終了まであと二週間ちょっと、殺せるといいですね。ヌフフフフフフ」
まるで体は剣のようで
血は鉄のように冷徹に冷め切って
失敗するたびに心にひびが入る。
今周回ではたった一度も落ちることはなく、
たった一度の緊急回避もない。
そして、昔は強敵だった相手をひたすらに屠る行為は勝利と呼べるものなのだろうか。
盾役は自分ひとり。
丘の上で剣を研ぐ
ならば、この一振りに意味はなく
この体は
火炎やられで燃えていた。
「熱い、熱い。誰か打消し使って」
「ごめん、忘れてきた」
「同じく」
「じゃあ、姫は」
「あるよー」
「じゃあ、使って!」
「えーっと…どこだっけなー」
「早くして!」
「あったあった、じゃあ、飲む……ね。ぎゃああああああああああ、なんでmの前にいるのーーーー!」
もはや言葉になっていないが意味だけは理解できた。
「いつの間に!」
「まずい、端っこにいたのが災いしてあれじゃよけきれない。さすがにあそこで連続攻撃を食らったら死んじゃう」
モンスターがモーションに入る。
もうだめだ、そう思った。
すると姫がいきなり爆弾を置き始めた。
「「「えっ!?」」」
そして爆弾に向かって弾丸を一発当てた。
爆弾は姫のアバターを吹き飛ばして攻撃を食らうことなく彼方へ吹き飛ばす。ダメージは受けたもののモンスターの攻撃よりも低いダメージで乗り切った。
しかし、モンスターもここで倒さんとばかりに必死に追いかける。そして、起き上がった瞬間を狙ったといわんばかりに引っかきモーションに入る。
さっきは、偶然爆弾を置いて回避したかもしれないがさすがに次の攻撃はよけられない。
メンバーの全員がそう思った。
しかし、そうはならなかった。
普通に回避。回避。フラッシュバン。
そこからの睡眠弾からの爆弾による爆発。
〈クエストに成功しました〉
「えーっと…姫?」
「ああ、よかったよかった。さすがに三落ちじゃあ目も当てられなかった」
聞き覚えのあるようなないような、明らかに男の声がした。
「ああ、そうか。ボイチャ初めてだもんね」と男は一人納得しながらそう言った。
「改めまして中仁です」
「「「えっ!?」」」
本日、二度目のハモリ。
声が被ることがあってもハモることが日常以上にないボイスチャットで二度もハモった。
「ここ初心者だとしんどいでしょ」
「あーはい」
結構な時間はやっているんですけどね。
「いやーうちゲームは基本的には禁止なんだけど、どうしてもやりたいっていうからサブ垢でやらしててみてたらすごいことになっていたからつい手伝ちゃった」
「へーそうなんですね。とてもうまかったですけど、どれぐらいやりこんでいるんですか?」
「えーっとねえ…だいたい600時間の200ランクぐらいかな。まあ、あんまりうまくないけど、歴バゼ遠距離でしか倒せないからまだまだかな。なんか、時間だけたってランクも比例したって感じかな」
ん?あれ、俺って今どれぐらいやってたっけ。無言で、プレイヤーカードの画面を見て確認する。153時間ランク30。果たしてランク30になってから何時間立つだろうか。。ちっとも上がらない。
これはどっちがおかしいのだろうか。
いや、まあそんなことはどうでもいい。ゲーマーと一般人の時間感覚にずれがあるのはよくあることだと兄貴から聞いたことがある。
「そういえば、周回しているみたいだけど素材集め?」
「そうなんですよ。エンビー装備を作りたくて」
「なんで?」
「なんでって、このイベントで追加されたモンスターを倒すためですよ」
「ああ、なるほど……うん、無理だね」
「はい?」
無理…とな?
そう疑問に思っていると中仁さんが補足した。
「まあ、いろいろと思うところはあるけど、とりあえずはスキル構成と立ち回りかな」
「でも、それってすぐになんとかできるものなんですか?」
「うーん、難しいかな。まあ、でも任せなさい。チーム大人陣が全力で協力しよう。いくら、手慣れたハンターが余裕で倒したとはいえ今回のイベント最高難易度のモンスターだし。イベント終了まであと二週間ちょっと、殺せるといいですね。ヌフフフフフフ」
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