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戒め1
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しおりを挟む葉人は授業にも出ず、中庭のベンチに体を横たえてまぶしい空を見上げる。
青い空に、小さな雲が一つだけ頼りなげに漂っていた。
寝返りを打とうとすると、押さえつけられた体とかき回されたナカがギシギシと痛んで小さく呻き声が漏れる。
「…っぅ…」
涙で滲んだ目で空を見ると、空に落ちてしまいそうな錯覚に目眩を覚えた。
静かな中、頭を空っぽにしてこうしていたら、なんとなく体まで空っぽになって、綺麗になれるような気がした。
……ぴぴ…ぴ…
聞いたことのない音楽だった。けれどそれは自分の携帯から流れてきている。
「…」
体を起こし、携帯を見ようか迷っているうちに呼び出し音は止まってしまった。
とりあえず確認だけ…と鞄から取り出してみると、見たことのない名前がディスプレイに載っている。
「……フェネクス?」
そんなもの入れた記憶はなく、確認してみるとメールのマークが表示されていた。
戸惑いながらもメールのボタンを押し、表示される内容を確認した瞬間、葉人の手の間から携帯が滑り落ちる。
メタリックホワイトの携帯がコンクリの上をかしゃんと転がっていく。
光を反射して鈍く光る携帯の画面には、目隠しされ、縛られながら犯されている葉人の写真が写っていた。
「……っ!!」
自分の携帯を拾う事もできず、汗ばむ陽気であるのに冷えて震える体を抱き締めた。
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