完璧地球人は魔法無しで異世界を救う

前方に瓜

文字の大きさ
21 / 60
第5章『魔法都市マギステリア』

第二十一話『洗脳』

しおりを挟む
北の山を越え、ハルトは魔法都市マギステリアへ到着する。
入城には魔力が必要だったが、彼は巧みに忍び込むことに成功する。
しかし街では、魔力を持たぬ者が徹底的に差別されており――
ハルトも差別されるのであった。

「……かくなる上は、強行手段だな。」

差別と冷遇にうんざりしたハルトは、通りを歩く一人の男を見つけ、声をかけた。
「なあ、ちょっと聞きたいことが――」

「ひっ! 話しかけるな! 底辺のくせに!」
男は怯え、露骨に距離を取る。

ハルトはため息をつき、手を合わせた。
「はい、眠って!」

パチン。
男の顔前で軽く手を叩くと、男はその場でストンと眠りに落ちた。

ハルトは周囲を確認し、男を近くのベンチに座らせる。
「さてと……悪いけど、ちょっとだけ協力してもらうよ。」

静かに指を男の額にあて、淡々と呟く。
「お前はもう魔力が気にならない。
そして、俺のことを『昔からの親友』だと思い出す。」

そして男の肩を揺らし起こす。
「……ん、んん?」
目を覚ました男は、ハルトを見た瞬間、満面の笑みを浮かべた。
「おおっ、久しぶりじゃないか! 元気だったか、相棒!」

「お、おう……久しぶり。」
(よし、催眠成功だな。)

二人は肩を組みながら街を歩き出した。
雑談を交えつつ、ハルトはさりげなく話を引き出していく。

マギステリアの政治は全て魔法省が担い、頂点には魔法王が立つ。
王は代々、魔力と知識の両面で最も優れた者が選ばれるという。

そしてこの都市では、魔力を持たぬ者は存在そのものが異端だった。
奴隷ですら、初歩の魔法を使えるほどだという。
魔力がない者は、“人間として扱われない”。

ハルトは心の中で苦笑した。
(そんな都市でよくここまで発展できたもんだな。)


「なあ、宿を探してるんだ。いいとこ知らないか?」
「ああ、任せろ相棒!」
男は快く案内し、宿を紹介してくれた。
宿主には「この友人は少し魔力が弱いんだ」とフォローまで入れてくれる。
(ありがとな。……悪いが、もう一度眠ってもらう。)

再び指を鳴らし、催眠を解除。男は夢でも見ていたかのように去っていった。


それからのハルトは魔法図書館に通い詰めた。
開館から閉館までの八時間、ひたすらに本を読み続ける。
一日で五十冊以上。
完全記憶能力と速読のスキルがあればそれも容易い。

宿に戻れば、目を閉じてその内容を整理・分析。
まるで魔法理論そのものを脳内で再構築するように。

そんな生活が一ヶ月続いた。
生活費は、村で得た報酬金でまかなっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。 この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。 これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

酔っぱらったせいで、勇者パーティーを洗脳してしまった

透けてるブランディシュカ
ファンタジー
悪友のせいで酔ったら。(※重複投稿しています)仲仁へび

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

処理中です...