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第2章
第27話 1つ目の最悪
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「バッド……お前……!?」
「お父さん! 来るよ!!」
ガルルルル!!!
獣のしっぽ攻撃を間一髪回避し、その攻撃は地面に叩きつけられた。
地面は窪み、ヒビが入る。
「バッド……その力は?」
「身体に魔力を流してるんだ。時間が無いから……お父さん、お母さん。一緒に戦おう」
「……分かった。でも、バッド。お父さんはいつでも他転移魔法でお前を飛ばす準備は出来てるからな」
「……うん。でも、負けるつもりは無いよ」
俺とお父さんはもう一度、戦闘態勢を整え、お母さんも魔力を準備した。
ガルルル……!
「お父さん! 俺が攻撃を受け止めるから! その隙を狙って!」
お父さんが受けられないのなら俺が受ける。そして、お父さんが倒してくれる。その力は十分にある。
獣がこちらに向かって唸りながら突っ込んでくる。
そして、こっち向かって爪を立てて引っ掻いてきた。
ガキンっ!!
「くっ……! 今だお父さん!!」
「おりゃぁぁあ!!」
キンっ!
「な、なに!?」
お父さんが獣のうなじに全力で振り下ろした剣は、いとも簡単に弾かれてしまった。
その瞬間、獣はグルリと周り、俺たちを吹き飛ばした。
休む間もなく、倒れているお父さんに向かって獣が突っ込んでくる。
「お父さん!!」
間に合わない……! クソ……! なんで!!
「あなた! 早く立って!!」
お母さんが叫んだ時、地面からツルのような物が伸び、獣の四肢に絡みつき、動きが止まった。
「すまねぇ……助かった」
危なかった。お母さんが魔力を貯めていなければ恐らく、簡単にツルは切れていた。
お母さんの判断力に俺とお父さんは助けられたのだ。
「バッド。恐らくだが、この獣魔力を操作してるぞ。お前の力みたいな……」
「獣が……魔力の操作……を?」
だから、お父さんの攻撃は通らなかったのか。見た感じお父さんも無意識にだが、攻撃する時魔力を放出している。
あの量ならこのレベルのモンスターでも首を落とせたはずだ。
でも、相手も魔力を操作して防御することが出来るのなら。こっちの攻撃を通すことは不可能だ。
理由は簡単。魔力量だ。
体感だが、この獣俺と同じくらいの魔力量を持っている。
そして俺は常に魔力を流し続け、消費している。よって、こいつにダメージを入れられるほどの魔力はもう持ち合わせてはいない。
この獣は魔力を流している訳では無く、留めている。俺が足や手だけに魔力を集めていたやつの上位互換だ。
俺は少しずつ放出してしまっているがこいつは違う。
「いよいよやばいな……なんか手はねぇのか……?」
お父さんの表情が曇る。焦りだ。
「あなた! バッド! 少しだけ時間を稼いでちょうだい!」
その声はお母さんの声だった。返事をする前にまたお母さんが話し出す。
「私の魔力ありったけの強化魔法を2人にかけるわ。長い詠唱魔法だから……30秒……いや、20秒! いい!?」
俺とお父さんは顔を見合せ、「おう!」と答えた。
ガルルルル!!
「くるよ! お父さん! 右!」
「神に宿りし膨大な魔力よ」
ガルルルル!
「くっ! 負けるかぁーー!」
ガキンっ!!
「この大地に生きる者に」
「バッド! お母さんに獣近付かせないぞ!」
「分かってるよ!!」
「おりゃぁぁぁあ!」
「そして、戦い続ける強き者に」
ガルル……!!
「ぐはっ!」
「お父さん!!」
「俺はいいから……! バッド!!」
「その魔力の助けを求める者に」
ガルルルル!!
「くっそやろぉぉぉお!! 吹っ飛べやぁぁあ!」
ガキンっ!! ドンッ!!!
