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第7話 塙花蓮は忘れたい
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私、塙花蓮は大好きだった幼馴染に告白して振られた。いつ好きになったかは覚えていない。でも、本当に大好きだった。そう、大好きだった。
もちろん過去形。私はもう吹っ切れたのよ! 私は去るもの追わずタイプなの。だから振られた今私はもう未練なんてないのよ。ただ……友達として仲良くしたいだけね。
そんなこんなで今日。今日の体育は体育祭の学年種目のムカデ競走の練習をするらしい。グループは当たり前のようにいつもなんだかんだ話す4人だ。もちろん、琉生と同じグループだ。
「ねぇ! 龍センスない! 転びすぎてかれれん怪我するよ!」
「あはは……私は大丈夫だけど……競技としてはキツイかなぁ」
「くそぉ……不覚……」
「ま、まぁ元気だしてよ……1回俺が前やって見る?」
「頼んだ琉生……」
こうして順番は琉生、私、香澄、龍、といった順番になった。私は琉生の肩に手を乗せて掛け声と共に呼吸を合わせて進んでいく。
「いっちに、いっちに、いっちに……」
ただ私たちは今、体育祭の競技の練習をしているだけだ。なのになんでだろう。動悸が止まらない。まだそんなに動いた訳でもないし、体力に自信がないわけじゃない。
そんな時、私の鼻の奥をスー、っと抜ける匂いがする。
……琉生の匂い。嗅ぎ慣れた幼馴染の匂い。そんな匂いはどこか心地よくて、もっと嗅いでいたい、そんな気持ちになる琉生の匂い。
……ばか! 何考えてんのよ私ったら……! あの日、あの振られた日に……決めたじゃない忘れるって。私は好きなんかじゃなかった、ただの友達だったんだって……
「うわっ!」
「ご、ごめん! タイミングズレちゃった」
今のは完全に私! ほんとにみんなごめん!
……あの日からなんか調子でないんだよなぁ。はぁ、私元気だして!
「はーい。それじゃそろそろ終わりの時間だ。縄はまとめて結んでこの舞台の上に置いてあるカゴに入れてくれー」
「はぁ……意外と疲れるねーこれ」
「そうだね……私次からちゃんと長い靴下持ってこよ~めっちゃ擦れちゃった」
「かれれんほんとだ! 言ってくれたらジャージ貸したのに!」
知らぬ間に私の足首は結んでいた縄に攻撃されていたらしい。あんまり痛みは感じないけど、触るとちょっと気になる。
「あ、琉生。先縄解いちゃっていいよ」
「あ、お、おう。すまんありがと」
最近は琉生の頭に気まづいっていう言葉が良く見えてうざい。本当にもうそんな付き合いたいとか好きとかそーゆー気持ちないんだからねーだ!!
「なにみてるのよ……」
「あ、ごめん見てるとかそう言うつもりは……」
でも、まぁ私の事……嫌いになってない……かな。
「なんかうまく解けない……」
「解いてやろうか?」
「いい!」
はぁ……! やっぱなんかムカつく! ウザイ!
「あぁー! もう無理やり足引っこ抜いてやる!」
私は縄を解くのを諦め、立ち上がった瞬間だった。後ろにいた香澄と龍はなんか話していてまだ縄を解いていない。
「……ちょ! 危ないっ!」
「きゃっ……!」
無理やり縄から足を引き抜こうとした時、私は片足が上手く抜けずバランスを崩した。その状態で自分の足に自分の足が引っかかり、今にも倒れそうな状況であった。
やっばい……コケる……!
その瞬間、目の前にいた琉生が間一髪、左手で私のことを支えた。助かった……って……!?
