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第3章『初クエストと旅立ち』
第十六話『旅立ち』
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次の日の朝。
朝霧が町を包み、まだ空気には冷たさが残っていた。
俺――ハルトは、小さな荷物を背負い、三人の前に立っていた。
「もう行くのか?」
最初に口を開いたのはダリオだった。
その声は、いつもより少しだけ低く聞こえる。
「ああ。今まで、いろいろありがとう」
「またいつでも帰って来なさいよ」
エリナが微笑む。
その優しさに、胸の奥が少しだけ痛んだ。
「うん。そうする」
そう答えながらも、ハルトは分かっていた。
――もう、簡単にはここには戻れない。
アレンが腕を組み、少しだけ口角を上げる。
「これからどうするんだ?」
「魔法を勉強しようと思う」
その瞬間、三人の表情が一瞬固まり――
次の瞬間、吹き出した。
「ははっ、マジかよ!」
ダリオが腹を抱えて笑う。
「魔法が全く使えないハルトが魔法を? そりゃ面白ぇ!」
エリナも口元を押さえながら笑った。
「でも、いいんじゃない? ハルトらしいわ」
アレンが笑いながら肩を叩く。
「ハルト。お前なら、“魔法の使えない魔法使い”にだってなれそうだ」
「はは……それ、褒めてる?」
ハルトもつられて笑う。
少しだけ寂しさが、笑い声の中に溶けていった。
「俺は冒険者だよ」
ハルトがそう言うと、アレンが軽く顎をしゃくった。
「宛はあるのか?」
「いや、ない。……とりあえず近くの村まで行こうとは思ってる」
アレンが少し笑って、北の方角を指さした。
「それなら――その村を北に山一つ越えたところに、マギステリアってでかい城が建ってる国がある。ここよりずっと大きい。『魔法の国』って呼ばれててな。魔法学校や魔法図書館、それに“魔法王”なんてのもいるらしい。」
「魔法の……国?」
ハルトはその言葉に目を見開いた。
「ああ。魔法を学ぶには、あそこ以上の場所はねえ。行ってみるといい。」
「ありがとう。早速、行ってみるよ。」
ハルトは微笑みながら礼を言う。その顔はどこか晴れやかで、迷いがなかった。
「達者でな。」
ダリオが腕を組み、いつものようにぶっきらぼうに言う。
「ああ。」
ハルトは短く答え、背を向ける。
そうして、彼は北の国――マギステリアを目指して旅立った。
冷たい風が吹き抜け、彼のマントを揺らす。
小さな背中が、やがて地平線の彼方へと消えていった。
──そして、その直後。
「……ハルト。」
エリナがぽつりと名前をつぶやいた。
「おいおい、エリナ。なんだよその顔、赤くなってんぞ。さてはハルトのこと、す──」
「……っ!」
ゴリッ。
「痛っっっ!! 足っ、俺の足っ!! 踏むなっての!!」
ダリオが飛び上がるようにして叫ぶ。
エリナはぷいっと顔をそむけた。
「少なくとも、あんたみたいなデリカシーのない男より、ハルトの方がよっぽどいい男よ!」
「な、なんだとぉ!? アレン、何とか言ってくれよ!」
アレンは二人のやり取りを黙って見ていたが、ふっと息を吐いて踵を返す。
「……さ、帰るぞ。」
「おい、アレン! 無視すんなって!」
その声が遠ざかる。
残された足跡だけが、いつまでも風に消えずに残っていた。
──そして物語は、次の舞台へと進んでいく。
朝霧が町を包み、まだ空気には冷たさが残っていた。
俺――ハルトは、小さな荷物を背負い、三人の前に立っていた。
「もう行くのか?」
最初に口を開いたのはダリオだった。
その声は、いつもより少しだけ低く聞こえる。
「ああ。今まで、いろいろありがとう」
「またいつでも帰って来なさいよ」
エリナが微笑む。
その優しさに、胸の奥が少しだけ痛んだ。
「うん。そうする」
そう答えながらも、ハルトは分かっていた。
――もう、簡単にはここには戻れない。
アレンが腕を組み、少しだけ口角を上げる。
「これからどうするんだ?」
「魔法を勉強しようと思う」
その瞬間、三人の表情が一瞬固まり――
次の瞬間、吹き出した。
「ははっ、マジかよ!」
ダリオが腹を抱えて笑う。
「魔法が全く使えないハルトが魔法を? そりゃ面白ぇ!」
エリナも口元を押さえながら笑った。
「でも、いいんじゃない? ハルトらしいわ」
アレンが笑いながら肩を叩く。
「ハルト。お前なら、“魔法の使えない魔法使い”にだってなれそうだ」
「はは……それ、褒めてる?」
ハルトもつられて笑う。
少しだけ寂しさが、笑い声の中に溶けていった。
「俺は冒険者だよ」
ハルトがそう言うと、アレンが軽く顎をしゃくった。
「宛はあるのか?」
「いや、ない。……とりあえず近くの村まで行こうとは思ってる」
アレンが少し笑って、北の方角を指さした。
「それなら――その村を北に山一つ越えたところに、マギステリアってでかい城が建ってる国がある。ここよりずっと大きい。『魔法の国』って呼ばれててな。魔法学校や魔法図書館、それに“魔法王”なんてのもいるらしい。」
「魔法の……国?」
ハルトはその言葉に目を見開いた。
「ああ。魔法を学ぶには、あそこ以上の場所はねえ。行ってみるといい。」
「ありがとう。早速、行ってみるよ。」
ハルトは微笑みながら礼を言う。その顔はどこか晴れやかで、迷いがなかった。
「達者でな。」
ダリオが腕を組み、いつものようにぶっきらぼうに言う。
「ああ。」
ハルトは短く答え、背を向ける。
そうして、彼は北の国――マギステリアを目指して旅立った。
冷たい風が吹き抜け、彼のマントを揺らす。
小さな背中が、やがて地平線の彼方へと消えていった。
──そして、その直後。
「……ハルト。」
エリナがぽつりと名前をつぶやいた。
「おいおい、エリナ。なんだよその顔、赤くなってんぞ。さてはハルトのこと、す──」
「……っ!」
ゴリッ。
「痛っっっ!! 足っ、俺の足っ!! 踏むなっての!!」
ダリオが飛び上がるようにして叫ぶ。
エリナはぷいっと顔をそむけた。
「少なくとも、あんたみたいなデリカシーのない男より、ハルトの方がよっぽどいい男よ!」
「な、なんだとぉ!? アレン、何とか言ってくれよ!」
アレンは二人のやり取りを黙って見ていたが、ふっと息を吐いて踵を返す。
「……さ、帰るぞ。」
「おい、アレン! 無視すんなって!」
その声が遠ざかる。
残された足跡だけが、いつまでも風に消えずに残っていた。
──そして物語は、次の舞台へと進んでいく。
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