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二人
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しおりを挟む煙を吐き出す振りをして、小さな苦笑を零すのが見えた。
「ま……そうだよな」
「先輩っあの…っ」
「今は何も言うな。お前の事だ、なんか悪い気がするからって違うとか言うんだろ」
「オレ、そんな無責任じゃないですよっ」
むっとして言い返せば、じっとりと睨んでくる司郎の視線とぶつかる。
「自覚ねぇし…」
「違うんだから、自覚のしようがないですよっ!!」
「わかったわかった。もう寝てろ」
ぐい…と頭を枕に押さえつけられ、葉人は小さくもう!と声を上げてそっぽを向く。
「お前がショックな内は……まぁ、いっか…」
司郎の手がとんとんとリズムよく葉人の体を叩き始める。
「先輩って…お兄ちゃんなんですか?」
「は?」
手を動かしていた司郎が首を傾げた。
「夜の事も…なんか……弟がいるのかなって」
「…あぁ……俺は一人っ子だよ。千秋とかの面倒みてたからなぁそれじゃないか?」
ふと司郎の顔が優しくなるのを不思議な気分で見ながら、葉人は司郎の事をもっと知りたいと思って質問を重ねた。
「千秋とは…幼馴染ですか?」
「幼馴染って言うか…近所の悪がきグループだな」
「え?悪がき?」
ふっと笑いが零れる。
「そう、俺がソッセンして千秋や鷹雄を連れまわしてな…」
三人でした悪戯や遊びなどを懐かしげに語って行く。
司郎のそんな話を聞きながら、葉人は効いてきた痛み止めの眠気の為に目を閉じた。
「あのころの悪戯は…無邪気でよかったな」
そんな司郎の独り言を聞きながら…
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