私を支えるその左手の居場所は完全に私の無い胸に完全にフィットしていた。
「どこ触ってるのよ……!」
「いやどこって……転びそうになったのそっちだろ!」
「う、うるさいわね! 変にガッカリした顔しないでくれる?」
「わー! かれれんごめん! 大丈夫だった!?」
「……だ、大丈夫。先二人外しちゃって。ちょっときつく結びすぎちゃったみたいで」
何よこれ……! すっごいムカつくしすっごいウザイのに……なんでさっきっから心臓の音がこんなにうるさいのよ! ……てかなんで私香澄の縄解いてるの!?
「あ、ありがとうかれれん」
「よーし! 俺も外したぞ!」
その時、舞台の方から先生たちの声が聞こえた。
「各クラスの体育祭実行委員ー! ちょっと伝えたいことあるから集まってくれー!」
「流石に龍も来なさいよー!」
「分かってる分かってる。じゃ、ちょっと行ってくるわ」
「うん。頑張って」
「……」
私と琉生、2人きりになる。
「……解けないか?」
「解けるわよ……」
「……」
「……解いて……」
「はいはい。任せてください」
しゃがみこむ琉生を見て、私は自然と顔を隠してしまう。なんでだろう。私はもう琉生に……あぁ! なんかもう……私が私じゃないみたい……てか……!
「おっそい!」
「あ、ほ、解けた! やったぁ!」
「おーい、2人遅いぞ何してる」
「「すいません!」」
私と琉生は縄を持って走り出す。なんだかモヤモヤし続ける体育の授業は終わった。
──────
琉生に私の無い私を揉まれた日の夜。お風呂にも入り、スキンケアも済ませ、パジャマ姿の私はベッドに寝っ転がっていた。
「琉生って……大きい方が好きなのかな……」
無意識にブラをつけていない自分の胸を揉んでみる。かぁ……私って本当に胸ないよねぇ……一人っ子なのに養分吸われすぎだっつぅーの……
私は中学三年生の時に計って以来、バストというものは成長していない。ん? 大きさ? ……C寄りのBよ!!!
胸に手を置きながら琉生のことを考える。左胸を抑える左手にドクドク、と心臓の鼓動が早くなる音を感じる。
……あー! 何考えてるんだろ。もう寝よ……琉生のこと考えてると変な気分になる……
私は部屋の電気を消し、アラームをセットして夢の中へと入っていった。
もちろん過去形。私はもう吹っ切れたのよ! 私は去るもの追わずタイプなの。だから振られた今私はもう未練なんてないのよ。ただ……友達として仲良くしたいだけね。
そんなこんなで今日。今日の体育は体育祭の学年種目のムカデ競走の練習をするらしい。グループは当たり前のようにいつもなんだかんだ話す4人だ。もちろん、琉生と同じグループだ。
「ねぇ! 龍センスない! 転びすぎてかれれん怪我するよ!」
「あはは……私は大丈夫だけど……競技としてはキツイかなぁ」
「くそぉ……不覚……」
「ま、まぁ元気だしてよ……1回俺が前やって見る?」
「頼んだ琉生……」
こうして順番は琉生、私、香澄、龍、といった順番になった。私は琉生の肩に手を乗せて掛け声と共に呼吸を合わせて進んでいく。
「いっちに、いっちに、いっちに……」
ただ私たちは今、体育祭の競技の練習をしているだけだ。なのになんでだろう。動悸が止まらない。まだそんなに動いた訳でもないし、体力に自信がないわけじゃない。
そんな時、私の鼻の奥をスー、っと抜ける匂いがする。
……琉生の匂い。嗅ぎ慣れた幼馴染の匂い。そんな匂いはどこか心地よくて、もっと嗅いでいたい、そんな気持ちになる琉生の匂い。
……ばか! 何考えてんのよ私ったら……! あの日、あの振られた日に……決めたじゃない忘れるって。私は好きなんかじゃなかった、ただの友達だったんだって……
「うわっ!」
「ご、ごめん! タイミングズレちゃった」
今のは完全に私! ほんとにみんなごめん!
……あの日からなんか調子でないんだよなぁ。はぁ、私元気だして!
