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個室
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しおりを挟む「えぇっと…さ、…」
「里中ですよ。先輩」
そう言って悠哉は葉人を抱え直す。
「どうしたんですか?」
それは葉人のセリフでもあったが、悠哉にきょとんと首を傾げられて答えに詰まる。
「え…と……」
つん…と鼻を掠める青臭い臭いにはっとなる。
「相手は威先輩じゃないですよ」
あっけらかんと言い、悠哉は葉人の肩を掴んでトイレの中へと引きずり込んだ。
「そんな顔して…先輩だって似たようなもんでしょ?」
ふらつく葉人を個室に押し込んで戸を閉める。
「もういいよ、行きなよ」
葉人ではない誰かに聞こえるようにそう声を掛けると、ばたんと戸の開く音と慌ただしい足音が飛び出して行く。
その足音が消えて行くのを聞きながら、葉人は問うように悠哉を盗み見た。
「早く掻き出さないと大変な事になりますよ?」
「え…あ……」
「シて来た後なんでしょう?」
科学室を出る際にきちんと服は整えた筈だった。
何故ばれているのかと慌てていると、自分とよく似た顔に笑われた。
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