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罰1
3
しおりを挟む「いいかな?」
眼鏡の奥の目が、夕日を映して眩しそうに細められる。
校門に手をついてる自分が邪魔しているのだと気付き、慌てて飛び退く。
「あ、ちょっと。えっと…小田切だったかな?」
「…はい」
「引っ張るの手伝ってくれるか?」
この学校の校門は、学校の歴史をそのまま表したような古さだったため、開閉には力が必要だった。
かなり細身の光彦には重労働なのは容易にわかる。
「じゃあ、せーのっ」
校門に手をかけて力一杯引っ張るが、ひょろひょろしたのが二人いても、たいして戦力にはならなかった。
「重いですね…」
「参ったな。他の先生呼んでくるから、小田切はもういいよ」
「すみません…」
頭を下げて帰ろうとした時、目の前に誰かが立ちふさがり、危うくぶつかるところだった。
「あっ…すみません」
雰囲気から上級生だと言う事はわかったが、雑に着崩した制服や堂々と付けられたピアスを見ると、葉人とは別世界の人のように思える。
「志方(しかた)、手伝ってくれないか?」
「ああ?」
葉人を押し退け、不機嫌そうに校門を見る。
「鬱陶しいなぁ…」
光彦を睨み付けながらも校門に手を伸ばす。
「おい。そこの!お前も引っ張れ」
いきなり言われてびくっとなったが、鋭く睨みつけられて言う通りに校門を引っ張る。
先程はビクともしなかった校門が錆を落としながら動き出し、腹に響く耳障りな音を立てて閉じた。
「うっわ。サビ、ついたし」
「悪かったな」
手についた錆をはたき落とし、光彦は裏門の方を指差す。
「門しまったからあっちから帰れよ」
「えっ」
「はぁ!?」
手伝わされた挙げ句に遠回りさせられる羽目になり、志方司郎はイライラとした様子で門を蹴りつけた。
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