「はぁ……はぁ……」
「よくやったぞ……バッド」
「今、与えよ……力を!!」
お母さんの詠唱が終わったその時、白い光が俺とお父さんを包み込んだ。
獣を吹き飛ばす為に使った大量の魔力は全て回復し、むしろ増え続けた。
「2人共……効果は数分だから……」
バタンっ
「お母さん!」
倒れたお母さんを抱え、声をかける。
「ちょっと魔力使いすぎちゃったから……早く……早く倒しなさい」
……やってやる。負けるもんか絶対。
俺は壁に寄りかかるようにお母さんを置き、お父さんの元へ戻った。
「バッド……行くぞ!」
「うん……!」
ガルル……!!!
さっきと同じように爪を立て、引っ掻きに来る獣をひらりと交わし、脇腹辺りを切りつける。
グラァァ!
俺の攻撃は見事に入り、青黒い血が流れる。
しかし、獣は怯むことなく、ノールックでしっぽを振り落としてきた。
「やっば」
ズバンっ!!
「お父さん……」
「よそ見するなよ」
お父さんが振り下ろした剣の太刀筋は、
獣のしっぽを見事に切り落とした。
グラァァァァア!!!!
暴れ出す獣。1度距離を取り、お父さんと言葉を交わす。
「次で……終わらせるぞ!」
「分かった!」
最後の攻撃。俺とお父さんは獣に向かって走り出した。
俺もありったけの魔力を……!!
その時、感じたことの無い魔力の流れ方を感じた。
剣に……魔力が!!
よし……行けるぞ!!!
「おりゃぁぁぁああ!!」
俺は剣を下から振り上げ、獣の前足を2本切り落とした。
「お父さん!!」
「おりゃぁぁぁぁあああ!!」
ズバンっ!!!!!
飛び降りながら振り下ろしたお父さんの剣は、獣の首を難なく切り落とし、大量の血が溢れ出す。そして、倒れた。
「はぁ……はぁ……」
1つ目の最悪。両親の死。
俺はその未来を変えることに成功した。
「ぃよっしゃぁぁぁぁぁああああ!!」
「お父さん! 来るよ!!」
ガルルルル!!!
獣のしっぽ攻撃を間一髪回避し、その攻撃は地面に叩きつけられた。
地面は窪み、ヒビが入る。
「バッド……その力は?」
「身体に魔力を流してるんだ。時間が無いから……お父さん、お母さん。一緒に戦おう」
「……分かった。でも、バッド。お父さんはいつでも他転移魔法でお前を飛ばす準備は出来てるからな」
「……うん。でも、負けるつもりは無いよ」
俺とお父さんはもう一度、戦闘態勢を整え、お母さんも魔力を準備した。
ガルルル……!
「お父さん! 俺が攻撃を受け止めるから! その隙を狙って!」
お父さんが受けられないのなら俺が受ける。そして、お父さんが倒してくれる。その力は十分にある。
獣がこちらに向かって唸りながら突っ込んでくる。
そして、こっち向かって爪を立てて引っ掻いてきた。
ガキンっ!!
「くっ……! 今だお父さん!!」
「おりゃぁぁあ!!」
キンっ!
「な、なに!?」
お父さんが獣のうなじに全力で振り下ろした剣は、いとも簡単に弾かれてしまった。
その瞬間、獣はグルリと周り、俺たちを吹き飛ばした。
休む間もなく、倒れているお父さんに向かって獣が突っ込んでくる。
「お父さん!!」
間に合わない……! クソ……! なんで!!
