放課後教室

Kokonuca.

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二人

6

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 手の中で突然鳴った携帯電話の通話ボタンを条件反射で押してしまう。 

 僅かな逡巡を置いて耳に当てた電話からは威の『どこにいるんだ』と言う低い声が漏れた。 

「…安全なとこ……」 
『それじゃわかんないだろ?!』 
「……ごめん」 
『訳わかんねぇ!なんで謝る必要があるんだ!?』 

 その怒りを滲ませた声に、司郎の家にいると言いそうになったが、ぐっと飲み込み、強く携帯電話を握り直した。 

「…威。ごめんね、もういいよ」 
『何が?迎えに行くから、場所を…』 
「もう、オレの面倒なんて見なくていいから」 

 葉人がそう言うと、『は?』と低く聞き返してくる。  

「オレ、もう威に憐れまれたりするの嫌なんだ…だから…もう、無理しないで」 

 携帯電話の向こうで、どんっと何かを蹴りつける音がし、続いて何かが転がる音がした。 

『無理って、なんだ!?憐れむってなんだよっ!!自己完結して勝手に飛び出すなっ!!勝手な事考えて押し付けるなっ!!』 
「っ!」 
『ふざけるなよ、葉!なんでお前を憐れまなくちゃいけないんだ!?なんでお前の傍に居たいって思うのが無理なんだっ』 

 間を置き、「……俺は…」そう声が弱々しく漏れる。 

『葉の事が好きだって…言ってるだろ…』 

 その言葉に心が弾んだ時はほんの少し前の事だったはずなのに、喜ぶ事の出来ない自分がいる事に葉人は気付いて拳を作った。 

「…だから、もういいよ」 
『葉?』 
「無理しないで、もういいよ」 
『だからっ―――』 
「じゃあどうしてっ」 

 威の声を聞かずに声を荒げる。 

「――――どうして、威は他の奴を抱くの?」 







 ぷつん…と、何かを言いかけていた威の声が止まった。 

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