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キスマーク
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しおりを挟む威の唇が、もう一度葉人の唇に重なる。
「…葉、俺だけを見てくれ。他に目をやらないでくれ。…昨日みたいに、俺がいるのに他の男を呼ぶなっ」
「た…たけ…っ」
深く口付けられ、名前を呼ぶこともできないまま、葉人は目を閉じて小さくうなずいた。
目の前にどんっと置かれた唐揚げの山盛りに手を伸ばす。
「たけちゃんの食べっぷり見てると男の子だって思うわね~」
味噌汁を入れながら満足そうにそう言うと、母親はふぅと肩を落とした。
「食が細いと作り甲斐がなくて…」
「しかたないだろ…食べれないんだから」
母親に不貞腐れたように言い、がつがつと年相応の食欲を見せる威を見やる。
「相変わらずおばさんのメシ美味いです!」
「ありがとう。二人とも仲直りしたみたいね。早く帰って来れる日でよかったわ!いっぱい作ったからたくさん食べてね」
ふふ…と笑う母親に、二人は苦笑を返した。
「…せっかくいい雰囲気だったのにな……」
ぼそっと呟く威の足を、テーブルの下で蹴り上げる。
「ぃてっ」
「たけちゃん、どうかした?」
「あ、いえ。おかわり下さい」
差し出した茶碗を持って母が台所へと消えるのを待ち、葉人は威を睨み付けた。
「もう!」
「しかたないじゃないか…あのタイミングで帰ってくるなんて…なしだろ!?」
威が触れた箇所を思い出して葉人がぽっと顔を赤くする。
ほんのりと朱を宿し、欲情を誘う葉人の顔を悔しそうに見て、唐揚げに箸を突き刺す。
「くそぅ…自棄食いしてやる…」
そうごちる威に、葉人は小さな笑いを向けた。
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