「あなた! 早く立って!!」
お母さんが叫んだ時、地面からツルのような物が伸び、獣の四肢に絡みつき、動きが止まった。
「すまねぇ……助かった」
危なかった。お母さんが魔力を貯めていなければ恐らく、簡単にツルは切れていた。
お母さんの判断力に俺とお父さんは助けられたのだ。
「バッド。恐らくだが、この獣魔力を操作してるぞ。お前の力みたいな……」
「獣が……魔力の操作……を?」
だから、お父さんの攻撃は通らなかったのか。見た感じお父さんも無意識にだが、攻撃する時魔力を放出している。
あの量ならこのレベルのモンスターでも首を落とせたはずだ。
でも、相手も魔力を操作して防御することが出来るのなら。こっちの攻撃を通すことは不可能だ。
理由は簡単。魔力量だ。
体感だが、この獣俺と同じくらいの魔力量を持っている。
そして俺は常に魔力を流し続け、消費している。よって、こいつにダメージを入れられるほどの魔力はもう持ち合わせてはいない。
この獣は魔力を流している訳では無く、留めている。俺が足や手だけに魔力を集めていたやつの上位互換だ。
俺は少しずつ放出してしまっているがこいつは違う。
「いよいよやばいな……なんか手はねぇのか……?」
お父さんの表情が曇る。焦りだ。
「あなた! バッド! 少しだけ時間を稼いでちょうだい!」
その声はお母さんの声だった。返事をする前にまたお母さんが話し出す。
「私の魔力ありったけの強化魔法を2人にかけるわ。長い詠唱魔法だから……30秒……いや、20秒! いい!?」
俺とお父さんは顔を見合せ、「おう!」と答えた。
ガルルルル!!
「くるよ! お父さん! 右!」
「神に宿りし膨大な魔力よ」
ガルルルル!
「くっ! 負けるかぁーー!」
ガキンっ!!
「この大地に生きる者に」
「バッド! お母さんに獣近付かせないぞ!」
「分かってるよ!!」
「おりゃぁぁぁあ!」
「そして、戦い続ける強き者に」
ガルル……!!
「ぐはっ!」
「お父さん!!」
「俺はいいから……! バッド!!」
「その魔力の助けを求める者に」
ガルルルル!!
「くっそやろぉぉぉお!! 吹っ飛べやぁぁあ!」
ガキンっ!! ドンッ!!!
「はぁ……はぁ……」
「よくやったぞ……バッド」
「今、与えよ……力を!!」
お母さんの詠唱が終わったその時、白い光が俺とお父さんを包み込んだ。
獣を吹き飛ばす為に使った大量の魔力は全て回復し、むしろ増え続けた。
「2人共……効果は数分だから……」
バタンっ
「お母さん!」
倒れたお母さんを抱え、声をかける。
「ちょっと魔力使いすぎちゃったから……早く……早く倒しなさい」
……やってやる。負けるもんか絶対。
俺は壁に寄りかかるようにお母さんを置き、お父さんの元へ戻った。
「バッド……行くぞ!」
「うん……!」
ガルル……!!!
さっきと同じように爪を立て、引っ掻きに来る獣をひらりと交わし、脇腹辺りを切りつける。
グラァァ!
俺の攻撃は見事に入り、青黒い血が流れる。
しかし、獣は怯むことなく、ノールックでしっぽを振り落としてきた。
「やっば」
ズバンっ!!
「お父さん……」
「よそ見するなよ」
お父さんが振り下ろした剣の太刀筋は、
獣のしっぽを見事に切り落とした。
グラァァァァア!!!!
暴れ出す獣。1度距離を取り、お父さんと言葉を交わす。
「次で……終わらせるぞ!」
「分かった!」
最後の攻撃。俺とお父さんは獣に向かって走り出した。
俺もありったけの魔力を……!!
その時、感じたことの無い魔力の流れ方を感じた。
剣に……魔力が!!
よし……行けるぞ!!!
「おりゃぁぁぁああ!!」
俺は剣を下から振り上げ、獣の前足を2本切り落とした。
「お父さん!!」
「おりゃぁぁぁぁあああ!!」
ズバンっ!!!!!
飛び降りながら振り下ろしたお父さんの剣は、獣の首を難なく切り落とし、大量の血が溢れ出す。そして、倒れた。
「はぁ……はぁ……」
1つ目の最悪。両親の死。
俺はその未来を変えることに成功した。
「ぃよっしゃぁぁぁぁぁああああ!!」
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