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嘘1
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しおりを挟む「つ…辻さん!?」
「威にメールしてるの?」
綺麗に整えられたショートボブの黒髪の間から、きつい目がこちらを睨んだ。
「あ…っ」
「待たせて、ごめんね?」
ぱっと手を離してこちらに笑いかける亜矢子は、いつも通りの笑顔をこちらに向けた。
「…う…うぅん……平気」
「そう、よかった!」
えへへ…と笑うと、亜矢子は傍らの花壇に腰かけた。
葉人もそれに倣い、少し離れて腰を下ろす。
「威から…聞いてる?私たちのこと」
「ぁ…うん」
亜矢子を真っ直ぐ見ることができず、手の中の携帯を見つめる。
「…いきなり……別れたいって言われて、私…何かしたかな?」
うんとも違うとも言えず、俯いて言葉の続きを待つ。
「威から理由とか、聞いてない?」
じっとこちらを見つめる視線が居心地悪くて、手の中の携帯を意味もなく弄る。
「…いや…オレは、何も…」
顔を上げることができないまま、自分が原因だとも言うことができずに首を振る。
「威がね、前に言ってたの。葉人くんは嘘をつくときは下を向くってっ!」
そう言うと、亜矢子の手が葉人の手首を握った。
「…つ、じさ……っ?」
「細いわね、私と変わらないじゃない」
長く手入れのされた爪が、葉人の皮膚に食い込む。
「あなた、でしょ?」
暗い火を燃やした瞳が、こちらを睨み付け、もう一度尋ねてくる。
「あなたが、威を、とったんでしょ?」
知らぬ間に、体がかたかたと震え始めていた。亜矢子はこちらを睨み付ける目を弛めないまま、忌々しそうに喋り出した。
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