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空白
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しおりを挟む傍に誰も寄り添っていない寂しさから、司郎のメールを待ちわびていた自分の馬鹿さ加減にまたくすくすと笑い出す。
「なんであいつからのメールに、返事なんかしなきゃならないんだ!」
そう言って消去ボタンを押す。
受信ボックスの中の、司郎からのメールを消していると、一番最初に司郎から送られて来た添付ファイル付のメールに行き着いた。
確認の為に送られて来たそのファイルの中身を思い出す。
「……」
すぅ…と指先が冷え、がたがたと手が震え始めた。
今日の暴行の記憶が蘇えり、肺の中から空気が出て行かないような錯覚に陥り、口が酸素を求めてぱくぱくと動く。
「…ひ…ぅ……」
押さえつけられた恐怖が圧し掛かる。
怒鳴り声と、体を裂く痛みがフラッシュバックして葉人を責め立てた。
被せられたビニールの暑苦しさや打ち付けた胸の痛みが拍車をかける。
「…っ……っ」
混乱する頭で、葉人は咄嗟に鼻と口に手を当ててきつくきつく目を瞑った。
ガンガンと頭蓋骨を内側から殴られるかのような衝撃に、何も出来ずにただじっと身を丸めることしか出来なかった。
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