59 / 349
罰2
7
しおりを挟む「おい!何してるんだっ!」
「ちっ」
司郎は小さく毒づくと、葉人を床へと放り出す。
「しかたねぇな」
「じゃあな、肉便器!」
その言葉に三人が笑う。
「おいっ!!」
扉が一気に開け放たれ、外の明かりが入り込んでくる。
それと同時に、三人は扉を開けた人物を突き飛ばして飛び出していった。
一瞬の喧騒の後の静けさが辺りに立ち込める。
「…いったた……」
突き飛ばされて尻餅をついた光彦は、ずれた銀の眼鏡を直しながら倉庫の中を覗く。
「な…なんだ?煙草か……おい、な…に…やって………」
倉庫の床に倒れ込む葉人を見て、光彦は声を失った。
「…う……っ…」
「お前……小田切か?」
倉庫に満ちる生臭い臭いと、白い太ももの間から血を流している姿を見て状況を悟った光彦は、ジャケットを脱いで葉人へと差し出す。
「あ……とりあえず、病院に行こう」
放心したかのような葉人が、ゆっくりと首を振る。
この明らかにレイプに遭った状況で、被害者の少年にどう言う言葉をかけていいかわからずに、光彦は眉を寄せた。
「…警察に…行くか?」
「…い…や……」
光彦を見て、ゆっくりと葉人の瞳に光が戻る。
「病院にも…警察にも行かない……」
「じゃあ…親御さんに来てもらうか?」
二つとも拒否されて困り果ててそう言うと、葉人の亜麻色の瞳に涙が盛り上がる。
「……やだ…」
ポタポタと涙を流しながら何度も首を振る。
「ダメ…お願い……親には…っ」
はっきりとそう言い、葉人はしゃくりを上げた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
157
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる