202 / 349
豹変
5
しおりを挟むいつもたむろっている友人達と街をぶらついていた時に見かけた光彦の事を…
「…イカガワシイっちゃ、その辺りは皆そうなんだけどさ…あいつが入っていったのは…」
まぁ…と司郎は言葉を濁す。
「こう言う趣味なのが分かるとこに入っていったのさ」
葉人の体の、紐が擦れてついた痣を指先で撫でながら呆れたように呟いた。
その指先を避けるように身を捩る。
「オレ…っ…」
パタパタ…と涙が落ちる。
「せん…せ…」
「…………助け出さない方が良かったか?」
問われ、葉人は小さく緩く…けれどきちんと首を振った。
「こわ…か…った……」
泣き出した葉人へと、司郎が手を伸ばす。
「…シタゴコロは、一応ないからな」
温かな手が肩に置かれ、葉人はその温もりに身をすくめる。
小さく縮こまろうとする葉人を引き寄せ、司郎はその傷だらけの体を抱き締めた。
「……俺が言うなって思うかもしれねぇけどさ」
優しく頭を撫でられ、自分を抱き締める温もりに頭を預けた葉人は、司郎の背中に手を回してぎゅっとしがみついた。
「怖かったな…もう、大丈夫だから…」
「……ぅん」
「もう、平気だ」
息がつまりそうな程の抱擁が、じんわりと葉人の胸に落ちる。
「うん…」
「もう…怖い思いなんかさせないから」
「うん」
頷いた葉人の頬に手が添えられる。
0
あなたにおすすめの小説
ドSと崇拝
夏緒
BL
先輩の家で宅飲みしてて、盛り上がって大騒ぎしてみんなで雑魚寝したんです。そしたら先輩が当たり前のようにおれに乗っかってくる。両隣には先輩のダチが転がってる。しかもこの先輩、酔ってるうえに元がドSだもんだから……。
前編、中編、後編です♡
同じ顔をした僕達は、秘密の夜を共に過ごす
すいかちゃん
BL
一卵性双生児の斉藤和広と明広。大学生になったばかりの2人には、誰にも言えない秘密があった。
それは、恋人同士だという事。
臆病で内気な和広と、強気で大胆な明広。そんな2人の関係を、教授の上野が気がついてしまい…。
野球部のマネージャーの僕
守 秀斗
BL
僕は高校の野球部のマネージャーをしている。そして、お目当ては島谷先輩。でも、告白しようか迷っていたところ、ある日、他の部員の石川先輩に押し倒されてしまったんだけど……。
BL団地妻on vacation
夕凪
BL
BL団地妻第二弾。
団地妻の芦屋夫夫が団地を飛び出し、南の島でチョメチョメしてるお話です。
頭を空っぽにして薄目で読むぐらいがちょうどいいお話だと思います。
なんでも許せる人向けです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる