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第1章
第3話 出会い
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「大丈夫……ですか……?」
「大丈夫……だ……よ……」
俺はヤンキー二人にボコボコにされた。
襲われると分かった時、咄嗟に右手がヤンキー2人に向いていたが、風ひとつ出すことは出来なかった。
手を向けられた瞬間、ヤンキー達は少しビビった様子を見せたが、魔法が使えないとわかった瞬間、再度走り出しボッコボコにされた。ボコボコじゃない。ボッコボコだ。
少し経つと周りにいた人達が通報してくれて事なきを得た。
……いや、事なきを得てはないな。
あーもう身体中痛い!! 顔も腫れまくって身体はアザだらけ!! ……でも、身体が勝手に動いてしまっていた。
「とりあえず……立てますか?」
「う、うん……」
俺はボロボロになりなが彼女の手を借り、フラフラと立ち上がった。
正直意識はほぼなかったが、彼女に手を引かれ人気のないところへと連れていかれていた。
「さっきは本当にありがとうございました」
礼を言う彼女。俺は返事をする力もなかった。
弱りきった手を震わせながらハンドサインをする。
その時だ。
彼女が両方の手のひらをこちらに向けている。
そして、なにか詠唱している。
……あれ? やばくね? オーバーキル狙われてね!?!?
「あ、ちょ……や、めで……」
「動いちゃダメ!!」
声が上手く出ず、焦る俺に怒鳴る彼女。2度目の人生。ここにて終幕……
「なん……で?」
俺の身体はみるみるうちに良くなり、パンッパンの顔もアザも綺麗に治っていた。
「もしかしてこれ……」
「しーーーっ! 誰かに見られたら捕まっちゃうでしょ!」
彼女は人差し指を立て、唇の前に持っていきそのまま、俺の顔に近ずいてこう言った。
「え、あ、その、うん。分かってるよ」
可愛い。マジで可愛い。本気で可愛い。
俺は心の声を漏らさないので必死だった。
これはもう間違いない。明らかに俺の元妻だ。
アイツに寝取られた妻だ。
「本当にさっきはありがとうございました。私の名前はケイト。あなたは?」
「え、あっ。俺はバッドだよ。こちらこそありがとう」
ケイト。そうだ。もう完全一致だ。
でも、早すぎる。展開が早すぎる。
本当ならケイトとの出会いは俺がゴスイ魔法学校を卒業した後だ。
これってもしかして……未来が変わってる?
俺が前の人生と違うことしてるから……ちゃんと未来が変わってる!?
未来が変わってるのだとすれば俺の最悪もちゃんと変えられるってことだ。
「そんな私ができることなんてこれしかないからさ……あ! 今日この後暇?」
「え、あ、うん。暇だけど……」
「じゃあ、助けてくれたお返しにご飯でも奢ってあげる! 行こっ!」
「ちょ! 危ない危ない!」
彼女は俺の手を取って走り出した。
そうだ。昔もそうだった。
俺がダンジョンで助けてあげた次の日。手を取って走り出してくれた。
彼女のこんなところが大好きだったんだ。
水を出す魔法を使えない俺は、走りながら涙一滴流してしまった。
☆☆☆
ここは近くの居酒屋。
「え!? バッド君もゴスイの魔法科受けるの!?」
「しーーっ! 声でかいよ!!」
ケイトは机から乗り出し、バンッと机を叩いた手をそーっと戻し席についた。
「でも本当なの?」
「うん。受ける予定ではあるよ。受かるかは分からないけど」
「バッド君なら絶対受かるよ! 私わかるもん」
「分かるって……なにがだ?」
「魔力量だよ! 今の私の倍くらいはあるんじゃないかな」
そうなのか。子どもでも人の魔力量って分かるんだな。
てっきり親とかすごい人とかの特権かと思ってた。
……まぁ俺は人の魔力量分からないんですけどね。
「そのネックレス……」
「あ、これ? これこの前お母さんに貰ったの。今は少し体調悪いんだけど、元気になったら色んなところ連れて行ってあげたいの!」
やっぱりそうだ。この白く綺麗に光るネックレスには見覚えがあった。
「このネックレス綺麗でしょ~! あ、もしかして欲しいから聞いてきたの? それは無理だな~」
それからたわいない会話を数時間続けた。
この時間は、今までの中でも指三本に入るくらいに楽しかった。
そして嬉しかった。またこうやってケイトと話せて。
でも、まだ俺の中の蟠りは解けていなかった。
俺は彼女に裏切られる。アイツに寝取られる。
アイツも悪い。でも、でも。ケイトだって……俺の事なんて……
「ねぇ! 次いつ空いてる!?」
キラキラした顔でこっちを見つめながら質問する彼女。
……ははは。何勘違いしてんだ。
全部俺が悪かったんだ。俺が彼女助けられなかったんだよアイツから。
今はそう思い込むしか無かった。
変えるんだ。未来を。今こうやってここに居れることは奇跡だ。
だから無駄にするな。絶対に無駄にするな。
俺は絶対に彼女を幸せにするんだ。
もうくじけない。前だけを向けバッド。
たとえどんな事があっても。もう負けちゃダメなんだ。
───あの時の俺みたいに絶対になるな。
「ねぇってば! 聞いてる!?」
「聞いてるよ! 俺は半年後のゴスイの入学試験以外毎日暇だよ」
「じゃあ、明後日……また……遊ばない……?」
急にモジモジし始めたケイト。
なんだよ可愛いじゃんかよ。やめてくれよ俺の中の俺が暴れだしちまいそうだ。
「……いいよ! 俺も遊びたい」
「……やった! じゃぁまた今日出会った場所に同じ時間!」
こうして俺は初めての友達が出来た。
☆☆☆
「なんだか今日は気分がいいな~」
ケイトと会った日の夜。俺は気分が高まっていた。
明後日何すんだろうなぁ。ショッピングかな。それとも美味しいものでも食べるのかな。
……やっぱり俺ケイトのこと好きなのかな。
これは一目惚れじゃない。完全に普通に前々から惚れていた。
離婚してから何もかも絶望していた忘れていたけど、やっぱり好きだ。
「……まぁ頑張ろ」
俺は疲れていたのか、気絶するように眠りについた。
☆☆☆
2日後。俺は待ち合わせ場所に来ている。
この前と同じ時間と言う待ち合わせだったが、かなり曖昧だ。
ってことで気持ち早めに(1時間前)に到着した。
まだかな、とウキウキしていると「バッド君!」と後ろから名前を呼ばれた。
「お待たせ! 待った?」
「いや、全然待ってな……」
振り返った俺は驚愕した。
へそ出しノースリーブにショートパンツ。
俺のどタイプ過ぎて驚愕してしまった。
「大丈夫……だ……よ……」
俺はヤンキー二人にボコボコにされた。
襲われると分かった時、咄嗟に右手がヤンキー2人に向いていたが、風ひとつ出すことは出来なかった。
手を向けられた瞬間、ヤンキー達は少しビビった様子を見せたが、魔法が使えないとわかった瞬間、再度走り出しボッコボコにされた。ボコボコじゃない。ボッコボコだ。
少し経つと周りにいた人達が通報してくれて事なきを得た。
……いや、事なきを得てはないな。
あーもう身体中痛い!! 顔も腫れまくって身体はアザだらけ!! ……でも、身体が勝手に動いてしまっていた。
「とりあえず……立てますか?」
「う、うん……」
俺はボロボロになりなが彼女の手を借り、フラフラと立ち上がった。
正直意識はほぼなかったが、彼女に手を引かれ人気のないところへと連れていかれていた。
「さっきは本当にありがとうございました」
礼を言う彼女。俺は返事をする力もなかった。
弱りきった手を震わせながらハンドサインをする。
その時だ。
彼女が両方の手のひらをこちらに向けている。
そして、なにか詠唱している。
……あれ? やばくね? オーバーキル狙われてね!?!?
「あ、ちょ……や、めで……」
「動いちゃダメ!!」
声が上手く出ず、焦る俺に怒鳴る彼女。2度目の人生。ここにて終幕……
「なん……で?」
俺の身体はみるみるうちに良くなり、パンッパンの顔もアザも綺麗に治っていた。
「もしかしてこれ……」
「しーーーっ! 誰かに見られたら捕まっちゃうでしょ!」
彼女は人差し指を立て、唇の前に持っていきそのまま、俺の顔に近ずいてこう言った。
「え、あ、その、うん。分かってるよ」
可愛い。マジで可愛い。本気で可愛い。
俺は心の声を漏らさないので必死だった。
これはもう間違いない。明らかに俺の元妻だ。
アイツに寝取られた妻だ。
「本当にさっきはありがとうございました。私の名前はケイト。あなたは?」
「え、あっ。俺はバッドだよ。こちらこそありがとう」
ケイト。そうだ。もう完全一致だ。
でも、早すぎる。展開が早すぎる。
本当ならケイトとの出会いは俺がゴスイ魔法学校を卒業した後だ。
これってもしかして……未来が変わってる?
俺が前の人生と違うことしてるから……ちゃんと未来が変わってる!?
未来が変わってるのだとすれば俺の最悪もちゃんと変えられるってことだ。
「そんな私ができることなんてこれしかないからさ……あ! 今日この後暇?」
「え、あ、うん。暇だけど……」
「じゃあ、助けてくれたお返しにご飯でも奢ってあげる! 行こっ!」
「ちょ! 危ない危ない!」
彼女は俺の手を取って走り出した。
そうだ。昔もそうだった。
俺がダンジョンで助けてあげた次の日。手を取って走り出してくれた。
彼女のこんなところが大好きだったんだ。
水を出す魔法を使えない俺は、走りながら涙一滴流してしまった。
☆☆☆
ここは近くの居酒屋。
「え!? バッド君もゴスイの魔法科受けるの!?」
「しーーっ! 声でかいよ!!」
ケイトは机から乗り出し、バンッと机を叩いた手をそーっと戻し席についた。
「でも本当なの?」
「うん。受ける予定ではあるよ。受かるかは分からないけど」
「バッド君なら絶対受かるよ! 私わかるもん」
「分かるって……なにがだ?」
「魔力量だよ! 今の私の倍くらいはあるんじゃないかな」
そうなのか。子どもでも人の魔力量って分かるんだな。
てっきり親とかすごい人とかの特権かと思ってた。
……まぁ俺は人の魔力量分からないんですけどね。
「そのネックレス……」
「あ、これ? これこの前お母さんに貰ったの。今は少し体調悪いんだけど、元気になったら色んなところ連れて行ってあげたいの!」
やっぱりそうだ。この白く綺麗に光るネックレスには見覚えがあった。
「このネックレス綺麗でしょ~! あ、もしかして欲しいから聞いてきたの? それは無理だな~」
それからたわいない会話を数時間続けた。
この時間は、今までの中でも指三本に入るくらいに楽しかった。
そして嬉しかった。またこうやってケイトと話せて。
でも、まだ俺の中の蟠りは解けていなかった。
俺は彼女に裏切られる。アイツに寝取られる。
アイツも悪い。でも、でも。ケイトだって……俺の事なんて……
「ねぇ! 次いつ空いてる!?」
キラキラした顔でこっちを見つめながら質問する彼女。
……ははは。何勘違いしてんだ。
全部俺が悪かったんだ。俺が彼女助けられなかったんだよアイツから。
今はそう思い込むしか無かった。
変えるんだ。未来を。今こうやってここに居れることは奇跡だ。
だから無駄にするな。絶対に無駄にするな。
俺は絶対に彼女を幸せにするんだ。
もうくじけない。前だけを向けバッド。
たとえどんな事があっても。もう負けちゃダメなんだ。
───あの時の俺みたいに絶対になるな。
「ねぇってば! 聞いてる!?」
「聞いてるよ! 俺は半年後のゴスイの入学試験以外毎日暇だよ」
「じゃあ、明後日……また……遊ばない……?」
急にモジモジし始めたケイト。
なんだよ可愛いじゃんかよ。やめてくれよ俺の中の俺が暴れだしちまいそうだ。
「……いいよ! 俺も遊びたい」
「……やった! じゃぁまた今日出会った場所に同じ時間!」
こうして俺は初めての友達が出来た。
☆☆☆
「なんだか今日は気分がいいな~」
ケイトと会った日の夜。俺は気分が高まっていた。
明後日何すんだろうなぁ。ショッピングかな。それとも美味しいものでも食べるのかな。
……やっぱり俺ケイトのこと好きなのかな。
これは一目惚れじゃない。完全に普通に前々から惚れていた。
離婚してから何もかも絶望していた忘れていたけど、やっぱり好きだ。
「……まぁ頑張ろ」
俺は疲れていたのか、気絶するように眠りについた。
☆☆☆
2日後。俺は待ち合わせ場所に来ている。
この前と同じ時間と言う待ち合わせだったが、かなり曖昧だ。
ってことで気持ち早めに(1時間前)に到着した。
まだかな、とウキウキしていると「バッド君!」と後ろから名前を呼ばれた。
「お待たせ! 待った?」
「いや、全然待ってな……」
振り返った俺は驚愕した。
へそ出しノースリーブにショートパンツ。
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