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本編
大人タイム2
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「ふーっ、食べた食べた。ごちそうさま」
「ようおあがり」
そう言いながら、卓也の食べ終わったお皿を回収する。
回収したお皿をカウンター越しにいるサクラに渡す。
「中仁、そこのお皿も取って」
「へいへい」と言いながら姪が食べてそのままにしていったお皿を渡す。
「やっぱり、サクラと中仁のコンビでつくったときは飯がうまい」
「そうね。中仁は早いんだけど味付けが雑だから」
「生駒先輩には中仁も言われたくないと思いますけどね」
「ちょっと!それはいったい…」
生駒先輩の声を遮って卓也が話を続ける。
「僕も料理はうまくないほうですけど人を失神させるほどの料理を作れる人は珍しいですもんね」
「ああ、おれも覚えてる。確か、八伏先輩が泡吹いて倒れたんだっけ」
「「お前ら、危険だからこれ食うな!」って言った後に倒れて救急車で運ばれたんだ。お酒も飲んでたから急性アル中を疑われてあれこれ質問されて大変だったよな」
「そうそう。さすがに、生姜焼きにタバスコが入ってましたなんて言えないもんな」
「あれは、中仁が「もう少し辛くてもいいんじゃないんですか」っていうから…」
全員が俺の顔を見る。
なんで俺を見る。まさか、おれが悪いと?自分の名誉のために反論しないと。
「いやいや、それは前にも言いましけど辛くしたほうがいいなんて言ってないですよ」
「じゃあ、なんていったのさ」
サクラは間髪入れずに質問する。
「おれは、「もう少しショウガ辛くてもいいんじゃないですか?」って言っただけで直接辛さ足せなんて言ってないから」
「まあ、中仁がなんて言おうとタバスコを入れる時点で疑問を持たない時点で察しますね」
「今思い出したけど前に先輩、するめ焼くはずが家を焼きそうになってなかったっけ」
「マヨネーズつけたまま炙ってするめがろうそくみたいになってた」
あったなそんなことも。しかもそれを持ったまま廊下を歩いてたから「幽霊が出た!」ってなってサークル旅行は迷事件として有名になった。
あれ…そう考えると生駒先輩ってトラブルメーカーでは?
「あのぉ…」
突然の声に全員がそっちに顔を向ける。
そこには姪が立っていた。
「ん?どうした」
「いやあ、あんまり眠くないし楽しそうだから混じりたいなあ…なんて」
姪はこちらの顔をうかがうように座っているみんなの顔を見る。
「へえ、テスト前に余裕そうね。それなら…よいしょ」
先輩はニコニコしながら自分のカバンの前まで歩いていき、カバンからプリントの束を取り出す。それも、結構な量だ。
ドンッ
机の上にプリントの束を置く。正直、全員がまじかという顔でプリントを見つめている。
「ここにプリントがあります」
「それは、見ればわかります」
姪はすこしふてぶてしく答える。
「このプリントに暗記する内容がびっしり詰まっていて明後日までに覚えきらないといけないのだけど……」
そこから先は察しろ言わんばかりにプリントから姪にゆっくりと目を移す。
先輩のプレッシャーにその他のメンバーも手を膝に置いて下を向いている。
「まあ、先輩。少しぐらいいじゃないですか」
「いいよ、おじさん。わたし部屋に戻る」
姪はそういうとそそくさと部屋に戻っていった。
「……」
さっきまで明るかったリビングも静まり返って空気が重い。
「どうして、形だけの脅しなんかしたんですか」
「なんか、もったいない気がして」
「もったいない?」
「そう、せっかく友達が集まって楽しいお泊り会ーってなっているときにね、ひとり私たちの話が気になってそわそわしているわけでしょ。それってね、せっかく思い出になるイベントを無駄にするわけじゃない。苦い思い出にするのもねありだとは思うの、でもできるならいい思い出のほうがいいに決まってるから…」
そこから先は何も言わなかった。そこから先の言葉を探そうとして先輩は目を泳がせていた。
「まっ、生駒先輩の気持ちもわかりますけどね」
すぐに卓也が口を開いた。卓也はそのまま話を続ける。
「でも、それって結局本人がどうとるかでしょ。先輩の話だといい意味で取ったという前提で話が進んでいるけどそうじゃないでしょ。あの時話を聞かなければよかったと後悔するかもしれないし、友だち同士ではいつも通りの話をしたからこっちを聞いとけばよかったと後悔するかもしれない。じゃあ、わざわざ選択肢を減らすようなやり方じゃなくて口で少し揺さぶるぐらいのほうが良かったのでは?」
「でも、そういうのって振り返るときの心持やそれまでの経験が左右するわけでいま俺たちがどうこうしたところで変わらないんじゃないか?」
「それでも、あの一言で確率はグンと上がるはずよ」
「それは確率が上がったんじゃなくて、記憶に残らないという可能性をつぶしただけで選択肢が1つになったわけじゃない」
卓也、下村、サクラの順で話し始める。
ああ、なつかしい。
学生の頃はずっとこうして答えも学術的根拠もない話をずっとしていた。
ちょっとしたことがきっかけで議題が上がる。それに対して、純粋に思ったことを発言する。それが議題からずれていようが関係ないただ思い思いに言いたいことを言うだけだ。でも、それが面白い。
いつだったか、誰かが言った。「意味のないことと無意味は同じじゃない。少なくとも意味のないことは経験をつめるのだから」と、その言葉に独創性のあるなしとか、有用性があるかは関係ない。ただ、楽しくていいこと言った感さえあればそれで十分だ。
