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後輩
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しおりを挟むポケットの中の携帯が震えた。
『昼、一緒に食べよう。準備室にいるから』
そのメールを映す画面を見つめると、溜め息を吐いて携帯を閉じる。
「先生が…」
司郎との事を知ったら、どうなるのだろう?
「普通…許さないよな…」
艶やかな黒い携帯の表面をなぞり、ゆっくりと目を閉じる。
「…っ」
すがり付いた腕を思い出すと、自然と眉間に皺が寄った。
傍に光彦がいなくなったとき、自分一人で立てるだろうか?
辛抱強く、背中を撫でてくれる手がなくなったとき、その手を知らなかった頃に戻れるのか?
自問自答して、首を振る。
すがり付き、支えてくれることを知った身には、それがなくなると言うことは考えられなかった。
世のすべてが恐ろしく思えたあの世界を思い出す。 一人で立つと言う、心細さの世界に、逆戻りする勇気はない。
だからと言って…司郎に迫られて断りきれる自信もない。
今日のようになぶられれば、この体があっさりと陥落してしまう。
理性も溶けて、悦楽に腰を振る…
かちん…と携帯を開け、返信を打つ。
『了解です』
司郎は飽きたら関わらないと言った。
自分のような人間を恋人と言い、支えてくれる人を裏切っていると言う罪悪感を、葉人は心の奥にしまい込んだ。
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