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アミューズメントパーク
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しおりを挟む5限から6限にかけての休み時間に教室に戻ると、千明と威が入り口付近で立ち話をしていた。
「あ、葉人!チケットまだ渡してないんだろ?」
「ごめん…ちょっと用事ができて」
威の顔を見る勇気が出ず、千明を見ながら近寄って行く。
「これなんだけど…」
ポケットからチケットを取り出すと、2枚まとめて威に手渡した。
「…食堂で一緒だった後輩くんと行って」
「……」
「ちょっ俺は三人で行きたくて…」
ごめん…と言い置いて席に行こうとすると、よく知っている手が手首を掴んだ。
「葉。一緒に行こう」
掴まれた腕を振りほどこうとしたが、真っ直ぐにこちらを見る目がそれを許さなかった。
「俺は、葉と行きたい」
「里中くんに悪いから」
そう言うと、微かに威の目が見開かれる。
押し隠そうとした感情の中に、戸惑いを見つけてしまい、葉人は苦笑した。
「な?」
「…いや…一緒に行こう」
すっと、威の唇が耳元に寄せられる。
「…親友としても、終わらせないでくれ」
絞り出すような声が胸を締め上げた。
苦しい胸を押さえながら、葉人はゆっくりと身を引いて威を見上げる。
「………わかったから、手…離せよ」
「あ…ああ、すまん」
残された手の温もりを感じながら、葉人は席へと着いた。
親友…
自身がまだその位置にいることができるのか、葉人は答えを出せなかった。
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