「はーい。それじゃそろそろ終わりの時間だ。縄はまとめて結んでこの舞台の上に置いてあるカゴに入れてくれー」
「はぁ……意外と疲れるねーこれ」
「そうだね……私次からちゃんと長い靴下持ってこよ~めっちゃ擦れちゃった」
「かれれんほんとだ! 言ってくれたらジャージ貸したのに!」
知らぬ間に私の足首は結んでいた縄に攻撃されていたらしい。あんまり痛みは感じないけど、触るとちょっと気になる。
「あ、琉生。先縄解いちゃっていいよ」
「あ、お、おう。すまんありがと」
最近は琉生の頭に気まづいっていう言葉が良く見えてうざい。本当にもうそんな付き合いたいとか好きとかそーゆー気持ちないんだからねーだ!!
「なにみてるのよ……」
「あ、ごめん見てるとかそう言うつもりは……」
でも、まぁ私の事……嫌いになってない……かな。
「なんかうまく解けない……」
「解いてやろうか?」
「いい!」
はぁ……! やっぱなんかムカつく! ウザイ!
「あぁー! もう無理やり足引っこ抜いてやる!」
私は縄を解くのを諦め、立ち上がった瞬間だった。後ろにいた香澄と龍はなんか話していてまだ縄を解いていない。
「……ちょ! 危ないっ!」
「きゃっ……!」
無理やり縄から足を引き抜こうとした時、私は片足が上手く抜けずバランスを崩した。その状態で自分の足に自分の足が引っかかり、今にも倒れそうな状況であった。
やっばい……コケる……!
その瞬間、目の前にいた琉生が間一髪、左手で私のことを支えた。助かった……って……!?
私を支えるその左手の居場所は完全に私の無い胸に完全にフィットしていた。
「どこ触ってるのよ……!」
「いやどこって……転びそうになったのそっちだろ!」
「う、うるさいわね! 変にガッカリした顔しないでくれる?」
「わー! かれれんごめん! 大丈夫だった!?」
「……だ、大丈夫。先二人外しちゃって。ちょっときつく結びすぎちゃったみたいで」
何よこれ……! すっごいムカつくしすっごいウザイのに……なんでさっきっから心臓の音がこんなにうるさいのよ! ……てかなんで私香澄の縄解いてるの!?
「あ、ありがとうかれれん」
「よーし! 俺も外したぞ!」
その時、舞台の方から先生たちの声が聞こえた。
「各クラスの体育祭実行委員ー! ちょっと伝えたいことあるから集まってくれー!」
「流石に龍も来なさいよー!」
「分かってる分かってる。じゃ、ちょっと行ってくるわ」
「うん。頑張って」
「……」
私と琉生、2人きりになる。
「……解けないか?」
「解けるわよ……」
「……」
「……解いて……」
「はいはい。任せてください」
しゃがみこむ琉生を見て、私は自然と顔を隠してしまう。なんでだろう。私はもう琉生に……あぁ! なんかもう……私が私じゃないみたい……てか……!
「おっそい!」
「あ、ほ、解けた! やったぁ!」
「おーい、2人遅いぞ何してる」
「「すいません!」」
私と琉生は縄を持って走り出す。なんだかモヤモヤし続ける体育の授業は終わった。
──────
琉生に私の無い私を揉まれた日の夜。お風呂にも入り、スキンケアも済ませ、パジャマ姿の私はベッドに寝っ転がっていた。
「琉生って……大きい方が好きなのかな……」
無意識にブラをつけていない自分の胸を揉んでみる。かぁ……私って本当に胸ないよねぇ……一人っ子なのに養分吸われすぎだっつぅーの……
私は中学三年生の時に計って以来、バストというものは成長していない。ん? 大きさ? ……C寄りのBよ!!!
胸に手を置きながら琉生のことを考える。左胸を抑える左手にドクドク、と心臓の鼓動が早くなる音を感じる。
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