そうして、議論に参加して思い出にふけりながら夜もふけていった。
「ようおあがり」
そう言いながら、卓也の食べ終わったお皿を回収する。
回収したお皿をカウンター越しにいるサクラに渡す。
「中仁、そこのお皿も取って」
「へいへい」と言いながら姪が食べてそのままにしていったお皿を渡す。
「やっぱり、サクラと中仁のコンビでつくったときは飯がうまい」
「そうね。中仁は早いんだけど味付けが雑だから」
「生駒先輩には中仁も言われたくないと思いますけどね」
「ちょっと!それはいったい…」
生駒先輩の声を遮って卓也が話を続ける。
「僕も料理はうまくないほうですけど人を失神させるほどの料理を作れる人は珍しいですもんね」
「ああ、おれも覚えてる。確か、八伏先輩が泡吹いて倒れたんだっけ」
「「お前ら、危険だからこれ食うな!」って言った後に倒れて救急車で運ばれたんだ。お酒も飲んでたから急性アル中を疑われてあれこれ質問されて大変だったよな」
「そうそう。さすがに、生姜焼きにタバスコが入ってましたなんて言えないもんな」
「あれは、中仁が「もう少し辛くてもいいんじゃないんですか」っていうから…」
全員が俺の顔を見る。
なんで俺を見る。まさか、おれが悪いと?自分の名誉のために反論しないと。
「いやいや、それは前にも言いましけど辛くしたほうがいいなんて言ってないですよ」
「じゃあ、なんていったのさ」
サクラは間髪入れずに質問する。
「おれは、「もう少しショウガ辛くてもいいんじゃないですか?」って言っただけで直接辛さ足せなんて言ってないから」
「まあ、中仁がなんて言おうとタバスコを入れる時点で疑問を持たない時点で察しますね」
「今思い出したけど前に先輩、するめ焼くはずが家を焼きそうになってなかったっけ」
「マヨネーズつけたまま炙ってするめがろうそくみたいになってた」
あったなそんなことも。しかもそれを持ったまま廊下を歩いてたから「幽霊が出た!」ってなってサークル旅行は迷事件として有名になった。
あれ…そう考えると生駒先輩ってトラブルメーカーでは?
「あのぉ…」
突然の声に全員がそっちに顔を向ける。
そこには姪が立っていた。
「ん?どうした」
「いやあ、あんまり眠くないし楽しそうだから混じりたいなあ…なんて」
姪はこちらの顔をうかがうように座っているみんなの顔を見る。
「へえ、テスト前に余裕そうね。それなら…よいしょ」
先輩はニコニコしながら自分のカバンの前まで歩いていき、カバンからプリントの束を取り出す。それも、結構な量だ。
ドンッ
机の上にプリントの束を置く。正直、全員がまじかという顔でプリントを見つめている。
「ここにプリントがあります」
「それは、見ればわかります」
姪はすこしふてぶてしく答える。
「このプリントに暗記する内容がびっしり詰まっていて明後日までに覚えきらないといけないのだけど……」
そこから先は察しろ言わんばかりにプリントから姪にゆっくりと目を移す。
先輩のプレッシャーにその他のメンバーも手を膝に置いて下を向いている。
「まあ、先輩。少しぐらいいじゃないですか」
「いいよ、おじさん。わたし部屋に戻る」
姪はそういうとそそくさと部屋に戻っていった。
「……」
さっきまで明るかったリビングも静まり返って空気が重い。
「どうして、形だけの脅しなんかしたんですか」
「なんか、もったいない気がして」
「もったいない?」
「そう、せっかく友達が集まって楽しいお泊り会ーってなっているときにね、ひとり私たちの話が気になってそわそわしているわけでしょ。それってね、せっかく思い出になるイベントを無駄にするわけじゃない。苦い思い出にするのもねありだとは思うの、でもできるならいい思い出のほうがいいに決まってるから…」
そこから先は何も言わなかった。そこから先の言葉を探そうとして先輩は目を泳がせていた。
「まっ、生駒先輩の気持ちもわかりますけどね」
すぐに卓也が口を開いた。卓也はそのまま話を続ける。
「でも、それって結局本人がどうとるかでしょ。先輩の話だといい意味で取ったという前提で話が進んでいるけどそうじゃないでしょ。あの時話を聞かなければよかったと後悔するかもしれないし、友だち同士ではいつも通りの話をしたからこっちを聞いとけばよかったと後悔するかもしれない。じゃあ、わざわざ選択肢を減らすようなやり方じゃなくて口で少し揺さぶるぐらいのほうが良かったのでは?」
「でも、そういうのって振り返るときの心持やそれまでの経験が左右するわけでいま俺たちがどうこうしたところで変わらないんじゃないか?」
「それでも、あの一言で確率はグンと上がるはずよ」
「それは確率が上がったんじゃなくて、記憶に残らないという可能性をつぶしただけで選択肢が1つになったわけじゃない」
卓也、下村、サクラの順で話し始める。
ああ、なつかしい。
学生の頃はずっとこうして答えも学術的根拠もない話をずっとしていた。
ちょっとしたことがきっかけで議題が上がる。それに対して、純粋に思ったことを発言する。それが議題からずれていようが関係ないただ思い思いに言いたいことを言うだけだ。でも、それが面白い。
いつだったか、誰かが言った。「意味のないことと無意味は同じじゃない。少なくとも意味のないことは経験をつめるのだから」と、その言葉に独創性のあるなしとか、有用性があるかは関係ない。ただ、楽しくていいこと言った感さえあればそれで十分だ。
そうして、議論に参加して思い出にふけりながら夜もふけていった。
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